04/13 16:37 原潜の解体事業が中断 長引けば環境汚染の懸念も 政治05
共同
冷戦後のロシアの核兵器廃棄に対する支援策として、日本が実施
を決めたウラジオストク近郊の退役原子力潜水艦の解体事業が、事
実上中断していることが十三日、明らかになった。
交換公文の調整不調やロシア側の軍事データの開示拒否などを理
由にしているが、現地を訪れた政府関係者は「退役原潜が数十隻あ
り、環境への影響が懸念される」と指摘。事業に本格着手できない
状態が長期化すれば今後、日本海への環境汚染の恐れもあるという
。
領土交渉が停滞する中、政府は国際協力と技術開発支援で日ロ間
の環境整備を進めており、科学分野に関する二国間協議の場などで
ロシア側の積極的な対応を求める方針だ。
事業は旧ソ連崩壊に伴う核兵器や運搬手段の廃棄、解体作業に対
する「非核化支援策」の一環。一九九三年に日ロ間の協定を結び、
東京に技術事務局を置く「日ロ核兵器廃棄協力委員会」が設置され
た。
政府は旧ソ連の核が配備されていたウクライナやベラルーシ、カ
ザフスタンへの技術協力と併せ、九九年の主要国首脳会議(ケルン
・サミット)で総額二億ドルの支援を約束。同年五月の高村正彦外
相(当時)のモスクワ訪問時に、冷戦期に戦術核も搭載した退役原
潜の解体事業の実施方針を打ち出した。
政府はそれ以降、事業実施に当たり(1)原潜から出る使用済み
核燃料の輸送用コンテナの貯蔵施設整備(2)使用済み核燃料輸送
のための鉄道線改修―を調査。鉄道線改修については昨年、交換公
文案をロシア側に送付したが、返事がないままとなっている。退役
原潜の具体的なデータの提出要請に対しても、ロシア側は「軍事情
報」を理由に開示を拒否、事業を進められない状態が続いている。
(了) 020413 1637
[2002-04-13-16:37]