(回答先: メディア規制3法案:有事法制への布石? 投稿者 ROM潜 伊-HEXA号 日時 2002 年 4 月 10 日 02:35:10)
日本が、外部から武力攻撃された場合に備える有事法制。政府は今国会に提出する関連三法案の骨子を与党側に示したが、どのような事態を有事と認定するか、また国会関与のあり方をめぐって異論も出ており、調整課題が残された。政府は週明けの八日、法案に近い内容の「要綱」を与党側に提示した上で、十六日に関連法案の閣議決定、国会提出を目指しており、詰めの調整を急ぐ。(竹内洋一)
■事態認定
有事法制関連三法案の一つである自衛隊法改正案では、防衛庁長官は防衛出動が予測される場合、部隊展開が見込まれる地域で、自衛隊に陣地構築などの措置を事前に命じることができる。この際、隊員には一定の武器使用を認め、民間用地の収用についても、防衛出動時と同じ規定が準用される。
現行自衛隊法では、長官は防衛出動が予測されるときに「防衛出動待機命令」を発することができるが、この場合は部隊に陣地構築や武器使用は認められていない。今回の改正では、防衛出動以前から、自衛隊に防衛出動時に近い権限を与えることになる。
また、中谷元・防衛庁長官は今月四日の衆院安全保障委員会で、朝鮮半島や台湾など日本周辺地域の有事、いわゆる「周辺事態」が緊迫した段階から有事法制関連法を適用することもあり得るとの見解を示した。しかし、どういう事態が有事関連法の適用対象になるのかは、必ずしも明確ではない。
これに対し、公明党の冬柴鉄三幹事長は三日の与党協議会で、「武力攻撃事態法案に『武力攻撃が予測されるに至った事態』という表現が盛り込まれているが、どのような事態を指しているのか明確でない」と、有事の定義が広がったことを指摘。暗に、文言の修正を迫った。
政府としては、早期の段階から国防体制を整えるために「有事」の幅を広げた格好で、「自衛隊の行動は対処基本方針に書き込み、国会承認を求めて実施する」(防衛庁幹部)としており、権限が行き過ぎることはないとの見解だ。
ただ、国民の権利制限に直結する問題だけに、今後の協議の焦点になりそうだ。
■国会関与
武力攻撃事態法案の骨子によれば、政府は有事に際して「対処基本方針」を定める。対処基本方針は、武力攻撃事態の認定や自衛隊の行動を定め、閣議決定後直ちに国会に承認を求めることになっている。
一方、自衛隊の防衛出動は、自衛隊法で国会による原則、事前承認が定められている。対処基本方針に当初から防衛出動を含める場合は、一度の国会承認で済むことになるが、方針決定から一定期間後に防衛出動を発令するときには、国会がどう関与するのか不透明だ。
四日の自民党関係部会では、「国会承認手続きがよく分からない」という意見も出た。政府内には、「国会承認は一度で済ませたい」(防衛庁幹部)という意見が強く、防衛出動の国会承認規定を見直す可能性も浮上している。
4/7朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sei/20020407/mng_____sei_____000.shtml