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ネット専業証券会社から、証券会社のディーラーが使う情報端末とほぼ同じ機能を与えられた個人投資家が、株価形成に大きな影響を与えるように
なってきています。これからの株式市場はどのように変化し、また、会社の価値を高めようとする経営者はどのような対応をとってゆけばよいので
しょうか。それとも、個人投資家(ネット専業証券会社)に対してなんらかの規制がかけられるのでしょうか。三大証券会社らの今後の動きにもよる
のでしょうが、興味深いところです。
膨らむ株ネット取引 〔日本経済新聞〕 (5.31.2002)
個人投資家の株式取引で、インターネットを経由した売買注文が膨らんでいる。ネット事業証券が提供する情報と格安の手数料を武器に、一部の個人が短期売買を繰り広げ、株価形成にも影響を与えている。その一方でネットに流れる真偽不明の情報をどう規制するかなど、課題も多い。
若者でごった返す週末の東京・渋谷。駅前のオフィスビルで研修企画会社のトレードスクール(東京・渋谷、林芳夫代表)が開く「プロディーラー養成講座」に50人ほどの個人投資家が詰めかけた。1日の間に売りと買いを完結させて値ざやを稼ぐ「デートレード」の講座だ。
受講者は30-50代の男性で株式投資の経験者が大半。「損を繰り返し中長期投資をあきらめた人も多い」(林代表)。講師で自身も個人トレーダーの富永浩央氏は「買った株式を翌日まで持ち越さずに売るのが最高のリスク管理」と言う。
日本証券業協会の調べでは、2001年度下期(昨年10月-今年3月)のネット取引による株式売買代金は約12兆6000億円と上期より12%増加。個人の売買全体に占めるネット取引の比率は49%に達した。
もっともネット取引が新たな投資家層を獲得しているわけではなく、既存の個人投資家がネットという手段を得て、売買頻度を高めている側面が強い。
2%の高速回転マジック--。松井証券、DLJディレクトSFG証券、イー・トレード証券のネット証券上位3社の顧客の保有株式は約1兆2000億円(昨年末)と個人全体の2%に過ぎない。その2%が野村、日興、大和の三大証券の合計額に匹敵する株式売買代金を生み出している。
手品のタネは売買回転率の高さだ。株式の売買代金を預かり資産残高で割って算出する回転率は、野村など大手3社の年1回前後に対して、ネット最大手の松井は約17回(2002年3月期実績)に上回る。
ネット取引の口座数は今年3月末に300万を越えたが、そのうち2割の口座で売買注文の6-8割を占めるとされる。活発な短期売買に取り込む個人の資金は年間数十回という超高速で回転している。あるネット証券では1カ月の売買が1100回にも及んだ顧客もいた。
こうした短期売買を後押ししているのが手数料の安さと情報量の拡大だ。例えば松井の場合、1日の売買代金が300万円までなら手数料は一律3000円。大手証券などの対面営業に比べて10分の1程度の水準だ。
ネット専業証券が提供する取引システムも、今や証券会社のディーラーが使う情報端末さながらの充実ぶり。画面には株式やリアルタイムの売買注文情報、最新ニュースなどが刻々と流れる。
「企業の業績はあまり気にしない。一番神経を集中するのは『板』情報」。デ−トレード歴3年の藤原慶太氏(33)はこう語る。
板情報とは、最新の株価を挟んで上下3本の価格に出されている注文数のこと。数秒後、数分後の超短期の株価の方向を読む手掛かりになる。2000年末から個人にも一部公開されるようになり、証券会社との情報格差は格段に縮まった。
藤原氏は「毎日10銘柄、20回程度の売買をこなす。1日で投下資金の5%程度の値ざやは稼げる」という。
ある中堅証券のディーラーは「ネット証券経由の個人の注文動向は同業者並に気にしている」と話す。ネット取引という手段を得て、一部の個人投資家の「プロ化」が加速している。