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やっぱり長いレスになってしまいました。 投稿者 一般人 日時 2002 年 8 月 31 日 06:05:43:

(回答先: 貴投稿を読んでの雑感 投稿者 匿名希望 日時 2002 年 8 月 30 日 18:04:23)

ご丁寧な回答ありがとう御座います。私の視点が議論に絶えるものかどうかはわかりませんが、私の投げかけは知識と言うよりも、体験的経験的なものであり、妄想とは違った現実からの言葉を極力使用しようと思っております。また、その為か、荒っぽく話を展開しやすいので大変ご迷惑をかけます。

たぶん私がお伺いしたい部分に関する答えに近いニュアンスというのは「貴殿の投げかけるサブジェクトにつき、気の向くままに豊富な事例を交えつつエッセイを綴るのも興をそそられる面がありますが.......」部分にあるのかもしれません。それは現実の政策に於いても、簡単に申し送り、述べられない部分がボディーブローのように効いてくる可能性があると私は考えているからです。しかしながら、文明観や文化観についてはおっしゃられるとおり、現状、言葉の定義を含め、表現が困難であることは認めざるおえません。

例えば
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「この貴殿の文明・文化観は興味深く感じましたが、必ずしもおっしゃる面ばかりではないと思います。例えば日本独特の組織の作り方、組織内での人間関係の取り結び方、それを通じた高い品質の産出、これらは明らかに広い意味での現代日本の文化とも言うべきものですが、消費ではなく生産に関連したものです。満ち足りた消費の後に文化が生まれるという見方も確かに真理の一面でしょうが、(私の偏見かも知れませんが)飽食の後に生まれた日本の文化で世界に誇れるようなオリジナリティや価値を有するものは少ない気がします。」
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「飽食の後に生まれた文化」というのは文化の一面でしかないにも関わらず、一般にはこれを「文化」の定義にしてしまっていることを物語っています。このような狭義の文化の定義は日本のできの悪い美学や芸術の専門家をその業界に君臨させるロジックに過ぎません。また、学校の歴史や美術の教科書で文化について狭い定義をしてしまっていることも非常に問題であり、ここから言葉の定義をやり直さなければまともな話すらおぼつかない気がします。

全体的に言えばこのことには私も基本的に同意しますが、これが生産に関連した事項あれが消費に関連した事項と割り振りたいわけではなく、文化的視点からの査定が必要だと申し上げたいわけです。「日本独特の組織の作り方」「組織内での人間関係の取り結び方」は風土に見合った生活の仕方(仕事時間を心地よく過ごすという意味で、消費)のことであり、「それを通じた高い品質の産出」も消費から要求されたクオリティだとみることもできるわけです。特に民間の商売と比べお客さんの反応がどうだとか商品の売れ行きがどうだとかと言うことがないですし、官僚は自分で自分を査定しなければなりませんから、文明的な政策展開と文化的な評価を併用することで本来の政策のバランスが取れるのだと思います。じゃないと、何をやってもやりっ放しだと無用に揶揄されるのがオチと言うものです。そしてこれこそ市場マーケットに左右されない立場で可能な事柄のようにも思いますが。

間違ってはならないのは、「文化」をコンテンツだと思いこむことです。コンテンツあるいは資源というのは今日の経済社会にあっては「もの、かね、ひと、しくみ、こころ」であり、これを「文明」と「文化」という手段をもっていかしていくことだと思います。「文化」も「文明」と同じく手段または戦術にすぎないのです。その上で、「文化」という手段を「文明」と言う手段よりも過小評価してしまう事が日本では多いような気がします。


あとは雑感に対する意見。

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私自身は言うまでもなく現在の日本の政体を認めるものであり、民主代議制の意義も理解しています。しかし同時にこのシステムが衆愚政に陥る危険性も意識しているものであり、我が国の場合はこれを防ぐ手だてが官僚制だと考えています。
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私が最も危惧するのは、地方行政のある部分において行政自体が愚衆化していることです。

少し話がずれますが、今日の県政が必要かどうかということもありますが、市町村つまり最もフィールドに近い部分と日本全体の政策がもっとダイレクトにコミッション出来る仕組みの方が良いと思うことがあります。補助金をもらうにしても、出すにしてもその本来の政策意図が理解できていなかったり、土地のもつ実状が見えていなかったり。

