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【セビリア(スペイン)森忠彦】当地で開かれていた欧州連合(EU)の首脳会議は22日、不法移民対策の行動計画を盛り込んだ議長総括を採択して閉幕した。移民の発生国との協力強化や国境警備の増強など、欧州で深刻化する不法移民問題への具体的対応策を打ち出した形だ。
行動計画によると、今年末までに移民発生国との間でのビザ政策の見直しや、共通の国境取り締まりを開始する。欧州委員会が提案した「共通国境警備隊」についても合意し、03年6月までに活動方針をまとめる。また、人道面の配慮が必要となる難民についても、受け入れの最低基準や居住権の見直しを図り、03年末までに共通の難民政策を策定する。
欧州に流入する不法移民や難民の主要発生国はトルコ、モロッコ、アフガニスタン、旧ユーゴ諸国、中国など。これらの国々との関係強化策として、不法移民の出国を防ぐための措置に対して財政支援などを行う一方、管理に協力的でない国への監視行動を取る。
スペインや英国は非協力国に対して明確な制裁措置の導入を訴えたが、フランスなどが効果や人権の面から難色を示したため、総括では穏やかな表現に留めた。しかし、「対策が不十分な国についてはEU共通外交として何らかの措置を取る」とし、外交圧力をちらつかせながら欧州への不法移民の流入を防ぐ強い姿勢を示した。
議長のアスナール・スペイン首相は「開かれた欧州に変わりはないが、非合法な犯罪集団を受け入れる余地はない。今日決定した厳しい期限付きの政策は、欧州市民の安全を守るために有効だ」と語った。
EUの東方拡大に関しては、12月のコペンハーゲン首脳会議で最大10カ国の次期加盟国を正式に決めることを再確認。新加盟国は03年春までに条約への署名を済ませ、04年6月に行われる欧州議会選挙に参加する。
候補国ながら加盟交渉が始まっていないトルコについても、10月に出る欧州委の報告書を踏まえて「新たな段階に入ることが12月の首脳会議で決まる」とし、交渉開始をうかがわせた。
また、閣僚理事会改革をめぐっては、現在、総合的な議題を扱っている外相理事会を、共通外交部門とその他に分割する一方、理事会の数を16から9に統合する事務局案に合意した。この改革は今年後半にも実施に移される。
◇移民・難民対策に関する行動計画の骨子
【セビリア森忠彦】EU首脳会議で22日採択された移民・難民対策に関する行動計画の骨子は次の通り。
▽共通の移民・難民政策の策定を急ぐ
▽合法移民との社会融和は重要であり、民族主義や排他主義は撲滅する
▽集団密入国にかかわる犯罪組織の取り締まりを強化する
▽ビザ政策を見直し、共通ビザ管理制度を導入する
▽国境警備隊(新設)を歓迎する
▽02年末までに共通の国境管理を強化し、移民連絡事務所を創設する
▽03年6月までに警備隊の活動方針をまとめる
▽移民の発生、経由国との政治対話を行い、協力関係を強化する
▽取り締まり協力国への財政支援を実施する
▽非協力的な国を監視し、外交措置の導入も辞さない(毎日新聞)
[6月22日23時31分更新]