ブッシュ米大統領の訪中に合わせて中国政府が出版した記念写真集「米中関係三十年」に、首相として初訪米するなど活躍した趙紫陽元総書記(82)の記録が一切なく、趙氏が中国の“正史”から消去されていることをあらためて浮き彫りにしている。編集した国務院(政府)新聞弁公室のある当局者は「個人的には不自然と思うが、政治的な判断だ」としている。
写真集は、敵対的な米中関係を終わらせた72年2月のニクソン米大統領の訪中以来の指導者を中心とする両国の交流を100枚余の写真でまとめた内容。
表紙と巻末は昨年10月、上海で開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)で江沢民国家主席とブッシュ大統領が伝統的な中国服姿で握手するツーショット。
99年4月に朱鎔基首相が訪米した時の写真も2枚。だが米中国交樹立(79年)後、趙氏が中国首相として84年1月に初訪米、レーガン大統領と会談した時や、89年2月にブッシュ米大統領(現大統領の父)が訪中、総書記として会談した時の写真や記録はない。
趙氏は同年6月の天安門事件で解任され、上海市党委書記だった江氏が後任の総書記に就任した。 (北京・共同)(毎日新聞)
[2月26日10時51分更新]