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「そもそもこうした“意見書”を出すべきかどうかについて、財務省内部でもさまざまな議論があったことは事実です」
財務省の大村雅基参事官がこう言ってみせる。
去る4月26日、財務省は黒田東彦財務官名で、ムーディーズ、スタンダードアンドプアーズ、フィッチという欧米系大手格付け会社3社に対して、“Summary of letter”とタイトルされた、英文で40行からなる質問書を送った。
この“質問書”は以下のような文言からスタートしている。
「貴社による日本国債の格付けについては、当方としては日本経済の強固なファンダメンタルズを考えるとすでに低過ぎ、さらなる格下げは根拠を欠くと考えている」
この一文からもわかるように、財務省サイドが相当強硬な姿勢をとっていることは明らかだろう。
財務省がここへ来て格付け会社との対決姿勢をここまであらわにした最大の理由は、いくつかの欧米系格付け会社が日本国債の格付けを引き下げる方針を固めたためとされることにある。
その代表例がムーディーズ社だ。同社は現在、日本国債の格付けを「Aa3(引き下げ方向で見直し)」に設定している。この格付けは、G7メンバー国の中で最下位に位置する。
「ムーディーズ社はこの5月13日にも、日本国債の格付けを引き下げることを強くニオわせていました。しかもマーケットではムーディーズ社が一気に2ランクダウンさせてくることが有力視されていたのです」(米系大手証券会社幹部)
仮に1ランクダウンだと日本国債は、エストニア、チェコ、チリ、バハマ、ハンガリー、ボツワナのそれと同格となり、2ランクダウンだと、イスラエル、キプロス、ギリシャ、南アフリカ、ポーランド、モーリシャスのそれと同格になるのだ。
「日本国債の格付けを他国のものと相対比較してみた場合に、ムーディーズ社の判断に違和感を覚えているのは、何も財務省ばかりではない。市場参加者の大部分もおかしい、と感じているのです。したがってマーケットの反応は極めて冷静です」(大手証券会社幹部) 前述の大村参事官が言う。
「たしかに、日本国債の格付けが今以上に下がったとしても、国債市場にはほとんどインパクトはないでしょう。だからといって無視するわけにもいかないのです。そしてその理由は3つのポイントをあげることができるでしょう」
とりあえず大村参事官の言う3つのポイントを以下に示しておくことにする。
(1)民間企業の格付けが設定される際に自国の国債の格付けが一定の影響をおよぼすことで民間企業の信用力が低下する。特に金融機関が外貨資金を調達するにあたってネガティブな影響が出てくる。
(2)2006年に、「第2次BIS規制」が導入されるにあたって国債の格付け低下が邦銀の自己資本比率にマイナスの影響を及ぼす可能性がある。
(3)市場でも日本国債の格付けが相次いで引き下げられていることに疑問の声が多くあがっている。このため発行体として無視できなくなった。
「そもそも国債の格付けとはデフォルトする−つまり返済不能になる可能性を示したものであるはずだ。ならば自国通貨建て−つまり円建て国債がデフォルトする時一体どのような状況を指すのか、そうした議論について各格付け会社は全く満足いく説明をしていないのです」(大村参事官)
格付け各社は、こうした“疑問”に対して正式に答えを出すべきだろう。