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景気に底打ち感が出、株価が大きく持ち直したことから、経済の先行きに明るい見方が増えてきた。これは正しい見方だとは思うが、デフレが一向に解決していないことに注意する必要がある。その意味で、政府がデフレ対策を打ち出そうとしているのは妥当である。ただし、その内容は適切でなければならない。
まず第一に、財政赤字をさらに拡大するような財政刺激策は、現在の財政状況から見て不適当であるばかりでなく、実質金利の上昇と円高を招きデフレを悪化させるので、絶対に避けるべきだ。90年代に急速な円高が進んだのは、いつも大幅な財政刺激を行ったときだった。この轍(てつ)を繰り返すべきでない。
第二に、しかしながら、税収中立の下でも、経済を活性化させるような税制改革は十分可能である。たとえば、贈与税の軽減により親子間の資産移転が促進されるなら、税収は減少せず、消費や住宅投資にプラスの影響を及ぼす可能性がある。所得税の配偶者控除の見直しは、主婦の就労を促進する可能性が高い。
第三に、デフレが金融的現象である以上、それを止めるのは金融政策をおいてない。日銀の金融緩和政策は、これまでのところ、量的にも質的にも不十分であった。国債の買い切りオペの大幅増額のみならず、1年以内に物価上昇率を1〜3%にするといった明確なコミットメントが必要である。そうすれば、為替は円安に振れるし、名目金利が上昇しても、実質金利は低位に安定しよう。
最後に、金融機関の不良債権処理をさらに加速する必要があろう。これは、金融機関の信用仲介機能を回復させる上でも、不良企業を退出させてデフレ圧力を減殺する上でも、きわめて重要である。特に、特別検査で破たん懸念先以下とされた企業は1年以内に退出させるべきだ。(知命)