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広島原爆の影響「想像絶する」 当時の赤十字の機密報告書判明 投稿者 倉田佳典 日時 2002 年 6 月 15 日 21:19:34:

06/15 16:08 原爆の影響「想像絶する」 赤十字の機密報告書判明 外信48

 【ジュネーブ15日共同=藤井靖】赤十字国際委員会(ICRC
)の駐日代表部職員だった故フリッツ・ビルフィンガー氏が一九四
五年八月三十日、原爆投下後の広島を視察、「病院での状況は想像
を絶する」と当時の惨状を克明に記し、核兵器の使用禁止を訴えた
機密報告書などがICRC本部(ジュネーブ)文書館に保管されて
いることが十五日までに明らかになった。           
 外国や国際機関による原爆の影響調査は、同年九月九日に広島入
りした米戦略爆撃調査団と故マルセル・ジュノーICRC駐日代表
の報告が知られているが、これに先立って広島を視察したビルフィ
ンガー氏の報告は昨年までICRCの機密指定が続くなどし、存在
そのものが一般には知られていなかった。           
 一連の文書のうち、八月三十日付で「包帯などが大量に必要」と
ジュノー代表に訴えた緊急電報は、戦略爆撃調査団が広島入りした
際、計十二トンの救援物資を届ける原動力となった。      
 機密報告書や電報の写しはこのほど、日本赤十字社経由でICR
C本部から広島の原爆資料館に届けられた。資料館は今年の資料展
での展示を検討する。                    
 八月三十日付の電報は、広島の状況について「筆舌に尽くしがた
い」「病院にはなお、推定で十万人以上がいる」とした上で、代表
が連合国軍と交渉し、大量の医薬品を広島に送るよう求めた。  
 これを受けてジュノー代表が連合国軍との交渉を開始。戦略爆撃
調査団の広島入りに合わせて十二トンの救援物資を送り、米軍では
なくICRCの管理下で物資を配給することで合意した。    
 またビルフィンガー氏がICRCを離れる直前の四五年十月二十
四日付で本部にあてた機密報告書は、本文が十三ページ。爆心地や
病院を訪問した際の様子が中心で「被爆者は髪が抜け落ちているほ
か、高熱、下痢などにさいなまされている」「患者に巻かれた包帯
は古く、うみがいっぱいたまっている」などと記した。     
 報告書は、原爆の殺傷能力は他の兵器と比べものにならないと指
摘。ICRCが、核兵器の使用禁止に向けた運動を起こすよう提言
した。                           
(了)  020615 1608              
[2002-06-15-16:08]

06/15 16:07 被爆者救援「陰の功労者」 ビルフィンガー氏  外信49

 【ジュネーブ15日共同】原爆投下直後の一九四五年八月末に広
島入りし、原爆の惨状を伝えた赤十字国際委員会(ICRC)駐日
代表部の故フリッツ・ビルフィンガー氏。日本でもほとんど無名だ
が、同氏が打った電報がなければ、直後の連合国軍の救援物資は届
かなかったとされる。被災者支援で「陰の功労者」ともいえる存在
だ。                            
 スイス・チューリヒに在住の妻インゲさん(89)によると、ビ
ルフィンガー氏は四四年九月、ICRCから申し入れがあった駐日
代表部職の要請を二つ返事で引き受けた。上海での仕事を放り出し
て混乱の日本に赴任するのはリスクがあったが、インゲさんは「夫
は(人道問題については)理想主義者だった」と語る。     
 原爆の惨状を目の当たりにしたのは、まったくの偶然だった。駐
日代表部は終戦後、連合国軍捕虜の解放を手掛けるため日本各地七
カ所に職員を派遣した。たまたま広島を担当したのがビルフィンガ
ー氏だった。                        
 だが原爆の傷跡を目撃し、広島の訪問は当初の目的から大きく変
質した。市内を視察した八月三十日のうちに救援物資を求める緊急
電報を故マルセル・ジュノーICRC駐日代表に送り、翌三十一日
には「(視察の経験は)一生忘れることがないだろう」との書簡を
代表に送っている。                     
 広島の原爆についての著作もあるジュノー代表と比べ、ビルフィ
ンガー氏は「広島」を公表しようとしなかった。同年十月にまとめ
た報告書でも、自ら「機密かつ非公式報告」として取り扱うよう求
めた。                           
 インゲさんにも多くを語らなかった。しかし長い夫婦生活の中で
何度か「原爆は二度と落としてはならない」と話したという。  
(了)  020615 1607              
[2002-06-15-16:07]
06/15 16:07 大川愛知大助教授の話  外信52


