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児童手当「特例給付」縮減の狡猾 消費税充てる約束を反故
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/284713
2021/02/03 日刊ゲンダイ
子供を増やせと言いながら…(C)PIXTA
政府は2日の閣議で、中学生以下の子どもを対象とした児童手当のうち、高所得者向けの「特例給付」について、年収1200万円以上の世帯は廃止する方針を盛り込んだ児童手当法などの改正案を決定した。
児童手当は一定の所得に満たない世帯に対し、3歳未満で月1万5000円、3歳以上は原則月1万円を支給。一定以上の所得がある世帯には児童1人当たり一律月5000円の特例給付を支払っているが、改正法では年収1200万円以上の世帯は廃止する方針だ。
政府は特例給付の縮減で浮いた財源を待機児童対策に充当する、としているが、国税庁の民間給与実態統計調査(2018年)によると、年収1000万円以上の割合は全体の1.9%だから、果たしてどれだけの効果があるのか。
ネット上では<子供の手当ては税金の無駄だとは思わない><子供を増やせといいながら、児童手当を縮減してどうするのか><富裕層に児童手当は不要>などと賛否両論みられるが、そもそも待機児童対策に充てるというのであれば、まず財源として考えるべきは消費税だろう。
2012年に消費税率引き上げとともに打ち出された「社会保障と税の一体改革」では、政府は消費税率の引き上げ分を「すべて社会保障に充てる」と説明していたはずだ。子育てや医療、年金制度の充実させるため、などと言って当時の税率5%から10%へ2倍に引き上げたにもかかわらず、さらに特例給付に手を付けるのはどういうことなのか。
消費税率引き上げ分では財源が足りないというのであれば、国会議員の歳費や政党交付金の削減はもちろん、大企業の法人税率を引き上げたり、株式の配当や売却益にかかる金融所得課税を見直したりするなど別の方法がいくらでもあるだろう。そういった議論もないまま真っ先に児童手当に狙いを付ける政府の姿勢に、国民は狡猾さを覚えてしまうのだ。
「法人税率の引き上げや金融所得課税などに手を出せば、GDPに与える影響も大きく、反発も出てくるでしょう。総選挙のことを考えればできないと思います。とはいえ、政府は公明党などに配慮して富裕層に切り込んでいるというポーズもほしい。そこで特例給付に目を付けたのではないでしょうか」(生活経済ジャーナリスト・柏木理佳氏)
政府の最終的な狙いは児童手当の完全廃止ではないのか。
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