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なつかしいイザヤ・ベンダサン『にっぽんの商人』が角川、山本七平ライブラリーから出ています。
初版は昭和50年、昭和48年より「日経流通新聞」に連載したもの。まさに、経済絶好調の時代
まさに今昔。
ところで、同時期に山本七平氏は、ガルブレイス『権力の構造』を訳していますが、ここでは、
これでもかとばかりヴェブレン『有閑階級の理論』を引用。ヴェブレンと言えば制度派経済学の創始
者。その後継者がガルブレイスと言われていますが、近著『日本人への最後の警告』はケインズ賛歌
に終始。悪者は金融屋のリカード。 ヴェブレンへの言及はなくて、これは大変残念。
近年、放送大学にもヴェブレンの研究会が発足したようです。
http://www.u-air.net/workshop/
以下、『にっぽんの商人』文中より。
商人とはその目的がはっきりした存在であるから「目的が手段を正当化する」という考え方は成り立
たない。逆であって「利潤」という目的の追求が正当化されるのは、その追求の「手段」が正当な場
合に限られる、とするのが、洋の東西・古今を問わず、商人に通じる基本的な立場であった。
すなわち、武力、暴力、詐欺等による略取を、することもされることも一切拒否して、一定の合意の
もとに利潤をうる場合だけ、利潤の獲得が正当化される。
これが商人哲学の基本であり、これを否定しては商人は成り立たない。・・
商人が商人の目で世界を見た場合、すべての人は何らかの手段で利潤を得てこれで生活し、そしてこ
の利潤のために働いている、と見えたのは当然である。従って世界のどこでも、彼らは、さまざまな
人の利潤獲得手段を、それに果たして正当性があるかどうか、という視点から見たのも、また当然で
あった。