さらに五月雨的で申し訳ないですが、
全体的にみても長期の時系列を無視した単年度会計の比重が大きすぎ、仮に施策される事業の重要性を担当者が多少理解したところで刹那的で会計に説明することさえ面倒くさがる。住民や地域のフィールドで時間をかけるならいざ知らず、もし仮に中央に出向き担当者と話せたら5分でつくような話を延々一年ぐらいかけて、ともすると人事異動の運びとなり、引き継ぎもいい加減に、また最初ッからかという事態は世の中でよく見られる光景です。上級官僚とは関係ないかも知れませんが、行政というのは何とかもう少しまともなシステムに変換していって欲しいものです。

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>しかし、官僚の世代交代をどういうシステムでやるかが鍵になるかも知れませんね。君主制も皇位継承が常に問題になるのですから。そういった、世代的時間系列についての考察もされているのでしょうか?また、ファシズムに流れる可能性も否定できません。

試験制度の維持により常に能力の優れた者を登用できる仕組みがあれば問題ないでしょう(ちなみに、ここで言う能力とは統治や行政に関連する能力であり、芸術、スポーツ、学術などに必要な能力との直接の関連は考慮外です)。尚、ファシズムの発生経路に関しては、官僚制がその発露となったという歴史的事例を寡聞にして知りません。ファシズムの背景には常に民衆の熱狂とカリスマ的個人のタレントのいずれか又は両方が存在するのではありませんか。
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ジェネラルな感覚を持ち且つスペシャリストとして統治や行政に関連する能力を有するということでしょうか?

ファシズムについては、言葉が足りず官僚制との直接的な因果を示したわけではないのですが、私の頭では説明に時間を要するのでここでは割愛します。失礼いたしました。

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江戸期の再評価を試みる歴史家達の近年の労作にはそれなりに目を通していますし、一定の評価もしています。しかし、明治維新以降我が国は完全に国際社会に編入されていったのであり、そのキャッチアップ過程で犠牲になった産業があったのは(例えば林業)ある面やむを得なかったとも言えます。米国やEU諸国と完全に肩を並べる存在となった今こそ、彼らと同じ土俵に立ち、堂々と日本の立場を主張してゆくべき時代に入ったと言えます。その意味で我が国の農業や林業をあり方を新たな視点から根本的に捉え直す必要があり、農水省の役割はいま非常に大きいと言えます。BSEや食品監視問題に振りまわされているヒマはありません(将来を見据えたビジョンや政策の策定に比較し、監督行政など何ランクも下がる仕事で、それすらまともにできていないわけですから)。他の省庁の悪口は御法度ですが、後手後手に回る彼らの手法を見ていると「もっと頭を使えよ」、とどやしつけたくなります。
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私がここで申し上げた積立預金としての山林はたんに樹木を中心とする森林資源を示したわけではありません。農本社会を基本としてきた江戸期に蓄積された山林というものは、土地と結びついた「もの、ひと、こころ、しくみ」と言うコンテンツであって、これを「かね」にかえて近代化の資本にしてしまった。それによって喪失したものは、得たものより大きいかも知れないよということであり、仮にやむなしとしたとしても、何を失ったのかを知る必要性があるのだと思います。ただの商品として流通させてしまえば現在の林業のような状態になってしまう。「もの」を得るために「かね」にかえ、土地と結びついた「もの、ひと、こころ、しくみ」を失った。そして得た土地と切り離された「もの、ひと、こころ、しくみ」は今や疲弊しつつある。かといって、「かね」だけに頼っても生きていけない現実も突きつけられはじめている。土地利用の側面から考えれば端的に平地の方がよいわけで、大陸に地の利があります。したがって、日本の地形から考えられる地の利を(平地を多くつくると言うことではなく)考えた上で政策を展開しなければならないだろうと思うのです。

