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●実は「預金者反乱」が起きている!
ペイオフの部分的解禁から1カ月。金融不安の噂が絶えない中でのペイオフ解禁はまさに綱渡りでもあったが、解禁に合わせて預金者が金融機関の間を右往左往する姿が現実のものになったことは、日銀の統計などからも明らかになっている。定期預金から普通預金へ、信金・信組から大手銀行・郵便局へと、見事に資金が移動している。システム障害などによって信用が失墜した大手銀行は、まさに漁夫の利を得た事になる。マスコミがこぞってペイオフ解禁を喧(けん)伝してのことだが、金融当局も予想以上と驚くほどだ。いわば、“静かな信用不安”が世を覆ったことを意味する。言い換えるとこれまでひたすら静かだった預金者の反乱が起きている。
●政府は常に決断を迫られる〜実施か否か
柳沢金融担当相は、ペイオフ解禁の直前「地域金融機関の淘汰が進みペイオフ解禁の条件は全て整った」と胸を張った。しかし、その裏には消える事のない不安が隠されている。ペイオフをいったん解禁すれば、政府は常にペイオフを実施するかどうかギリギリの判断を迫られるからだ。無論、どんな小さな信用組合であってもだ。
仮に金融機関が破綻し預金を特例で全額保護しようとする場合、政府は総理が召集する金融危機対応会議を開かなければならない。また地銀レベルが破綻した場合、対応は1つしかない。公的資金を投入して預金を特例として全額保護する事になる。しかし、例えば小さな職域の信用組合が破綻した場合はどうするのか。預金者が、多数ではなく、ペイオフが実施できると見られる規模の場合、対応は実は何も決まっていない。
●結局ペイオフは「抜かずの宝刀」か〜守られたのは当局のメンツだけ
どんな小さな金融機関であれ、ペイオフが実施されれば、多くの中小金融機関から預金が一気に抜け、瞬く間に金融不安が全国に波及すると金融当局は踏んでいる。「どのようなことになるのか、見当がつかない」―が本音のホンネなのである。逆にペイオフを実施しないとすれば、受け皿を迅速に見つけ万全の体制を整えた上で破綻させなければならない。預金は受け皿金融機関が引き受け、実質的に全額の支払いを保証する。当局は、これまででは考えられないほど、金融機関の破綻に神経質にならざるを得ないのはいうまでも無い。
そればかりか、ペイオフは「抜かずの宝刀」になると当局幹部は断言する。では、金融危機が囁かれていた時期に無理やり解禁したのは一体どうしてなのか? ダラダラと解禁を遅らせるべきだったと言っているのではない。単に金融当局のメンツだけを守ろうとして預金者に大きな動揺を与えたのなら、これほど無意味なペイオフ解禁もなかったのではないか。政府が国民を不安に陥れて良いはずはない―。
(東山 恵)
・金融庁「金融システム安定化追加施策」全容が明らかに〜地銀再編促進や融資厳格化
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200204/11/20020411115008_73.shtml
・「金融再生最前線」〜G7で財務相が“危機回避”宣言する?!
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200204/08/20020408155505_07.shtml
・「深層・真相」〜日銀当座預金残高が伝える“みずほ”と金融危機
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200204/10/20020410152513_09.shtml
・「金融再生最前線」〜次は6月か、二流トリックで隠された3月危機
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200203/22/20020322091520_44.shtml