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支持率下落が止まらない菅政権 自民幹部「人心が離れた菅さんで乗り切るのは容易でない」
https://dot.asahi.com/aera/2021011800043.html
2021.1.19 08:02 中原一歩 AERA 2021年1月25日号より抜粋
13日に開かれた新型コロナウイルス感染症対策本部の会合/首相官邸 (c)朝日新聞社
コロナ禍への対応が後手に回り、支持率が急落する菅政権。身内の自民党内でも厳しい受け止めが広がる。また、感染リスクが高い医療や介護などの現場で働く人々からは、緊急事態宣言の有無にかかわらず現場環境は好転しないという悲観的な声があがっている。AERA 2021年1月25日号から。
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菅義偉首相は13日、それまで東京、千葉、神奈川、埼玉の1都3県に発令していた緊急事態宣言を、栃木、愛知、岐阜、大阪、兵庫、京都、福岡の7府県にも拡大すると発表した。
しかしこれまでの会見で、菅首相は「北海道、大阪など営業時間短縮を行った地域は(感染抑止の)結果が出ている」(4日)、「今の時点ではそういう(緊急事態宣言を出す)状況ではない」(7日)と明言していた。
■「支援の枠組みを」悲鳴
7日の時点で感染拡大が全国で進んでいることは政府の新型コロナウイルス対策分科会が明確に認めていたにもかかわらず、なぜ官邸は「1都3県」にこだわったのか。自民党幹部は、政府のこの方針は、当初から首をかしげる内容だったと語る。
「経済への打撃を鑑み、緊急事態宣言の発令は『限定的・集中的』にやるのが効果的という大方針を政府は打ち立てました。しかし、感染拡大地域の首長らの要請も圧力となって、結果、1週間も経たないうちに方針転換を強いられた。この先も芋づる式に該当県が増えていくのは明らかで、それでは緊急事態宣言そのものが形骸化してしまう。案の定、支持率は落ちる一方。最悪のケースは人心が離れること。そうなると、この危機を菅さんの顔で乗り切るのは容易ではなくなる」
この自民党幹部の言葉通り、すでに当該地域の、とくに医療や介護などの現場で働く人々からは、諦めにも似た「しらけた」声もあがる。大阪市内にある介護施設の幹部は、政府が今更、緊急事態宣言を発出しようがしまいが、現場の環境は好転しないのではないかと、悲観的な見方を示す。
「施設内でクラスターが出たとしても、スタッフに対するPCR検査は『マスクをつけないで15分以上会話した』などの条件がないと、濃厚接触者として認められず公費での検査も受けられない。この対応はソーシャルワークの最前線で働いていても、一般人と同じ。結局、自分たちで民間の検査施設を探して検査を受けるしかない。これでどうやって社会的に最も弱く、感染リスクが高い人々を守れるのか。この状況が去年の春から全く変わっていないのです」
その上で、最大の課題は、すぐに使える支援のスキームがないことだと嘆く。
「当初、病床や宿泊医療施設をはじめ、介護や福祉施設にも使える緊急包括支援交付金があったのですが、第2波でその予算も底を突いてしまっています。そんなことは、厚生労働官僚であれば誰でも知っている。明日にでも施設の運営、経営そのものが破綻するかもしれないと、胸が張り裂けそうな危機感を抱く事業者の具体的な受け皿が、ここにきて何もない。結局、自力でなんとかしろ、と国に突き放されたとしか思えないのです」
(編集部・中原一歩)
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