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(記事)はまる心のナゾ(1) 投稿者 踊る藁人形 日時 2002 年 3 月 06 日 02:33:51:

制御不能の欲求 広中 直行 

 毎日必ずテレビを見る。メールを常に確認している。ゴルフには毎週欠かさず行く。なぜだろう。
 仕事、娯楽、健康など理由はいろいろあると思う。では、テレビもパソコンも携帯電話も誰かにあげてしまい、ゴルフともしばらく別れよう。あなたは何となく不安と不快を感じるはずだ。
 不便、不自由、不健康と、その理由もいろいろ考えられるだろう。そんな状態で半年や一年、暮らせないかというと、絶対に無理だとはいえないはずなのだが。
 習慣になっている行動を続ける本当の理由を私たちは知らず、もっともらしい説明があるとしても、それは後から適当にくっつけているのではないだろうか。ここに「アルコール依存や覚せい剤依存と共通する心理があるかもしれない」と言ったら、信じてもらえないだろうか。
 麻薬や覚せい剤に対する依存の本質は「その効果を繰り返し経験したいと思う強烈で制御不能の欲求」とされている。制御不能とは、だんだんエスカレートしてきたとか、やめようと思ってもやめられない、悪いと知りつつ手を出す、仕事や家庭を犠牲にしてもやってしまう、ということだ。こんな状態をアディクション(し癖)と呼ぶ。これは薬物依存以外の行動にも当てはまる。その一つ、病的賭博は古くから精神医学の問題になっていた。近ごろはインターネット依存の診断基準を作ろうという動きもある。最近の科学誌『サイエンティフィック・アメリカン』にはテレビアディクションの話題が紹介されていた。
 ゲームにはまる子や、チャットにはまる若者、マネーゲームにはまるディーラーやショッピングにはまる奥様たちの行動は、アディクションと見分けがつかず、脳の中でアディクションと似たようなことが起きている可能性がある。はまるというよりもおぼれるとか、抜け出せないといった方がよさそうだが。
 精神医学や臨床心理学の立場では、社会の規範に反するか、心身の健康を害するかなどを判断し、正常な行動と異常な行動の間に一線を画す。
 しかし、ヒトや動物の行動を観察し、脳の中で何が起こっているかを考える立場からば、正常と異常の境界線をはっきり決めることができない。
 カナダのグループが昨年発表した研究によると、私たちの脳の前方を時期で何度か刺激していると、脳の中で依存と関係の深い化学物質が盛んに放出されるようになるそうだ。このとき刺激を受けた人々は何の変化も自覚しておらず、気分や感情も普段のままであったという。
 だが、この化学物質はやがて神経の活動に永続的な変化を起こし、決まった手順通りに行動しないと気が済まない、という状態を作り出す。そういう変化はいつの間にか起きる。

 いったい私たちは、どの程度自分の行動の主人公なのだろうか。これからはまる心理についての話題をお届けし、このことを考えてみたい。(専修大教授)
[日経2/17]


★コメント
たとえばご参考までに、
http://asyura.com/denjiha.htm
2000/07/11 update 医学博士・ハンス=クリストフ・シャイナー 1998)
http://www.jca.apc.org/tcsse/g-siryo/d-s.html
あたりとか…

★蛍光灯やテレビやパソコン画面の光の「ちらつき」も、影響あるかも知れませんね〜

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