 大川四郎・愛知大学法学部助教授(法制史)の話 赤十字国際委
員会(ICRC)と広島の関係では、マルセル・ジュノー駐日代表
の救援活動が知られているが、ビルフィンガー氏の存在はジュノー
氏の著書でもわずかしか登場しない。二人の間で個人的なあつれき
があったからだと思われるが、ビルフィンガー氏の働き掛けがなけ
れば、救援物資は届くことはなかった。その意味で日本、特に広島
にとっては無視できない存在であり、さらに知るべき価値がある。
(ジュネーブ共同)                     
(了)  020615 1607              
[2002-06-15-16:07]
06/15 16:07 ビルフィンガー氏略歴  外信51

 フリッツ・ビルフィンガー氏 1901年スイス・チューリヒ生
まれ。チューリヒ工科大卒業後、アルミニウム大手のアルキャンに
就職。同社上海事業所の責任者だった44年9月、赤十字国際委員
会(ICRC)の依頼でICRC駐日代表部職員に。45年8月、
広島に派遣され、原爆の惨状を視察。同年10月にICRCを辞任
後はアルキャンの極東地域担当副社長などを務めた。93年死去。
(ジュネーブ共同)                     
(了)  020615 1607              
[2002-06-15-16:07]

06/15 16:07 ビルフィンガー文書の要旨  外信50

 【ジュネーブ15日共同】フリッツ・ビルフィンガー氏がまとめ
た文書の要旨は次の通り。                  
 ▽マルセル・ジュノー赤十字国際委員会(ICRC)駐日代表あ
て電報(一九四五年八月三十日付)              
 市の80%が吹き飛んだように見える。筆舌に尽くしがたい。多
くの被爆者はいったん回復した後で、病状が再び急変している。病
院にはなお、推定で十万人以上がおり、包帯や医薬品が深刻に不足
している。連合国軍司令部に対し(救援物資の)空中投下を訴えて
ほしい。すぐに行動を起こすことが極めて望ましい。医療調査団も
派遣してほしい。                      
 ▽ジュノー駐日代表あて書簡(八月三十一日付)       
 広島で一日半、過ごした。一生、忘れることはないだろう。私の
(三十日付の)電報は受け取ったと思う。(内容は)決して誇張で
はない。あなた自身、できるだけ早い時期にここに来て、自分の目
で確かめるよう強く進言する。多くの被爆者は治療が受けられず、
身体の大部分がやけどで覆われ、傷口にはハエがたかっている。 
 ▽ICRC本部あて機密報告書(十月二十四日付)      
 八月三十日、市内を視察した。爆撃の被害は、爆風と放射線、そ
して熱による。爆心地から半径二キロ以内は完全に破壊され、同六
キロ以内は家屋が大破、十キロ離れた地点でも被害が確認された。
 被爆者は皮膚に斑点ができ、頭髪を失い、高熱や下痢に苦しんだ
末、数日以内に死亡した。爆心地の近くにいた被爆者は焼き尽くさ
れ、身元を特定できない。被爆者の治療に当たるべき医療スタッフ
や看護婦は、悲劇的なまでに不足している。          
 病院での状況は想像を絶する。患者はコンクリートの床に寝かさ
れ、畳の上の人はわずかしかいない。患者に巻かれた包帯は古く、
うみがいっぱいたまっている。                
 原爆の影響は、毒ガスも含めた既知の兵器をはるかに上回る。I
CRCは、核エネルギーの管理に関する国際的な議論に参加し、破
壊的な力を持つ核(兵器)を非合法化するために影響力を行使する
べきだ。                          
(了)  020615 1607              
[2002-06-15-16:07]

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