現在地 HOME > 掲示板 ★阿修羅♪ |
|
4月24日を境に、ドル・円相場が一貫して130円台を下回る円高傾向で推移している。主要企業の想定為替レートに依然のり代があるとはいえ、株式市場関係者の間にはこれが先々の日本株急落につながるとの懸念が芽生え出している。円安誘導を通じて外需主導の景気回復を図る日本だが、果たしてシナリオ通りに進むのか―。
●超楽観論の後退
現状のドル・円相場は、日本経済の回復を先取りした「円高」でないことは確かで、米国経済への先行き不透明感を反映、主要通貨に対して値を下げる「ドル安」と言えよう。ドル・円相場は4月24日に付けた130円44銭を最後に、一時は126円76銭まで急落。この間、ドル高政策に懐疑的とされてきたオニール米財務長官が、5月1日の議会証言の中で市場介入に否定的な見解を示すという突発要因もあったが、ドルのジリ安推移の背景には「テロ後の景気急回復という“超楽観論”の後退」(国内系運用会社幹部)があるのは間違いない。
問題は、超楽観論が後退しても、それが緩やかな景気回復のまま維持できるかという点にある。外為市場関係者の間では、依然緩やかな回復基調を維持できるとの見通しが大勢だが、株式市場はやや悲観的にみている。通常の景気回復期と違い、「今回は企業業績が順調に追随していない」(銀行系証券)ためだ。
●強まる「ドル安・米株安」の連動性
は行色の強まる米企業業績、失業率が6%に急上昇した4月の同国雇用統計と、4月後半から米国景気の早期回復を唱えた超楽観論を戒めるイベントが多発した。株式市場で、ドル安を懸念する向きがとりわけ重要視しているのが、ドル安と米国株安が連動している点だ。
6日にはダウ工業株30種平均の9800ドル割れが目前に迫り、店頭市場(ナスダック)総合指数が1600ポイント割れを演じ、このところ米株安とドル安はきれいにリンクしている。「『強いドルは国益』を旗印に、1990年代に米資本市場に急流入した資金サイクルが逆流するのではないかとの懸念を惹起している」(銀行系証券)という訳だ。
●回避できるか“最悪のシナリオ”
ドル安傾向が更に強まれば、「日本企業の財務面で想定為替レートに軒並み狂いが生じるだけでなく、米国頼みだった今期の業績見通しが根本的な見直しを迫られる」(先の国内系運用会社)のは必至だ。米国頼みの需要を積み上げで弾き出した政府の経済見通しも下方修正圧力を受けるだろう。
「循環的な景気回復期待だけを頼りに値を保っている日本株に対し、更なるドル安進行は最悪のシナリオ」(別の銀行系証券)であることは間違いない。じり安だから大丈夫、と現状のドル安は楽観できない。
(相場 英雄)
・「深層・真相」〜笑い話ですまない日本国債の格下げ観測
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200205/10/20020510190014_02.shtml