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岩住さんの( http://www.asyura.com/2002/dispute4/msg/182.html )へのレスです。
岩住さん、初めまして。
「不良債権を解消ししかも景気回復をする方法」を中心とした論考を拝読しました。
まず、SPE問題が日本経済蚕食の直接的目的かどうかは別として、「竹中プロジェクト」が米国経済支配層(=世界経済支配層)の利益拡大であることは間違いありません。
「不良債権処理」は、基本的に、「デフレ不況」の解消を通じて行うべきテーマだと考えています。
「不良債権処理」は、それ自体が「デフレ不況」を解消することはなく必要条件でしかないことを認識することが出発点だと思っています。
不良債権=銀行過剰債務は銀行の「信用創造」を阻害することでデフレをもたらしましたが、デフレ・スパイラルに陥った時点から、「信用創造」をしたくてもできなく経済状況になりました。
銀行に求められている貸し出しは、住宅ローンを除けば、何とか生き残りたいという後ろ向きのものになっています。
銀行が貸し出ししたい相手は、新規借り入れを必要としていないどころか、債務残高をできるだけ減らそうとしています。経済が縮小しているのですから設備投資は償却レベルになっており、デフレですから過大な負担になる借り入れを忌避するのが“資本の論理”です。
「不良債権処理」は、「デフレ不況」を解消する過程で銀行の機能不全が障害になるから行うことだと考えています。
(97年を境に「不良債権処理」の経済的意味が変わりました)
岩住さんが提案されている「不良債権処理」策である「個人住宅の買い換えを奨励する為にローンの含み損を国が補償する」について考えてみました。
閲覧者のためにその部分をコピーさせてもらいます。
>日本はどうやって不良債権を処理できるか、という事になります。今からアメリカの
>真似をして、SPEでこっそり処理しなさい、と言っても日本のマスコミは馬鹿正直な
>のでここぞとばかり騒ぎ立てるでしょう。そこで私が前に何度か書いた提案ですが、
>個人住宅の買い換えを奨励する為にローンの含み損を国が補償する、というものです。
バブル期に住宅を購入した人だけを救済する政策でいいのかという価値観的判断は、銀行への公的資金投入や「低中所得者減税」も同じ問題を抱えているのですから、国民経済が再生・回復するのなら良しということで省略します。
住宅という資産の価値が減少することは損失だと受け止められますが、利用価値に変わりがあるわけでもなく、元々月々の所得(フロー)で返済する計画ですから返済に支障があるものでもありません。
これは、買い換えにしろ新規にしろ住宅を購入する際、所得の長期的な見通しが最大の問題になるということです。
「ローンの含み損を国が補償する」というお考えですが、本当に損をしているのでしょうか?
特定地域の住宅が値下がりしているのではなく全国的に値下がりしているのですから、自分の住宅が1億円から7千万円になったとしても、他の住宅も同じようなペースで下落しています。(30%の不動産価格下落状況)
逆に、住宅価格が上昇しているときも、自分の住宅が1億円から1億3千万円になったとしても、他の住宅も同じようなペースで上昇しています。(30%の不動産価格上昇状況)
価格変動の地域別ばらつきはいつでもつきまとう問題です。
住宅価格が所得増加ペースを上回るペースで上昇すれば、アップグレードの買い換えはやはり困難になります。
1億3千万円で売却して1億8200万円の物件を購入すれば、5200万円のローンを組むことになります。
値下がり状況であれば、7千万円で売却して9800万円の物件を購入すれば、2千8百万円のローンを組むことになります。ローンの残債が3千万円だとすれば、合計5800万円のローンになります。(買い換え対象住宅のグレードは同じで、元の価格は1億4千万円です)
価格変動がない場合も、1億円で売却して1億4千万円の物件を購入するわけですから、4千万円のローンを組むことになります。
値上がりしても値下がりしても負担はそれほど変わらず、問題は所得(フロー)がどう変動しているかということになります。
不動産価格の上昇が所得の上昇ペースを上回っている状況なのか、不動産価格の下落が所得の下降ペースを上回っている状況なのかということが重要です。
高度成長期から91年までは、所得の増加を上回るペースで不動産価格は上昇しました。92年からは不動産価格は下落し続けていますが、所得は賃金の下方硬直性のためそれを下回る下落で済んでいます。(失業者や就業断念者は増加していますが...)
