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※文字起こし
功罪ある「小選挙区比例代表並立制」をどう使いこなすか 永田町の裏を読む
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/284749
2021/02/04 日刊ゲンダイ
細川護熙元首相(左)と河野洋平元自民党総裁(C)日刊ゲンダイ
1993年の「政治改革国会」で自民党の一党支配が崩れて細川政権が生まれ、自民党は野に下った。翌94年に今の小選挙区比例代表並立制の制度ができて、それによる初めての総選挙が行われたのが96年10月のことである。それから四半世紀が経って、当時の立役者である細川護熙元首相と河野洋平元自民党総裁に、この制度の功罪について日本経済新聞1月21日付が問うている。
細川はこの制度をつくった側だから、政権交代可能な政治システムをつくろうとした改革の方向はもちろん肯定するが、それでも「理想とする『穏健な多党制』につなげるには不十分だった」「小選挙区と比例代表を250議席ずつにする案を主張したが、残念ながら小選挙区は自民党案の300議席になった」などと、まだ改善の余地があると述べている。
それに対して河野はかなり否定的で、「小選挙区制で政治は劣化した」「比例代表制で少数意見はすくえていない」「公認候補決定や人事など執行部の権限集中も進んだ」と、マイナス面ばかりを挙げている。
実際、国会議員や政治評論家の中にも「小選挙区制は間違いだった」「中選挙区制に戻すべきだ」と言う人が少なくない。が、私はそういう後ろ向きの議論には反対である。確かにこの制度にはいろいろ問題があり、例えば河野も指摘するように、小選挙区で落ちても比例で復活できる重複立候補制は有権者をばかにしているので、やめた方がいい。おかしいところはどんどん変えていけばいいのであって、日本とほぼ同じ時期に小選挙区比例代表並立制を導入したイタリアの場合は、94年から今日までに7回の総選挙を実施しているものの、ほぼ毎回のように選挙制度を改良し、比例代表併用制にして次にまた並立制に戻したり、純粋の比例制にしてみたりで、今はまた最初の並立制に戻している。
イタリアでは、どうしたら政権交代が起きやすいかという問題意識を与党も野党も共有しているから、相談しながらよりよい形を模索し続けている。そしてその結果として、旧共産党である「民主党」を中心とするリベラル連合と、ベルルスコーニをキーマンとする中道右派連合との間で、ほぼ毎回のように政権交代を実現しているのだ。
イタリア人は選挙制度を自分たちの思う政治を実現していくための道具として使いこなそうとしているが、日本人はそういう前向きな姿勢を持たず「制度が悪い」と不平不満ばかり言っている。
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