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止まらない森喜朗会長 批判噴出でも五輪開催へとブレない理由
https://jisin.jp/domestic/1941340/
2021/01/20 11:00 女性自身
「なんで、今そんなもの(中止や延期)を考えなきゃならんのか。私は淡々と平常心でこれをつとめていくだけですよ」
「まさに天命につくすという気持ちで最後まで頑張りぬきたい」
1月12日、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)は職員向けの新年のあいさつでそう話し、東京五輪を今年開催することへの強い意欲を見せた。スポーツ紙記者はこう解説する。
「五輪の主催者はIOC(国際オリンピック委員会)で、中止や延期の権限もIOCにある。だが、開催国の意向を無視して五輪を行うことは不可能なので、日本側が難しいといえば、その判断は尊重されることになる。菅義偉首相と小池百合子東京都知事とともに、森会長もキーマンの1人。このうちの誰かが“止めよう”といえば、五輪は中止になるだろう」
昨年3月、IOCのトーマス・バッハ会長と安倍晋三首相(当時)の電話会談で五輪の1年延期が決まったが、森会長と小池都知事も会談に同席した。“2年延期”という案もあったが、安倍首相とともに“2021年に賭けた”ことを森会長は明かしている。
だが、その賭けはどうやら外れそうだ。新型コロナウイルスの感染拡大は止まらず、今年7月に延期された東京五輪の開催に暗雲が垂れ込めている。1月10日に行われた共同通信の世論調査では、五輪を中止、または再延期するべきだという声は80%に達した。
だが、森会長はあくまでも強気だ。12日のあいさつの後に行われた「さあ、いよいよ東京オリンピック・パラリンピックだ」と題された講演で、「再延期は絶対に不可能だ」と明言している。
昨年3月、IOCのトーマス・バッハ会長と安倍元首相の電話会談で五輪の1年延期が決まった。
なぜ、森会長はこれほどまでに五輪の開催に固執するのか。五輪がもたらす莫大な利権が理由だと指摘する声もあるが、全国紙政治部記者はこう語る。
「利権という面もあるかもしれないが、森会長の五輪にかける情熱は本物だと思う。森会長は、幼少期からの夢だった早稲田大学のラグビー部に入部したものの、過酷な練習についていけず、4カ月で吐血して退部した経験がある。だから、アスリートに対して憧れにも似た尊敬の気持ちを持っていて、スポーツ界に貢献したいという情熱は人一倍高い。
政界引退後は、ラグビーワールドカップ日本大会と東京五輪の開催をライフワークとしてきた。2015年に肺がんが見つかり、2019年のラグビーワールドカップも見られないと本人も覚悟したようだが、新薬・オプジーボの効果もあって奇跡の回復。ラグビー日本代表の躍進を見守ることができた。そこで『あとは東京五輪さえ開催できれば……』と考えているのだろう」
2011年に招致委員会評議会議長に就任。東京五輪の開催決定後は組織委員会の会長として、大会の実現にむけて尽力してきた。
「五輪の組織委員会は、東京都やJOC、関係省庁、電通やJTBなどの民間企業などからの出向職員の寄り合い所帯。それぞれの利害をうまく調整してきたのが森会長だ。猪瀬直樹知事から舛添要一知事、小池知事と、都知事が目まぐるしく変わり、五輪に対する都の方針も変わっていったなかで、政治との折り合いもつけてきた。
首相経験者で、自民党の重鎮である森会長でもなければ、不可能だったと思う。中止になってしまえば、ここまでの努力がすべてふいになる。それは許せないのだろう」(前出・政治部記者)
東京五輪のキーマンのひとり、小池都知事。
12日の講演で、森会長は“再延期が不可能”な理由を“組織委員会の職員は東京都や各省庁などからの出向者。それぞれの人生があり、出向期間は伸ばせない。お金の問題ではない”と説明した。だが、前出の政治部記者は「それは内輪の論理に過ぎない」とばっさり。
「森会長が気にしているのは、自分や組織委員会などの悲願や都合だけ。ほとんどの人には関係のない話だ。コロナ禍で生活が困窮している人もいるなかで、金や人を割いて、感染拡大のリスクがある五輪を強行することに納得いかない人が多いのは当たり前のことだ」
およそ1年前、新型コロナウイルスの存在が明るみに出たが、入国制限がなかなか行われなかった。当時の安倍内閣が東京五輪の2020年での開催にこだわっていたためだという指摘もある。
東京五輪の存在がコロナ対策の妨げになっていると考えている人は多く、森会長への批判が日に日に高まっている。ツイッターなどではこんな声が。
《あなたの悲願のために国民を巻き込まないでほしい》
《なんで森喜朗と選手の自己実現のために、国民がリスクを背負わないといけないのか》
東京五輪・パラリンピックのメイン会場となる新国立競技場。
一方で、前出の政治部記者はこうも語る。
「元総理大臣とはいえ、森会長はもはや政治家ではない。会長として組織委員会を代表する立場でしかないわけだ。国民や都民の健康を考えて、五輪開催が可能かどうかを判断しなければならないのは、本来は菅首相や小池知事の仕事。もし、五輪開催によって感染者が増えるようなことがあれば、森会長よりも、2人の責任が問われるべきだ」
前出のスポーツ紙記者は、感染拡大が止まらないなかで五輪が強行された場合について、こんな懸念をしている。
「今までは五輪があるたびに、ほとんどの人が日本代表を素直に応援してきた。だが、もし東京五輪が強行した結果、感染は再拡大し、死者が増加するなどしたら、どう思うだろうか。“スポーツ界はわれわれの健康よりも自分たちの都合を優先させた”“アスリートは自分勝手”。そんなふうに多くの人の心が離れてしまうのではないか。
市民の理解が得られないまま、無理に五輪を行うことは、長期的に見てスポーツ界の利益を損なうことになると思う。森会長が今さら考えを曲げて止まるとは思えない。その場合のつけを払うことになる若いアスリートこそ、声をあげてほしい」
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