官房機密費の使途、共産党が文書公表
共産党の志位委員長は12日午後、衆院議員会館で記者会見し、宮沢内閣時代の1
991年から92年にかけて、加藤紘一官房長官(当時)が自由裁量で使っていた内
閣官房機密費の実態を示す内部文書を入手したと発表した。
この中で国会対策費(国対費)として3574万円が自民党や野党議員の背広代な
どとして支出されていたことが明らかだと指摘した。また、毎月10日付で「長官手
当」の名目の支出があり、職員に手当を払っていたと思われるとしている。文書が実
際の記録であれば、内閣官房機密費の一部が初めて明らかにされたことになる。
共産党が公表したのは、〈1〉金銭出納帳〈2〉費目別に集計したと見られる(内
閣用箋(ようせん)を使ったとされる)メモ〈3〉収入支出を月別に集計したメモ―
―の3点。
資料によると、金銭出納帳に記載された機密費の総額は1億4384万円のうち、
1億4300万円が「長官より」とされ、1件を除きすべて100万円単位で入金さ
れている。
国会対策費は計3574万円が支出され、主に当時の野党幹部や、自民党総務、参
院正副幹事長などに背広などを贈ったことがうかがえる。
政治家のパーティーには3028万円が支出され、政治家の「励ます会」「出版記
念会」「シンポジウム」のパーティー券などを購入している。
官房長官室手当と首相秘書官室手当では計1662万円が使われ、共産党は「毎月
10日の国会議員歳費・公設秘書給与日に合わせて、官房長官関係者にヤミ給与とし
て上乗せされていた疑いが強い」としている。
共産党は、今回の官房機密費の資料を踏まえ、〈1〉内閣官房機密費の使用の実態
を国会と国民に公開する〈2〉機密費の党略的・私的流用は今後行わないよう約束す
る〈3〉外務省から首相官邸への「上納」に関する真相を調査・公表する――の3点
を小泉首相に要求している。
共産党によると、これが内閣官房機密費の会計記録の一部だと信じるに足る理由と
して、〈1〉収入についての検証〈2〉支出についての検証〈3〉政治的背景につい
ての検証――を挙げ、裏付け調査をしたとしている。
(4月12日14:11)
http://www.yomiuri.co.jp/top/20020412it06.htm