米政府、IPCC議長交代方針
米政府は3日、地球温暖化分野での世界の研究者でつくる「気候変動
に関する政府間パネル(IPCC)」のロバート・ワトソン議長の再選
を支持しない方針を明らかにした。
ワトソン議長は米国の科学者。米政府の支持もあって1996年にI
PCCの議長に就任。各国に積極的な温暖化対策を求めてきた。
環境保護団体の天然資源保護協会(NRDC)は同日、議長を交代さ
せるようホワイトハウスに求めた石油大手、エクソンモービルの内部文
書を公表。「石油業界などが、議長の再選を支持しないよう働き掛けた
結果だ」と批判した。
米国務省当局者によると、17日からジュネーブで開くIPCC総会
で米国は、任期が切れるワトソン議長の再選を支持せず、インドの経済
学者でタタ・エネルギー研究所長のパチャウリ氏を支持する。国務省は
「最適な人物として支持を決めた。保護団体の批判に対するコメントは
ない」としている。
だが、NRDCのヨン・コイフマンさんは「ワトソン議長は国際的な
評価も高く、不支持の理由は見つからない。石油業界は米国の政策だけ
でなく、温暖化の科学的議論もねじ曲げようとしている」と批判した。
IPCCは、地球温暖化の研究の現状や将来予測、対策などに関する
報告書をまとめ、京都議定書の交渉過程などに大きな影響を与えてき
た。(共同)
http://www.sankei.co.jp/news/020404/0404kok040.htm