【マニラ7日=源一秀】出資法違反容疑で警視庁の捜索を受けた「ジー・オーグループ」(東京都港区)は、フィリピンでも出資を巡るトラブルを起こしたり、現地で買収した銀行が取り付け騒ぎで休業に追い込まれたりして、社会問題を引き起こしていた。
関係者によると、同グループは1999年8月、マニラ市に広告代理会社「ジー・コスモス・フィリピンズ」社を設立、日本の通信販売事業への広告費名目で、少なくとも5700人の会員から3500万ペソ(約8700万円)の出資金を集めた。しかし、「出資金が還元されない」などとの苦情が出始め、昨年7月、フィリピン証券取引委員会が「投資業務は登録外業務で違法」として投資業務の中止命令を出したうえ、今年1月、罰金5700万ペソ(約1億4200万円)の支払いなどを命じた。
一方、同グループは、フィリピンズ社の社債名目で日本国内の会員から集めた資金のうち約13億円を使って、昨年9月、現地の銀行「ユニトラスト・ディベロップメント銀行」(本社・マカティ市)を買収したが、今年1月、取り付け騒ぎが発生。現在は、営業を停止、預金保険機構の管理下に置かれている。
◆街に看板、TVでCM…「カルト教団では」の声も◆
マニラ市内などの街角には一昨年秋ごろ、「ジー・オーグループ」の実質的オーナー、大神源太名誉会長(39)の顔をアップにした巨大な看板が、急速に幾つも並び始めた。大神会長はテレビCMにも繰り返し登場し、武道を演じた。現地では、名前と顔は一躍有名になったが、当初は、一体何者なのかだれも分からない状態だったという。
昨年9月、グループは「ユニトラスト銀行」を買収するが、銀行内でも不評を買った。
同銀行の元行員によると、同行では買収後、朝礼で太鼓をたたいたり、大神会長をたたえる本を読んだりと、風変わりな「社員教育」を始めた。このため、「カルト教団では」といううわさが広まり、約130人の行員中、約80人が退職。辞めた行員の親せきや知人の預金が一斉に引き出され、今年1月に事実上破たんするきっかけとなったという。大神会長は買収前、同グループ元幹部らに、「銀行があれば何でもできる」と話していた。(読売新聞)
[3月7日14時2分更新]