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(回答先: 米で牙むく西ナイル熱 治療法なく死者150人以上〔朝日新聞〕 投稿者 柘植行人 日時 2002 年 10 月 27 日 00:20:34)
米国でこれまでに約170人の死者を出した「西ナイルウイルス」の日本上陸が危ぐされている。このウイルスは蚊を媒介にし、米国では航空機に紛れ込んだ蚊によって爆発的に広がったとみられる。成田空港では現在、上陸防止のため蚊の捕獲作戦を展開中。虫捕りネットやバケツを利用した原始的ともいえる方法だが、2人の担当者は「1匹の蚊も見逃せない」と全力で取り組んでいる。
アフリカや欧州を中心に発生していた西ナイルウイルスは99年、米国に上陸した。このウイルスを媒介するのは蚊。その蚊が航空機に紛れ込み、一気に全米に広まったと考えられている。世界各地からの航空機が到着する日本に今までウイルスが入ってこなかったのは「運が良かっただけで、(上陸は)時間の問題」とみる関係者もいる。
成田空港では、北米路線の到着機内や空港周辺で蚊を捕獲、見つけたら殺さず検査に回し、ウイルスの有無を調べている。成田空港検疫所の検疫専門官、長谷山路夫さん(44)森雅美さん(43)が作業にあたる。昨年は約1万9000匹を捕獲したという。
蚊を捕らえるための方法は、極めてシンプルだ。空港敷地内の竹やぶや、駐機場付近には、ブラックライトとドライアイス(蚊は二酸化炭素に集まるため)で成虫をおびき寄せる「ライトトラップ」と、卵を取るための「オビ(ラテン語で卵の意)トラップ」が設置してある。「オビ−」は、水をはったバケツに、ろ紙が浸してあるだけ。ろ紙に産みつけられた卵を回収するのだという。長谷山さんは「バケツは100円ショップで買ったもの。原始的だけど、効率的」と笑う。
到着機内でも、目の細かい虫捕りネットでひたすら蚊をキャッチするのみ。「貨物や乗客を降ろした後で検査します。扉が開いているから十分ではないが、逃げた蚊のために周辺のトラップがある」(長谷山さん)という。
苦労も多い。航空機が到着して再び離陸するまでは平均約2時間。清掃、機内食の運び込み作業などが行われ、1分1秒を争う状況の中、航空会社に作業をいったん中断してもらう。そのため航空会社には嫌がられるという。また、蚊捕り器もセキュリティーが厳重な空港ではむやみやたらに設置できない。不審物、爆発物と間違えられる恐れもあるため、目立たない物陰に置かれ、トラップ1つ1つに「蚊の調査中」と、念を入れて記されている。
捕らえられた蚊は、1匹1匹検査に回され、卵もすべて成虫にして種類の特定、ウイルスの有無を検査するという、まさに「しらみつぶし」の手作業だ。衛生課の太田周司課長(53)は「BSEは危険だと言われていたにもかかわらず、日本に入ってきてしまった。今入っていなければいい、という意識ではいけない」と話していた。【小林千穂】
◆西ナイルウイルス 日本脳炎に近い種類のウイルスで、蚊を通して、鳥や馬、人間に感染する。感染してから5〜15日の潜伏期間を経て発症する。通常は急激な発熱で発症し、頭痛、背部などの筋肉痛、めまい、けん怠感などを伴う。発症しなかったり、発熱程度で済む例も多いが、抵抗力が落ちている高齢者などは脳炎で死亡することもある。現在、有効なワクチンはなく対症療法のみ。米国では輸血や臓器移植、母乳からの感染も指摘されている。1937年にアフリカのウガンダで見つかったのが最初とされている。(2002年10月21日)
http://www.nikkansports.com/news/society/p-so-tp0-021021-01.html