ご指摘の通り、農水省の役割は監督行政のなかでも非常に重要な場面に遭遇しているはずで、本来は国土計画や財務ともっとコミッションして 政策立案のための情報機関としても機能しなければならないはずです。白書を見ますと国としての政策ビジョンがないのか食糧自給率の下降傾向を指摘しながら、減反のはなしもあり完全に自己矛盾した状態を平気でいられる有様はいかがなものなのでしょう。

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成長そのものを疑ったり、別の幸福のパラダイムを考えたりするのも重要なことでしょう。しかし、それは民主国家における官僚の仕事ではありません。基本的には個々人の問題であり、そういう個人の変化が大勢を占めた時に社会が変わって行くのでしょう。そこまで「善導」したり支配したりするのはさすがに行き過ぎと感じます。
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そういうきっぱりとした境目がはっきりしていれば、それはそれですがすがしいと思います。

が、日本人の最も悪い癖は、ファシズムに対するアレルギーがあるのか、なんでも終局的に個人主義的な価値観には立ち入れないと思いこむところです。原初的に立ち返れば人間一人の生存ということすら、人間は不可能だったわけで社会を構成する事ではじめて生存でき、個々の人格も尊重される状況がつくられ、西洋の歴史からすれば個人を獲得していった権利なのではないのでしょうか。その時点でおのずと社会的な幸福のパラダイムと個人のパラダイムが併存するのはあたりまえで、前者と後者にズレがあっても一向に構わないわけです。むしろ併存することによって議論がありバランスが保たれる。確かに、日本人は個人と言うものを獲得した歴史をもっていないようなので、このように考えることは無理なのかも知れませんが、本来は個人に立ち入らなければわからないことも多々あるような気もします。実はそれに最も有効な政策手段として考えられるのが、実は「文化」と言う手段であるのだと思います。(なぜかと言うことに関しては直感的に理解していただき、文化という手段に話をスライドします。)

「文化」と言う手段はハッキリ言って技術であり、その技術力をもっと磨くべきだと思うのです。現状の日本の社会的状況では幻想のように聞こえるかも知れませんが、個人的な芸術が過度に評価されたのは近代のほんの一部の時期の一部の人間に過ぎません。レオナルド・ダ・ビンチなどは軍事顧問などしていた訳ですし、ミケランジェロだって何だってプロパガンダの絵を描いていたわけで 、当時の社会状況が要求した技術なわけですし。ルネッサンスに限らず、西洋であれ日本であれ、音楽であれ絵画であれ、科学に近い分野であったわけです。教科書では誰が描いて、何時代の何様式でなどというから、それが現しているものの本質がわからなくなる。その時代の社会的ニーズが無ければ殆どのものが成立していないものであり、生産と消費に関わる表象として過去の文化は観るものなのです。などと私のくだらない講釈はどうでもいいのですが......。


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最初から心根の卑しいままに役人になるものは皆無とまでは言いませんが、ほとんどいません。肝要な点は、(口先では何とでも言える)採用時の本人の志の高さや(主観的に傾きがちな)人物本位と称する採用基準をあれこれいじることではなく、モティベーションを維持させることのできる魅力的な組織のあり方でしょう。
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私が面識したことのある方々はたまたまかも知れませんが、仕事であれ、遊びであれ方々は皆良い人でした。だから、困るんです。官僚主導である必要性も感じる場面も多々ありますし、官僚が全くだめだと思ったこともないのですが、これは匿名希望さんも認められていることとおもいますが、現状では問題点もすごく多い。多少ましになることに期待しつつ、今後中期的な推移を見守りたいところです。

また、このレスは宮崎駿の「日本はみっともない国になりました」ということから始めているわけですが、私の主旨としましては文化というものが週刊誌に載るような、ただの趣味や遊びではなく、また主観に帰属するだけのものでもなく、重複しますが技術として普通に有効な手段であり得ることを申し述べたいところです。現状、見せかけだけのそれと見分けることはこれまでの教育が貧しく一般的には難しいと思われますが、今後の日本の社会には重要な手段あるいは戦術であると思っています。(もちろん、今までのように、外務省の施設の壁に日本画を飾ると言う類のことではありません。)

はなはだまた長いレスになってしまいました。もうしわけありません。また、気分が向きましたらご意見が伺えればと思います。

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