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(回答先: あっしらさん、しつこくて済みません。 投稿者 せいがく 日時 2002 年 8 月 20 日 06:15:54)
「せいがく」さん、こんにちわ。
疑問や不明の点はご遠慮なくどしどし書き込みをしてください。それに応えることで、自分自身の曖昧な部分も明瞭になるので助かります。
>ある日米国は鎖国を決意した。
>その年、米国の実質GDPは500兆ドル、人口は三億人であった。
>翌年、米国は鎖国を継続し引き続き輸出入をゼロとした。
>この年生産性の大きな改善が見られ、実質GDPは10%アップの
>550兆ドルとなった。人口は三億人のままだった。
>貨幣供給(流通)量は変化がなかったため、物価水準は10%低下した。
>上記モデルより次のことが言える。
>(1)輸出がなくても国民経済の富は増加する。
>(2)労働人口が増加しなくても実質GDPは増加する。
>この(1)(2)は明らかにあっしらさんのご主張と矛盾すると思うのですが、モデルがお
>かしいのでしょうか、それともモデルからの結論の導き方がおかしいのでしょうか。
まず、GDP概念とりわけ名目と実質の区別及び利潤(利益)概念がごちゃごちゃになっていた誤りを認め、お詫びします。
「せいがく」さんが提示されたモデルと結論は正しいものです。
付加価値額の総額は不変で物価下落率が10%ですから、実質GDPベースではプラス10%になります。
但し、設定モデルでは、国民経済として利益は出ません。
3億人はすべて就業者とし、GDPを国民経済が1年間に産出した総付加価値額だとします。
また、生産性を付加価値額/従業者数という概念だとし、付加価値額に含まれるものは、人件費・租税公課・販売費・支払い利息・利益とします。
貨幣流通量が一定ですから、物価水準が10%下落した原因は、消費や投資に使われた貨幣量が10%減少したのではなく、人件費など投入額は変わらないかたちで「労働価値」が10%上昇したことを意味します。同じ通貨額で10%多い財がスムーズに買えるようになったはずです。
これは、租税公課・販売費・支払い利息が一定であれば、利益も変わらないことを意味します。租税公課・販売費・支払い利息のいずれかが増減すれば、それに連れ利益も増減しますが、付加価値額は変わりません。
付加価値額は変わらないので名目GDPは無変動ですが、物価水準が10%下落しているので、実質GDPはプラス10%になります。
翌年、利益が投資に使われることなく大事にしまい込まれる(金庫預金)と、名目GDPが減少し、それに比例するかたちで生産性(「労働価値」的な意味)が上昇しなければ実質GDPも減少します。
設定されたモデルでは、投資や消費に使われない退蔵通貨が増加するに連れ名目GDPが減少します。
とりわけ、生産性上昇で財の供給量増加が需要を超えることで、退蔵通貨の増加を引き起こすと同時に利益を中心とした付加価値額の減少を招くことが、このモデルの経済的苦境要因になります。
新しい財が開発され、その生産に利益が投入され続けていけば、実質GDPを継続的に増加させていくことができます。
おかげで、曖昧さがすっきりしました。ありがとうございます。
視野狭窄に陥りやすいので、これまでもいろいろとご指摘いただきますようお願いいたします。(とりわけ、利潤の源泉が国際的な経済取引にあることを意識しすぎていますので...)