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【パリ15日=山田哲朗】
パリで開幕した経済協力開発機構(OECD)の閣僚理事会は初日の15日、世界経済の見通しなどについて討議したが、各国からは日本経済に対する懸念が表明され、世界経済が着実に回復する中、日本経済の弱さが際立つ格好になった。政府は6月にカナダ・カナナスキスで開かれる主要国首脳会議(サミット)に向けて、重い課題を背負ったと言える。
■マクロ経済
「世界経済見通し」に関する討議では、米同時テロ後の世界の経済情勢を検証した。16日に採択する共同声明は、景気回復の動きが「ヨーロッパと、ほとんどのOECD加盟国で勢いを増している」とし、テロの経済的、心理的ショックからいち早く立ち直ったアメリカ経済が、先進国全体の経済成長を再びけん引していることを確認する。
これとは対照的に、共同声明は日本について「今年後半から緩やかな回復が始まる見込み」との表現にとどめている。
15日の討議で、平沼経産相は、13日に発表した経済活性化策のポイントを説明し、「構造改革を行うか、墓場に行くかが問われている。石橋をたたくような取り組みでは、墓場行きしかない」と強い口調で構造改革に取り組む決意を表明した。政府は17日に発表する5月の月例経済報告で景気底入れを打ち出す方針で、松下内閣府副大臣も「生産は昨年末を底に上昇傾向を示している。遠からず回復に向け動き出す」との見方を表明した。
しかし、OECDの共同声明は、日本経済に回復の兆候があることを認めつつも、回復力の強さには疑問を投げかけた形だ。OECD閣僚理事会での議論は例年、サミットの前哨戦と位置付けられているだけに、今後の国際会議では、日本に抜本的な不良債権処理や追加的なデフレ対策などを求める声が一段と強まりそうだ。
■貿易と透明性
世界貿易機関(WTO)の新多角的貿易交渉(新ラウンド)については、予定通り、2005年1月までに結論を得るために交渉を急ぐことなどで合意した。また、途上国の意向を無視しては新ラウンドの協議が進まない現状を考慮して、共同声明には、先進国が途上国に対して市場開放を進めることを明記する。ただ、具体的に開放する分野については各国間の意見の調整がついておらず、16日の最終日まで折衝が続く見通しだ。
一方、「国際経済における倫理と透明性の確保」に関する討議では、米同時テロや、米エネルギー大手エンロンの不正経理などを受けて、各国が対応を協議した。共同声明では、資金洗浄(マネー・ロンダリング)、わいろ、金融犯罪などが「グローバルな経済の統合を脅かす」と警戒し、企業統治(コーポレート・ガバナンス)や、金融市場に対する政府の監視を強化することで合意した。
(5月16日03:09)