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「景気対策」が「改革」とやらに先行、少なくとも同時進行
しなければいけないのは分かりきったことである。しかし、景
気対策と諸改革は相反することなので、中途半端なことはせず
に景気対策に専念するほうがずっとよい。
緊縮財政政策なんぞ国民経済全体が低迷していき、財政の累
積債務が増える一方でその累積債務を処理するあてが全くない
だけである。景気拡大政策とかインフレ政策をとれば、公的累
積債務が増加しても税金の増収やインフレでそれを処理できる
可能性が開けてくる。このことだけでも公共投資縮小・緊縮財
政政策はナンセンスである。
そもそも日本の社会主義体質は だから戦前戦中のファシス
トと革新官僚による統制経済、米占領下のニューディーラーた
ちの実験的社会主義政策、満州で培われたゴスプラン的計画経
済による戦後の傾斜生産方式と高度成長、田中角栄の地方改造
と地価の吊り上げと雇用の創出をともなう角栄社会主義、と連
綿と続くものであって急速に変えるべきではなく、わが国の特
色として維持するべきである。
普通の先進国では失業率１０％とかが常態であり、貧しいひ
とは本当に貧しい。クリスマスに教会からスープもらったり、
ぼろぼろの服を着た貧しい婆さんが町をふらふら歩いていたり
する。日本は無理やり国が税金使って仕事を作ってやったり、
大量のサービスや商品を直接間接に買っているのである。日本
経済はもうそうした政府の大規模な財政出動を組み込んだ構造
になってしまっているので、今急激にそれをやめるわけにはい
かない。底なしの不況サイクルにはまってしまい、ソ連崩壊後
のロシアの二の舞になってしまう。亀井静香の主張には基本的
には正しいことが多いと思う。江藤はよく知らないが、私はソ
ヴィエト共産党の保守派の爺さんたちは経済政策に関してはよ
ほど改革派や自由市場主義者より賢くてロシアのためになる人
たちではなかったかと推測する。変えるんだったら５０年かけ
て変えるべきであって、急い変えてしまったら百害あって一利
なしである。
「貨幣経済システム」は、よく働いて商品を大量に生産・販
売し、出来るだけ少ない商品を消費し貨幣を蓄積しようとする
人間の集まりでは成立しない。日本人は長時間働くくせに貯蓄
の割合が大きく、必然的に日本社会は供給が消費を大きく上回
りやすい体質にある。その上失業率を最低限に押さえようとす
るから、結局政府が税金や国債・郵貯を財源にして公共投資な
どで消費をつくりださざるをえない。
つまり日本は誰かが寄生虫のように権益にしがみついている
というよりも、上から下まで国民全員の暮らしが政府に依存し
てなりたっている。１４００兆円といわれる国民の総資産や戦
後の社会全体の豊かな暮らしは、数百兆の国の借金から生じた
ものに過ぎない。
日本政府は、日本社会を存続させるのが仕事なので借金して
でも商品を直接・間接に消費して日本経済を維持してきた。こ
れは会社経営のテクニックとも家計のやりくりとも全く異なる
国家社会の運営のありかたの問題であり、失政とは言えない。
土木公共事業を削減し、役所の大幅な再編成とそれにともな
う人員整理と公的費用削減を行い、英米流の自由市場経済の導
入とそれにともなう一連の民間の流通改革・リストラを奨励す
るなどとんでもない自殺行為である。たちまちすさまじい消費
不足・社会保障費の増大・失業率の増加・商品価格低落（デフレ）・不動産株式等の資産デフレ・歳入の悪化がお互いがお互
いの原因と結果になる爆発的不況の拡大サイクルの渦の中に無
限に落ちて行く。
日本の財政が先進国中で最低というのは統計のウソという
説を聞いたことがある。アメリカと日本は社会保障の制度が他
の先進国と全く異なるため比較しようがなく、あえて国の持っ
ている資産を財政赤字と相殺させると日本の財政は西ドイツよ
りも健全だとか。それは４年ぐらい前に聞いた話だが、２年く
らい前国の財政バランスシートを作った時もそれほど悪くなか
ったように（百何十兆円の赤字）覚えている。それに日本の国
債はほとんどが内債であって外債と異なり借り手も貸し手も「
国民」なので、会社や家計の借金とは全く性質の異なるもので
、徒に騒ぎ立てて国を破壊するようなことは愚かな事なのであ
る。最初から内債は本質的には日本国民が日本国民から借りた
借金でしかありえない。財政赤字は「日本人一人頭いくらの借
金」と説明されることがある。
