03/22 20:00 ナチ犠牲者の口座3万6千 スイスがユダヤ人資産報 外信59
【ジュネーブ22日共同】第二次大戦中のナチス・ドイツと中立
国スイスのかかわりを検証していたスイス政府主導の「独立専門家
委員会」は二十二日、ナチスの犠牲になったユダヤ人の所有とみら
れる「休眠口座」がスイス国内に約三万六千あったなどとする最終
報告書を発表した。
略奪されたユダヤ人資産をスイスが戦後も保有しているとの批判
が一九九○年代に高まり、実態を解明するために委員会が九六年十
二月に設置された。スイスにとって「過去の清算」ともいえる委員
会の活動は、今回の報告書で区切りを迎える。
報告書によると、ナチスに殺害されたり国外追放されたユダヤ人
のスイス口座は戦後、スイスの各銀行が保有を続けた。犠牲者の家
族らが預金の引き出しを求めた際「記録の保管義務は十年間しかな
く、所有者に関する情報が残っていない」などとして、支払いを拒
否した銀行もあった。
極端な例では、行員が休眠口座の預金を着服したことが判明した
ものの、刑事訴追すれば事件が公になって世論の批判にさらされる
ため、着服が「不問」に付されたこともあった。報告書は、スイス
が徐々に法律や政令を通じて休眠口座の特定を進めてきたとしてい
る。
二十二日に発表された報告書は、委員会の調査活動の総合版。こ
のほかに「略奪された美術品の行方」や「大戦中のスイス貿易」な
ど、テーマ別に二十五巻に及ぶ詳細な報告が発刊された。
(了) 020322 2000
[2002-03-22-20:00]