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玉石混交のネットの情報、国会図書館が収集・保存へ
インターネットに流れては消える膨大な情報を、国民の知的財産として残せないか−−。そんな
研究を国立国会図書館が始めた。ネット時代の「知性」を後世に伝えるには、これまでの書籍や新
聞、雑誌の収集だけでは足りないからだ。ただ図書館にはなじみの薄い分野だけに、しばらくは試
行錯誤が続きそうだ。
準備を進めているのは「ネットワーク系電子情報に関するプロジェクト」。京都府精華町に新設
される関西館のコンピューターシステムを使い、早ければ10月に技術面の実験を始める。
当面の柱は二つ。「データベース・ナビゲーション・サービス」では、ネット上の様々なデータ
ベースに国会図書館のホームページからアクセスできるようにする。5千件以上のデータベースに
つなげる予定だ。
「インターネット資源選択的蓄積実験事業」では、刻々と変わるホームページの情報を、時系列
的に収集する。まず、行政機関や先端技術の研究機関の数十のホームページを対象に、月1回程度
の間隔で保存を始める予定だ。
来年度には、国内のホームページを一切合切、保存する試みも計画している。ネット上の住所を
表すドメインに日本を示す「jp」のつくホームページを対象にする。
データ量は膨大だ。総務省郵政研究所の昨年8月の調査では、「jp」ドメインは約6500万
ページあり、総情報量は約4400ギガバイト(新聞約1万3千年分に相当)に及ぶ。情報の中身
は玉石混交だが、「内容による選別は避け、知的活動の総体を記録するべきだ」との考えから可能
性を探ることにした。
いずれの実験も04年度までに一定の評価をまとめ、集めた電子情報の分類・整理の仕方や、一
般利用者への提供方法も検討していく。
国会図書館がネット情報に注目するようになったのは97年ごろ。科学技術系の学会誌で、記事
をホームページに掲載して冊子の発行をやめる例が出てきたからだ。
国会図書館は、法律で定められた納本制度により、出版物の発行者らに書籍などの納入を義務づ
け、国内の出版物を原則としてすべて収集してきた。CD−ROMなどの電子出版物は対象に広げ
たが、ネット上の電子情報までは対応ができていなかった。
その後、一般の新聞、雑誌関係でもネット上だけの記事が増えたり、著名な作家がホームページ
で作品を発表するようになったりもした。メールマガジンの発行も約14万6000誌に達し、こ
れまでの収集方法の見直しが迫られるようになった。
欧米各国の国立図書館も事情は同じで、同様の研究が進んでいる。デンマークでは一部情報の収
集を実際に始めた。
課題も数多く指摘されている。(1)内容の確度にばらつきが多いネット情報をどこまで集める
か(2)後々まで残すことを予定していない情報も保存してよいか(3)頻繁に更新される情報を
どの時点で残すのが適切か−−などだ。
このため、技術面の実験と並行して館長の諮問機関「納本制度審議会」でも今年3月から制度面
での検討も始めた。
「膨大な情報が日々、失われていく現実を見過ごすことはできない。従来の図書館の枠組みにと
どまらず、保存に取り組みたい」と国会図書館収集部では話している。
http://www.asahi.com/culture/update/0831/002.html