元々値上がり益を狙って住宅を買った人であれば住宅価格の下落は“損失”になりますが、住まいとして使い続ける人や買い換えをする人は、観念は別として“損失”とは言えません。
住宅関連の需要不足は、「デフレ不況」のなかで、失業者が増加したり、所得の切り下げが行われていることに起因しています。
既存住宅ローンの“焦げ付き”が増加しています。今年春の報道でも、年金原資の貸し付けで9兆円の焦げ付きが出て、銀行とのあいだでその負担をめぐる“解決法”が合意されています。
中高年の失業者が増加しているのですから、住宅ローンの“焦げ付き”増加は自然な流れです。
失業者の減少=就業者の増加、長期安定的な所得継続見通し、老後の年金支給への信頼、これらが解決しなければ、住宅関連需要は回復しません。
>9月27日の読売新聞に依れば個人住宅の買い換えに平均2700万円の損を出して
>いるそうです。全国で200万所帯が応募するとして54兆円必要になります。これ
>を日銀が円を新たに印刷し、ローンを出した銀行に払い、銀行はこのお金を使って不
>良債権を償却する、と言うわけです。
上述の意味で、54兆円は、国家から特定国民への貢ぎ物すなわち特定国民への国民全体からの貢ぎ物になります。
不動産価格が上昇しても買い換えコストはそれほど変わらないのに、下落したときには“補償金”が出て、上昇したときは得したのだから放置というのもおかしな話になります。
そして何より重要なのは、54兆円を銀行に渡しても、それで不良債権が処理できるわけではないということです。
54兆円にはそれなりの利息分も含まれているでしょうから、その分が不良債権処理の原資になるだけです。
元本部分は、貸し出し債権が現金になっただけですから、不良債権処理に使えるわけではありません。
さらに言えば、貸し出し債権が順調に債務履行されるものであれば、その利払いに相当する新たな運用先を見つけない限り、銀行は将来得られる利息(利益)を失うことになります。
>この処理策では同じお金が二用途に使われ、銀行を国有化する必要もなく、最もお金
>を使う階層に消費の強い動機を与え、買い換え家屋の新築に土地と建築材と家財道具
>の需要が大量に発生します。この新需要だけでも景気を回復するに充分でしょう。し
>かし、不況だった建設業がブームに乗って粗悪な家を乱造しない様に厳重に取り締ま
>る必要があります。
住宅関連の充実は、日本が主要テーマとして取り組むべきものだと思っています。
そのためには、所得の長期安定的な増加に自信が持て老後不安も解消される経済条件を生み出し、地価を下落させなければならないと考えています。
(地価の下落は新規の住宅購入を促進します)
土地は人々の活動力によって生み出されたものではなく、そのような土地に高額の支出を強いるような経済状況はGDP(フロー)の拡大を阻害します。
(これは、商業不動産を考えればより明瞭にわかります)
>お金を印刷してばらまく提案は公平な様に見えますが、殆どの人がそのお金をタンス
>預金にしてしまいますし、使う人も経済効果の低い無駄使いに終わるでしょうから、
>最も効果の薄い方法です。倫理的にも、何も働かないでお金を貰えるという前例を作
>るのは絶対に避けるべきです。
「ローンの含み損を国が補償する」という考えも、何も働かないでお金を貰えるという前例になる可能性を含んでいます。
※ 不良債権処理に関する参考書き込み
『【国民経済破壊の「竹中プロジェクト」に代わる『銀行再生策』】 日本経済に必要なのは「合理的な不良債権処理」』
( http://www.asyura.com/2002/hasan15/msg/869.html )