東郷・西村の両大使を更迭へ 外務省
鈴木氏の影響力を排除
外務省は二十七日、自民党の鈴木宗男前衆院議運委員長の北方四島
人道支援事業への関与問題で、元欧亜局長で鈴木氏に近いとされる東
郷和彦駐オランダ大使と、その前任者の西村六善・経済協力開発機構
(OECD)日本政府代表部大使ら幹部数人を更迭、国際情報局や欧州
局の職員ら数人を処分する方針を固めた。外務省はすでに小町恭士官
房長、重家俊範中東アフリカ局長の更迭と佐藤優国際情報局主任分析
官の異動を発表しており、今回の方針決定は鈴木氏の外務省への影響
力を排除するために実施する人事刷新の第二弾。
外務省が東郷氏らの処分に踏み切ることを決めたのは「東郷、西村
両大使を処分しなければ組織が持たない」(同省幹部)と判断したた
め。具体的には、鈴木氏の意向で職務上、不当な扱いを受けたり、辞
職した職員らを省幹部として守ることができなかったという管理責任
を問う見通し。とくに東郷氏は二十二日付で外交史料館へ異動した佐
藤氏を重用するとともに、鈴木氏の訪露にもたびたび同行。外務省の
同僚や後輩に「橋一つかけるにしても、鈴木先生に話を通さなくては
いけない」と“助言”するなどしており、省内に「鈴木氏の外務省に
対する影響力を強める事態を招いた」との批判がくすぶっていた。
東郷氏はさきの大戦の開戦時と終戦時に外相を務めてA級戦犯とし
て禁固二十年の判決を受けて獄死した故東郷茂徳氏の孫。欧亜局ソ連
課長(現・欧州局ロシア課長)、駐ロシア日本大使館公使などを経て、
平成十一年八月から欧亜局長を務めたあと、十三年六月からオランダ
大使。西村氏は東郷氏の前任の欧亜局長で、東郷氏に局長を引き継
ぎ、十一年八月からOECD大使を務めている。
昨年三月の日露首脳会談直後に小寺次郎ロシア課長の英国公使転出
が発令された際には「北方四島返還交渉における『二島先行返還論』
をめぐる路線対立から、鈴木氏の意向を受けた東郷氏が小寺氏の異動
を決めた」(外務省筋)と指摘された。また、西村、東郷両氏が欧亜局
長を務めていた間に「国後島緊急避難所兼宿泊施設」(通称、ムネオハ
ウス)が計画・建設された。
東郷、西村両氏は二十七日行われた欧州大使会議出席のため一時帰
国中で、東郷氏は産経新聞社などの取材に対し、「思いの存念はすべ
て(北方四島支援事業への鈴木氏の関与を調べている)調査委員会で申
し上げる」と述べ、鈴木氏との関係については「調査委員会で話すこ
と。(鈴木氏をかばったりは)しない」と答えた。
http://www.sankei.co.jp/paper/today/itimen/28iti001.htm