確かに貸し手の方は人間にせよ法人にせよ別人格の集まりで
、所有する債権の性質、量に差があるので一緒くたに扱われて
はたまらないかもしれない。しかいそもそも政府が借金をして
まで金を使う理由は、日本社会を維持するためであり、皆がそ
の恩恵にあづかっているのである。そうしてなかったら国民が
今持っている資産も少なくとも同じだけ手元にはなかったので
ある。とくに企業・金持ちほどその恩恵を受けてきたのである
。それを突然モラルがどうの利権がどうのといって、若者や無
産者にツケをまわしたあげく国を国際資本主義に売って一儲け
たくらんだり、出来上がった階層分化を固定し拡大しようとし
たりするのはいかがなものか。
こういう性質の「公的累積債務」をクソ真面目にあたかも貧
乏なときに親友から借りた金のように律儀に返そうとするのは
愚かなこよである。後世にまで迷惑をかける社会的自殺行為で
ある。こんなものはただあらゆる手段を用いて「処理」をすれ
ばよいのである。
だから日本の現状で一番よくスジが通った経済政策は好景気
をともなう長期インフレである。「インフレ政策や政府の借金
の踏み倒しは持てる者から持たざるものへの資産の再分配」と
か「日本の社会主義的政策は一部の利権を持っている人達がう
まい汁を吸っているだけ」という意見がだされるが、それらは
ドロボウ的なウソである。
私に言わせれば日本は全ての国民が国の政策に頼って生きて
きたのである。 小・中・大金持ち、企業は社会主義政策に助
けられて金を貯めてきたのだからせめてインフレ対策として日
本国内で不動産や株や商品を買うべきなのである。それがまた
好景気や資産インフレを促進するはずである。
たとえば、国債の日銀引受（この場合政府の借金となる）と
か日銀券の大量発行（この場合日銀の債務となる）とか何らか
の形で貨幣を大量に増発しする。「政府貨幣」（日銀券とは異
なるいわゆる貨幣）発行権を日銀に売却すれば、それは日銀の
資産勘定に計上され政府の負債勘定に計上されず、正真正銘の
財政収入が得られるとするウルトラＣを主張する過激なケイン
ズ派の学者もいる。（大阪学院大学教授 丹羽春喜）
ただ貨幣の量を増やしても流通せねば景気対策にもならない
し、デフレを抑える効果も、緩やかな長期的インフレを引き起
こすこともないので、大規模な公共事業をどんどん行う。建設
公共事業以外にも色々な機会を作り出して公的資金を多種の民
間事業に補助金やサービス・商品購入の形で金を流す。
日本社会の害悪は、蜜を貯める蜂のようにふるまう国民が貨
幣を商品や不動産、株などに転形させずにそのままの形で蓄積
し、結局は貨幣の流れと社会的再生産サイクルを滞らせるとこ
ろにある。だから日本の税制は売買取引を制限せずに活発化す
るような仕組みにする。固定資産税、相続税、土地取引に関わ
る税などは縮小・廃止。銀行預金に累進課税すると貨幣から商
品・不動産等への価値の転形が進み、投資も活発化して好景気
・税収アップを促進するのではなかろうか。
消費税は売買を強く制限するが、インフレによる現行年金シ
ステム崩壊後に年金の財源とするため廃止しないほうがよい。
アメリカから欠陥兵器やあやしい中古兵器を高い金を出して
買うのを止め、代わりに国産の兵器を多種類大量に開発・生産
する。そのための研究開発機関、生産従事工場は政府機関・大
企業から町工場までが動員されることになるので、広範囲に仕
事や必要人員を増やし景気浮揚策としてはかなり有効と思われ
る。
前出の過激なケインズ派、丹羽春喜教授は大きなデフレ・ギ
ャップ（生産力の余裕）がある場合は、貨幣の流通量が増加し
てもインフレは起きないとしているが、私は単純に貨幣流通量
が極端に増加すれば、貨幣の商品・サービス・株式などの有価
値物に対する価値（交換比率）が下がり、インフレになるもの
とひとまずは考える。
長期インフレは、家計にとっても企業にとっても政府にとっ
ても、名目上の収益を増加させ過去の借金を返しやすくし、貨
幣価値の減少によって累積債務の実質量を目減りさせ、しかも
不動産・株式などの保有資産の額を増加させる。
「政府は円安によって企業の国際的競争力を高め景気と株価
を刺激しようとしている」とよく言われるが、インフレになれ
ば国内での貨幣価値が下がるので円の対外的な為替相場も自然
に下がる傾向にある。好景気による内需拡大は輸入を増やし、
それがまた円安傾向を導くはずである。
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。