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※2021年1月12日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大
※2021年1月12日 日刊ゲンダイ2面
【逃げる総理には退陣を】
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) January 13, 2021
菅首相という腫れ物に触るかの大マスコミ
日刊ゲンダイ pic.twitter.com/kDeLR5KCXe
※文字お越し
菅首相に対する不信感が爆発的に拡大している。利権丸出しの「Go To トラベル」強行で新型コロナウイルスを蔓延させ、緊急事態宣言を1都3県に再発令する危機的状況を招いたのだから当然だ。13日にも大阪府、京都府、兵庫県が対象に加えられ、全国に広がるのも時間の問題。それにしても、絵に描いたようなつるべ落とし。内閣支持率が不支持率を下回るのは常態化してきた。
JNNの世論調査(9〜10日実施)によると、支持率は前月比14・3ポイント減の41・0%に急落。不支持率は14・8ポイント増の55・9%に急伸した。政府の新型コロナ対応を「評価する」は11ポイント減の28%に落ち込み、「評価しない」は14ポイント増の63%。宣言再発令のタイミングについて「遅すぎる」が83%を占めた。2月7日までの1カ月間で解除する方針についても、「できるとは思わない」が87%に上った。菅政権が全く信用されていない現実が浮き彫りである。
共同通信の調査(9〜10日実施)でも無残な数字が並ぶ。支持率は前月比9・0ポイント減の41・3%で、不支持率は10ポイント増の42・8%。政府の新型コロナ対応を「評価しない」が68・3%を占め、「評価する」は24・9%にガタ減りし、安倍政権下も含めて最低評価だ。宣言再発令のタイミングは「遅すぎた」が79・2%に上った。
政権発足からわずか4カ月で菅が世論から見放されるのは自業自得だ。利権最優先の愚策に固執し、感染抑止策は後手後手の小出し。泥縄の繰り返しだから効果は表れない。野党の追及を嫌がり、国会は常にないがしろだ。昨年の臨時国会は野党の延長要求を無視して予定通りに閉会し、再発令に伴う国会での事前報告はトンズラ。新型コロナ対策の特措法32条は宣言発令に際しては、首相が務める「政府対策本部長」が「国会に報告する」と規定しているにもかかわらず、衆参両院の議院運営委員会に立ったのは「副本部長」の西村コロナ担当相だった。
メディアも共犯関係
かろうじて開いた会見は、毎度おなじみの「次の日程との関係」で52分間で打ち切り。そのうち、12分間は菅「挨拶」で消費され、残りの半分は同席した政府の新型コロナ対策分科会の尾身茂会長による説明に割かれた。菅が質疑に応じたのは20分ほどに限られていたのに、大メディアは何を恐れているのか、時間を区切って再質問を許さない首相に忖度質問ばかり。菅は何を聞かれても「随時状況を見ながら必要な対策をとっていきたい」「とにかく効果ある対象に徹底的な対策を講じていきたい」などと答えるだけで、質問に即した具体的言及はナシ。質疑は最後までかみ合わなかった。
法大名誉教授の須藤春夫氏(メディア論)は言う。
「政権の動きを監視し、政策の妥当性を検証するのがジャーナリズムの役割ですが、そうした原則はもはやなし崩し。国民の日常生活を制約する緊急事態宣言の再発令に伴う重要な会見にもかかわらず、記者の質問は生ぬるいし、それに答える首相は用意された原稿を棒読み。首相会見は内閣記者会主催なのに官邸によって完全に仕切られているのも不甲斐ないですが、再質問が制限されるのであれば記者同士が連携し、質問を引き継いで二の矢、三の矢を放って攻めるべきでしょう。迫力ある質問もなければ、首相の緊張感も全く伝わってこない。昨年の宣言下よりも外出自粛が広がらないのは無理もありません。その点では、メディアも共犯関係です」
足元のコロナ禍は明らかに菅による人災だ。それなのに、逃げる総理を腫れ物に触るかのような大マスコミは片棒担ぎのそしりを免れない。
ゴッド姉ちゃんも「よう分からんわ」 |
「あの人の言ってること、よう分からんわ」
芸能界のゴッド姉ちゃんのイラつきもごもっとも。歌手の和田アキ子が9日オンエアの「ゴッドアフタヌーン アッコのいいかげんに1000回」(ニッポン放送)で矛先を向けたのが、宣言再発令初日の8日に「報道ステーション」(テレビ朝日系)で放送された菅のインタビューだ。
「年末年始は休み返上でコロナ対応に当たられていましたね。おせちなどを食べる時間はあったのでしょうか」
「いや、まったくないです」
富川悠太アナウンサーの間抜けなご機嫌取り質問から始まり、CMを挟んで30分間にわたる収録映像が流されたのだが、いかに中身がなかったかはゴッド姉ちゃんの突っ込みが分かりやすい。
「〈もし1カ月たっても改善されない場合は、どうされるお考えでしょうか〉って言うと、菅さんは〈そういう仮定での話はできません〉って。じゃあ、どうすんのよ、1カ月たったらって」
「〈まずは2月にファイザーから1億2000万人分のワクチンは〉って。ワクチン打ったからって治るわけじゃない。今年でコロナが解決するってことじゃない」
宣言解除に向けてどんな戦略を練っているのか。新型コロナ収束に向けた道筋をどうつけていくのか。国民が聞きたい言葉を引き出せず、会見と何ら変わりのない菅の発言を垂れ流しただけだったのである。国会答弁は言うまでもなく、会見が苦手な首相はテレビ局をハシゴし、楽チンな茶番出演を繰り返しているが、国民はこうした光景に愕然としている。
「メディア側がこんな体たらくでは、人災化したコロナ禍に加担していると批判を浴びかねません。昨年の宣言発令以降、報道番組の視聴率がグッと伸びました。外出自粛の影響に加え、不安心理に動かされてテレビのニュースをチェックする行動様式が残っているためです。しかし、それも3週間ほどの一時的な現象で、視聴者はネットフリックスなどの動画配信サービスに流れてしまった。なぜか? 見るべき報道がないとみなされたためです」(須藤春夫氏=前出)
アメとムチの五輪強行
菅は10日放送の「日曜討論」(NHK)にも30分間ほど生出演したが、新型コロナ対応は同じ話の繰り返し。安倍前首相をめぐる桜を見る会前夜祭疑惑についても問われたが、「安倍総理はできる限りの説明をされたんだろう」「結果的に事実と異なる(国会)答弁となったことは申し訳ない」などと決まり文句を返してオシマイ。7年8カ月も続いた安倍政権が築いた負の遺産は菅とは切っても切り離せない。安倍が抱える数々の疑惑にフタをした隠蔽の当事者だったのは言うまでもなく、米国のトランプ大統領に押し込まれた兵器爆買いや日米貿易協定など、懺悔と政治的責任の追及が不可欠な問題は山ほどある。それでも何も聞かない社会の木鐸に存在意義はあるのか。
政治評論家の本澤二郎氏はこう言う。
「東京五輪の開催強行で政権維持をもくろむ菅首相は、中止につながりかねない強い感染対策を打つ気はない。一方で、五輪オフィシャルパートナーなどに名を連ね、広告収入の恩恵を受ける大マスコミも中止されたら困る。ただでさえ圧力に屈し、アメとムチで飼い慣らされた大新聞やテレビは菅首相に真正面から迫ることはできるわけがないのです」
今からでも遅くはない。菅が強いる「自助」をフル稼働させて政権から引きずりおろし、マトモな政治へベクトルの向きを変えさせなければ、国民は命がいくつあっても足りなくなる。
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