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国際交流活動などを行う財団法人「東京YMCA(キリスト教青年会)」が、約58億円の債務を抱えて運営難に陥り、東京・神田の本館ビルの土地、建物を売却することが13日、分かった。バブル期に本館ビルを改築して貸しオフィスなどの事業を拡大させたが、バブル崩壊で債務を返済できなくなった。ビル売却に伴い、ホテル事業から撤退。英語専門学校も2年後に完全撤退する方針。100年以上にわたり親しまれてきた青少年活動の拠点が姿を消す。
東京YMCAによると、多額の債務を抱えた原因は、1992年に完成した本館ビルの改築工事。老朽化した設備を一新し、地上8階地下2階の近代的ビルに建て替えた。
本館ビルには、財団本部のほか、屋内プールやスポーツジムを完備した総合体育施設、部屋数40室のホテル、民間企業向けの貸しオフィスがある。さらに、英語などの専門学校4校が入っている。改築後、結婚式場や貸しホールなどの事業多角化に乗り出した。
総工費90億円の3分の2に当たる約60億円を金融機関などからの借り入れで賄い、当初はテナント収入などで返済する計画だった。しかし、バブル崩壊でテナント収入などが減少し、95年ごろから利払い(約4億円)が困難になり、毎年、利息分を借り換えするなどしてしのいできた。
98年ごろからは、金融機関から追加融資を受けることが難しくなり、当初は不動産の証券化なども検討したが、昨年3月に売却することを決定。同年6月、民間企業に60億円以上の価格で、建物の存続などの条件を付けずに売却することが決まった。
東京YMCAの遠矢良男副総主事は「売却により、過去の負債はすべて返済できる」としている。来年7月末までにビルを明け渡し、その後は事業規模を縮小して運営を継続するが、新たな本部の設置場所などは未定だ。英語専門学校は別校舎で授業を続け、2004年に完全撤退する方針だ。
東京YMCAを所管する文部科学省では、「多額の債務を抱えたままでは、公益法人として健全な運営ができない」として、ここ数年、早急に財務状況を改善するよう指導していた。
◆青少年語学教育などの拠点、100年の伝統に惜しむ声◆
東京YMCAは、日本で最初のYMCAとして1880年、東京・銀座で創立。10年後に現在の神田に本部を移転した。会員数は現在、約1万人。賛助会員として、民間企業227社も財団活動を支援している。全国33あるYMCA組織の中で、会員数、事業規模ともに最大。
主な事業は、青少年を対象とした語学教育、野外活動の主催。ボランティア派遣、育成事業や屋内プールなどのスポーツ施設の運営を行っているほか、ホテルサービスの専門学校やホテルも経営している。
本館のほかにも、都内に屋内プールを備えた複数の施設や、山梨、長野、新潟の3県にキャンプ場なども所有している。
東京YMCAでは、神田の拠点を手放すことについて、説明会や機関紙などを通じて、会員に理解を求めてきた。しかし、一部会員の間からは「伝統のある神田から完全撤退しないでほしい」など、ビル売却を惜しむ声も上がっている。
東京YMCAでは、「ビル売却はマイナスとしてとらえず、新しい財団法人のあり方を模索するきっかけにしたい」とし、今後の活動方針などについては、財団内に設立した「21世紀構想推進委員会」で、今秋までに決めるという。