酸素の1千万倍もの酸化能力を持つという「世界最強の酸化剤」の開発に、東大と東工大の共同研究グループが成功した。ディーゼル車の排ガスに含まれる有害な粒子状物質(PM)についても理論的には100%除去できるなど、安価で簡単に広い応用が期待できるという。
開発したのは、東大大学院の定方正毅教授と東工大応用セラミックス研究所の細野秀雄教授のグループ。セメントの成分の酸化カルシウムと酸化アルミニウムの化合物を作り、800度に熱して電圧をかけると、「酸素アニオンラジカル」と呼ばれる活性酸素が飛び出すことを突きとめた。
活性酸素が高い酸化能力を持つことは知られていたが、これまでは安定的に得る手段がなかった。開発した化合物は、周囲に酸素があれば、半永久的に活性酸素を出し続けるという。
この化合物をディーゼル車の排気管に取り付ければ、排ガスのPMも活性酸素と反応させることで除去できるほか、様々な有毒な化学物質も無害化できる。さらに半導体メモリーの表面加工や遺伝子の切断といったバイオ技術にも応用できるとしている。
研究成果は、27日に都内で開かれる日本化学会などで発表する。(読売新聞)
[3月15日14時35分更新]