(回答先: 学習内容の先送りと削減の具体的内容:算数の場合 投稿者 てんさい(い) 日時 2002 年 4 月 10 日 19:13:34)
理科の場合
小学校の授業時間数は420時間から350時間へと17%減り、学習内容も3割近く削減されます。
「生物とその環境」では、例えば、植物の成長順序の学習で扱う例が2〜3種と限定され、他との比較は扱わなくなります。生物関連の単元では、できるだけ多くの事例にふれた方が子どもたちの興味や関心を引き出すことができますし、仕組みについても理解しやすいと思われます。
「物質とエネルギー」では、例えば、電流と豆電球の単元で乾電池の使用は2個までに制限されています。これでは、並列に直列つなぎを組み合わせた場合などを調べることはできません。いろいろ組み合わせて実験してこそおもしろいのではないでしょうか。
「地球と宇宙」では、例えば、太陽や月の1日の動きが削除されているため、月や太陽などが時間の経過とともに東から西へ動いて見えることはおろか、こうした現象は、地球が西から東へ自転していることによる見かけの動きによるものであることすら理解できなくなります。まさに、地動説から天動説への逆戻りとさえ言われています。
社会の場合
小学校の授業数は420時間から345時間へと18%削減されます。学習内容に関しては、算数や理科と異なり、内容を大幅に削減するのではなく、枠組みを維持し、中身を薄める形をとっています。それが、新指導要領の各所に見られる「選択」という表現の意味するところです。
例えば、「食料生産に従事している人々の工夫や努力」については、稲作の他、野菜、果物、畜産物、水産物の中から1つを選択し、「工業に従事している人々の工夫や努力」では、金属、機械、石油化学、食料品工業などの中から1つを選択するということで、つまり、選択されない項目の削除ということになります。理科でもそうであったように、 扱う事例が少ないほど、全体が見えにくくなるのではないでしょうか。
国語の場合
小学校の授業時間数は1601時間から1377時間へと14%削減され、主要四教科の中では、最も減少率は低いですが、中学校の授業数は23%も減らされます。学習内容では、「読み書き」よりも「話す聞く」を重視し、「理解」よりも「表現」を優先し、コミュニケーション力の養成に力を入れています。「読むこと」に関しては、授業時間が30%以上削減されるので、「読解力」は大きく低下するのもと思われます。
また、学年配当漢字の「書き」が1学年先送りされたことにより、小学校で学習する漢字がこれまでの1006字から6年で学習する181字の「書き」が削除されたことを意味し、小学校の段階では、その181字は書けなくてもいいということになります。漢字は読みと書きを対にして学習してこそ、自分のものになっていくのではないでしょうか。
ここで、ご紹介しました、各教科に関する先送り、削除の内容は、ほんの一部です。詳しくは、「2002年教育改革」(進学館)http://allabout.co.jp/redirect/cgi/r2.cgi?url=http://www.shingakukan.com/about50.htm
をご覧下さい。