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ふつうの水素原子とは電気のプラス・マイナスなどが正反対の「反水素」原子を大量に作り出すことに、欧州合同原子核研究機関(CERN)の早野龍五・東京大大学院教授らの国際研究チームが成功した。我々の世界と正反対のSFのようなあべこべ(反物質)世界や、素粒子の法則を解明する実験材料として活用でき、反物質科学という未知の領域の突破口となりそうだ。詳細は英科学誌ネイチャーの19日付オンライン版に掲載される。
反水素は、マイナスの電気をもつ反陽子とプラスの電気をもつ陽電子という、自然界にほとんど存在しない反粒子で構成される。現代物理学を支える多くの理論が水素原子の精密観測から生まれており、反物質世界の振る舞いを知るには大量の反水素原子が必要だ。
同研究チームは、真空中で高速の陽子を金属標的に当てて反陽子を作り、電磁力で1カ所に閉じこめた。この中で、放射性同位元素から作った極低温状態の陽電子と混合し、反水素原子を数万個生成させた。
CERNの別のチームが96年に、反水素原子を世界で初めて合成したと発表したが、10個程度で原子の寿命も短かった。早野さんらが作った原子の寿命はその1万倍。反物質の中で最も単純な反水素原子の量と寿命が増えれば、反物質研究は格段にやりやすくなる。
菅原寛孝・高エネルギー加速器研究機構長の話 ハーバード大チームと激しい競争をしてきたが、多くの困難を乗り越えて成果を出した。本格的な反物質世界の研究がこれでやっと始まる。反水素原子を精密測定すれば、素粒子論の定理を書き換えるような実験データが得られるかも知れない。
(18:49)