03/06 12:16 米がMOX燃料返還に同意 核テロの危険ないと判断 外信52
【ワシントン5日共同】製造データ改ざんが発覚し、福井県高浜
町の関西電力高浜原発から英核燃料会社(BNFL)に返還される
プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料の海上輸送につい
て、米政府は五日、日米原子力協定に基づいて同意することを日本
政府に伝えた。この結果、早ければこの夏にも返還輸送が実施され
る見通しとなった。
輸送に当たって日英両国は、英国の二隻の武装輸送船を使い、英
原子力公社の武装警察隊を乗り込ませることを決定。米政府も「テ
ロリストグループに奪われる危険はなく、米国の安全保障上も、核
不拡散上も問題ない」と判断した。
このMOX燃料は、BNFLが製造、高浜原発でのプルサーマル
発電用に一九九九年に輸入したが、BNFLでの製造データ改ざん
が発覚、日英政府が英国への返還で合意。プルトニウム生産に使っ
たウランが米国の管理下にあったことから、米政府の同意が必要と
なっていた。
輸送計画によると、輸送船には、三○ミリ砲三門を備え、有事の
際に使う高速の武装ボートも装備する。武装警察隊はライフルや短
銃などの火器、高圧電流銃などで武装、ガスマスクも配備するなど
、過去二回、英国から日本にMOX燃料を輸送した際と同様の警備
方法となる。
米政府によると、このMOX燃料には約三千五百キロのウランと
、二百五十五キロのプルトニウムが含まれ、BNFLの工場で燃料
からプルトニウムを抽出し、再度、MOX燃料に加工して日本に輸
送される。
核不拡散に反対する米市民団体、核管理研究所のトム・クレメン
ツ代表は「昨年九月十一日のテロ事件以降、核ジャックへの懸念が
高まる中でのプルトニウムの輸送や利用は、世界の安全保障上、大
きな脅威だ」と批判している。
(了) 020306 1215
[2002-03-06-12:16]