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重症化した知人の体験 「ただの風邪」ではないコロナ
https://www.chosyu-journal.jp/column/20055
2021年1月26日 コラム狙撃兵 長周新聞
知人が新型コロナウイルスに感染して年末に入院し、ようやく退院したものの、引き続き倦怠感がひどいようで、ベッドから起き上がるのもやっとで仕事にも出られない状態が続いているという。家族曰く、とくに歓楽街に飲みに出かけたりしていたわけでもなく、日々職場と自宅をバイクで往来するくらいで、GoToキャンペーンを利用して旅に出かけていたわけでも、飲食を楽しんでいたわけでもない。しかし、12月末に突如発熱症状があらわれ、病院に駆け込んで検査したところ「陽性」が判明。感染経路不明の患者として病院に収容されることとなった。
濃厚接触者として同居している家族にも即日PCR検査がおこなわれ、幸い陰性だったことから14日間の自宅待機で済んだものの、病院に見舞いにも行けず、様子を知ろうと思えば電話での会話のみ。喉がやられているのか電話口の向こうの声はみるみるかすれて調子がおかしくなり、当初は中等症の1で入院し、アビガンが投与されていたが効かず、次にステロイドホルモン製剤のデカドロンを服用したがこれも効かず、重症化したためについに酸素吸入器をつけられて、最後はレムデシビルを投与されて退院まではこぎつけたという。しかし、その後も自宅で療養しているのを見る限り、とても完治といえる状況ではないのだと家族は訴える。倦怠感や脱力感、疲れやすく息が上がるなど、後遺症のひどさも取り沙汰されているが、まさにそんな状態なのだと−−。
「コロナなんてただの風邪」として、壮大な陰謀論を語る人もいるものの、身近にコロナに感染して苦しんだ人の体験を耳にする限り、とても「ただの風邪」とは思えない。「ただの風邪」でアメリカでは第二次世界大戦の米軍人の死亡者数を超える40万人以上もの死者が出るのか? とも思う。願望や恣意、あるいは思い込みではなく、疫病に科学的に対峙して、防疫や治療をおこなうことの大切さを痛感する。
感染経路不明の感染者が増えているのは、それだけ無症候者が市中感染の源として存在しており、いまやクラスター追いかけだけではどうにもならないことを教えている。GoToキャンペーンをやめてもなお感染者が増えているのは、人の移動・会食を促したその期間中に、感染力の強い無症候者が格段に市中に増えたためと見るのが自然だろう。
PCR検査の徹底によって無自覚な感染者も含めて地域や社会全体のあるがままの感染実態を捉え、隔離・治療といった疫病対策の基本を実行する以外にないのに、政府がPCR検査を頑なに実施しないのはいったいいかなる理由からなのだろうか。隠れコロナ(無症候者)も厄介な感染源である以上、これを見つけて本人に自覚を促し、隔離することが収束への道だろうに、「絶対にやらない」と固く決意しているかのようである。連日のように、やれ本日の感染者は7000人であるとかの数字がニュースで流れるものの、それは発熱して症状を自覚した人及び濃厚接触者追いかけだけで捉えた数値にほかならず、市中に広がっている感染源は既にそんなレベルではないことを教えている。防疫の在り方を抜本的に変更することが求められている。
吉田充春
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