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もううんざりだ、うんざり!――帰国した拉致被害者に対する日本のマスメディアの過剰報道のことである。まるで凱旋将軍か大スター並みの扱いで、連日故郷での暮らしぶりを追いかけ、温泉へ行ったとか野球を楽しんだとか、一挙手一投足をこと細かく報道する。そこに問題意識はほとんど感じられず、ただお祭り騒ぎで紙面を埋めている。朝日、読売といった代表的新聞も女性週刊誌と何ら変わらない。こうした大報道に一体どんな意味があるのか。
北朝鮮の金正一総書記は、小泉首相との会談前から、「(拉致事件や不審船事件などは)大きな問題ではない」と言っていた。その言葉どおりに、拉致問題については謝罪し、リストを発表し、5人の生存者を一時帰国させた。今後も、よほどのハプニングが起こらないかぎり、ほぼ日本側の意向に沿ってことが運ぶだろう。こういう見通しに立てば、もはや帰国した拉致被害者や家族の動静などはプライベートなことに過ぎず、ジャーナリズムの対象としてはほとんど意味がない。これ以上追いかければ、向こうで死んだ、あるいは殺されたより多い拉致被害者の家族の気持を逆なでするだけである。
あるいは、マスメディアの頭の中には、大きく報道すればするほど、それが北朝鮮への圧力になるという計算があるのかもしれない。だが、さすれば、遅きに失したと言うべきである。過去、拉致事件について新聞やテレビはどれだけ報道してきたか。日本の警察庁が事実だと公表し、あるいは八尾恵さんが自ら拉致に関わったと証言してからでも、家族の訴えをどれだけ取り上げ、どれだけ北朝鮮を非難してきたのか。重要なときに対決せず、安全地帯に入ってから大報道するのが日本のマスメディア、ことに朝日新聞などの大新聞である。真のジャーナリズムからほど遠い。