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日本一の繁華街、東京・歌舞伎町に街頭防犯カメラが設置されたのに続き、都内の住宅街4か所にも、「スーパー防犯灯」が登場した。警視庁などが約1億9000万円をかけて、3月末に設置したもので、外見は街路灯だが、警察署につながるテレビ電話と、24時間撮影の防犯カメラ付き。110番通報の件数がめっきり減る防犯効果が表れる一方で、プライバシーの観点から、安易な設置を戒める声も上がっている。昨年、刑法犯の認知件数が約29万3000件と戦後最悪を記録した都内では、“監視社会”が当たり前になりつつあるのだろうか。
東京都江戸川区清新町。約5500世帯が住む約70棟の団地群に、白く塗られた真新しいスーパー防犯灯19基が80メートル間隔で約1・5キロにわたって並んでいる。高さ約6メートルの照明灯の下に据え付けられた大きな電球のような形のカメラは、24時間作動している。映像は常時モニターされているわけではないが、警察署に送られて録画される。また、柱に設置された非常ボタンを押すと、カメラ上部の赤色灯が点灯してブザーが鳴り、テレビ電話で署員と通話できる。
団地は大半がサラリーマン世帯で共働きも多く、日中でも人通りが少ない。付近では昨年4月、小2女児の誘拐事件もあった。「古い町会ならお年寄りなどの目もあるが、ここは若い世帯が多く、昼間は機械の目が必要」。宮本良治・シティコープ清新自治会長(64)は防犯灯の導入を歓迎する1人だ。
警視庁によると、まだ検挙例はないが、3月26日の設置後約2週間の同地区での路上犯罪の発生は、前年同期の22件から1件に激減し、同庁生活安全総務課は「抑止効果が顕著だ」と胸を張る。
スーパー防犯灯は、一昨年暮れに一家4人殺害事件が起きた世田谷区上祖師谷地区にも19基が設置された。周辺は1戸建てを中心にした閑静な住宅街。夜間は薄暗く人通りも少なく、近くの主婦(48)も「事件後は不安で、娘を車で送迎したり夜間の散歩を控えたりしていた。これで少し安心」と期待している。
都内ではさらに、自治会や商店街で自主的にカメラを設置する動きが加速し、スーパー防犯灯も江戸川、世田谷のほか、墨田区の東向島地区、杉並区の浜田山地区でもそれぞれ19基が設置された。ただ、スーパー防犯灯については、常時カメラが作動していることを知らない人もいる。江戸川区清新町の主婦(38)は「カメラは通報ボタンを押すと作動するものと思っていた」と驚いた様子だ。
2月には、警視庁が犯罪が多発する歌舞伎町の50か所に街頭防犯カメラを設置し、その映像をもとに6件の事件が解決されているが、気づかないうちに撮影されることへの異論も根強い。プライバシー問題に詳しい棟居快行・成城大法学部教授(憲法学)は「犯罪が比較的多いというだけでは、設置を正当化する根拠にならない。むやみに撮影することは肖像権などプライバシーの侵害になる可能性がある」と指摘し、安易な設置拡大に警鐘を鳴らしている。
(5月9日14:36)