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実はアメリカ合衆国発足前後から,通貨発行や銀行をどうするのか,という問題について,政治権力内で深刻な対立がありました。公益を守る側と私益を追求する側で激しい相克があり,結果として,後者が1913年勝利を収め今日に至っています。ことの起こりは,英国植民地である彼の地で,便宜のため独自の紙幣(Colonial Script)を発行して繁栄していたのですが(利息がからまない制度で,フランクリンなどはたいへん誇りにしていました)、英国の銀行家がそれをよく思わず,英国政府がその独自紙幣の発行を禁じてしまった(1764年、Currency Act=通貨法)ことから,始まっている対立ですが,建国の父たちのなかで、フランクリンやジェファーソンは公益を守るべし,という立場であり,ハミルトン一派らは支配層の利益を守るべし(中央銀行を金融支配層に帰属させる、つまり英国銀行に似たものをつくる)という立場でした。欧州側の金融家たちが,新興するアメリカ合衆国を金融支配の対象にしたいと考えていたわけです。
その後いろいろあるのですが、この決着は、銀行カルテル側の激しいロビー活動(メディアでの宣伝含む)を通じ,議会でのギリギリ過半数の後、1913年12月23日FederalReserve Act(法案)の成立、(銀行利益を代表するウイルソン大統領の署名)を以て,後者のグループが完全勝利、つまり米欧の金融資産家グループによる,FederalReserveBank(Systems)=Fed=日本でいうところの「連銀」による通貨発行権および金融政策の排他的専権化を収め,今日にいたっています。米国憲法では通貨発行権が議会の専権であることが規定されているにもかかわらず、です。Fedは行政権・立法権のコントロール(check)を法令上全く受けることがない巧妙な仕組みでsuper-powerを欲しいままにしています。物質(金)での裏付けが必要ない現在、インフレ・デフレともに,米英の金融王朝(いくつかの家族が銀行の所有者)が「金融の科学」を使い、きちっとした計算でFed(中央銀行)を通じ、通貨供給量(紙幣の印刷)の調整で人工的につくりだしています。完全な計算(an exact science)で制御されています。
日銀は他国の中央銀行もそうですが、Fedと非常に緊密に連絡を取り合っています。日銀の政策は、Fedの政策との摺り合わせで調整されています。常に3つのシナリオの可能性を設定しながら,日銀の政策の妥当性を測定する必要があります。
シナリオ1=Fedを持つ米英金融王朝に奉仕している可能性。つまり,この王朝の利益が最大化する形で,日本の金融政策を形成している可能性。
シナリオ2=Fedを持つ米英金融王朝の収奪的意図から日本人側利益を死守しよう,守ろうとしている可能性。
シナリオ3=上記1と2の中間。日銀内部で,どちらに基軸をおくか常に内部対立があり,揺れ、常に蛇行している可能性。
この3つのどれかの可能性のもとに日銀の政策内容の妥当性を吟味する必要があります。ただし、一貫して超低金利政策を維持した結果、米国に日本側資金が流れ込んでいき、バブルが弾けた経緯、つまり米英金融王朝(Anglo American Finantial Dynasty)のドル還流策に完全協力して来た経緯をみるとき、上記シナリオ1の線ヘの傾斜が濃厚である,と見ざるをえません。善意にみると、1と3の中間ぐらいかな,という感じです。
今回の,日銀による銀行保有株購入という政策決定にいたる過程でFedと話をつけている、つまり一定の許可を得ているはずです。少なくとも米英金融王朝の利益を損ねない(シナリオ2と3の間)、あるいは彼らの利益を拡張する方向(シナリオ1)で計算をしていると思います。
米英金融王朝が米国内で歴史的に戦った戦(いくさ)、つまり,中央銀行の乗っ取り(通貨発行権と金融政策の排他的専権)という基本戦略が意味するところは,この王朝は,日本銀行を日本の行政権と立法権のコントロールを超脱させ、株式を購入することを通じ完全な金融支配を射程としている可能性(日銀の事実上のFedの支店化)がる,ということを念頭において観察する必要があります。規制緩和・民営化という新自由主義のレトリックの政策的実現の展開の果てに,日銀の事実上の民営化が狙われている可能性をいつも見ていく必要があります。
今回の銀行保有株購入の結果,もし,あなたが米英金融王朝の首領だったら,どのようにして,日本から収奪するか,利益をかすめ取り,支配と隷属を強化していくことができるか、そちらの視点から,一種の思考ゲーム、シミュレーションのゲームをやってみることをおすすめします。
実は,王朝側に圧倒的に巨利をもたらす決定になっている可能性があるかもしれませんね。可能性を探る必要があります。ポイントは購入した株の価格があがる、という日銀の見立ての根拠は何なのか(日銀はその根拠に対する説明責任を日本国民に負っています)。株価が下がり,日銀の資産が劣化した場合,次に取ることのできる政策的展開可能性はいったいどうなるのか、そのとき王朝側が考えるのはどういうことなのか、といったあたりが重要な視点になるかもしれません。
アメリカの中央銀行は米欧の金融帝国に乗っ取られた、彼らの利益を最大化するための金融王朝オペレーションセンターである、という歴史的視点はぜひお忘れなきよう。