【北京・坂東賢治】26日の「北京青年法」によると、中国政府は近く「戸籍法」を制定し、これまで農村と都市に2分されていた戸籍を居住地を原則とした新制度に統一し、戸籍の移動制限を緩和するなど大幅な改革を実施する。一方で身分証明書のICカード化や住民情報のコンピューター入力などを通じた管理強化も進みそうだ。
戸籍管理を担当する公安省幹部によると、これまでの戸籍制度の法的根拠は50年代に制定された条例。計画経済時代の産物で、市場経済化が進んだ現在では実態とかけ離れた条文が少なくない。このため、現状に合った「戸籍法」の制定を急いでいる。
計画経済時代の中国では都市住民に対し戸籍簿に基づいた食料配給が行われていたため、都市と農村の戸籍が厳重に区分され、移動もままならなかった。しかし、改革・開放政策で農村から都市への人口移動が進み、戸籍制度の改革の必要性が叫ばれていた。
今も農村から出稼ぎに来た労働者の子供が都市の学校への就学を断られるなどの問題があるが、将来は安定した職業と固定した住所があれば居住地に戸籍を置くことが原則になるという。一方で公安省は身分証明書のICカード化の研究を進めており、新たな管理強化策ともなりそうだ。
また、25日の新華社電によると、公安省は住民情報のコンピューター管理化を進めており、すでに10億人の情報の入力を終えた。このうち約6億人についてはネット上での検索が可能で、すでに逃亡した犯罪者の捜査などに使用されている。(毎日新聞)
[2月26日18時54分更新]