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「Go To」が大失敗したのは、安倍・菅政権の「官僚イジメ」のせいだった これでは現場は疲弊するばかり
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/78879
2020.12.29 松岡 久蔵 ジャーナリスト 現代ビジネス
「農林水産省はろくな制度設計すらできないほどボロボロになってしまった」
ある同省キャリアはこう嘆く。新型コロナウイルス対策の「Go Toイート」制度では少額利用が悪用される「錬金術」が問題となったほか、コロナで打撃を受けた農家に農機具や種苗の購入を支援する補助金でも、要件を緩めすぎて募集が殺到し、慌てて要件を厳格化するトラブルが起きた。これらはいわば、江藤拓前農水相の「ゴリ押し」によるツケを払わされているといえる。ゴタゴタの背景を、取材に基づき検証する。
「Go To 錬金術」の生みの親は…
「とにかく、カネをばらまくのが一番なんだよ」
江藤氏は農水相を務めていた2020年9月まで、同省幹部に対して、何度もこのような「コロナ対策の大方針」を話していたという。
農水省が所管する「GoToイート」による「錬金術」とは、クーポンの最少額である1000円以下の注文をして、差額を現金として受け取るというもの。飲食店支援の目的から外れているとして、10月1日の開始から約1週間で制度改正に追い込まれた。
実はこのような制度の穴については、設計段階で外食を所管する食料産業局が欠点を指摘していた。しかし江藤氏が「1000円以下はダメなんて言い始めたら、地方の小ぢんまりした飲食店には効果がないだろ!」とゴリ押しした。案の定、「錬金術」が全国各地で横行したというわけだ。
農家向け補助金である「高収益作物次期作支援交付金」についても、一次公募要件を「コロナによる減収かどうかは不問」としたため、2020年8月末の締切時点で予算額の倍の応募があり、2次募集分の予算が枯渇。農水省が10月に慌てて「交付額を実際の減収額以下にする」と要件を厳格化したところ、農家から「先に申し込んだ人より交付額が少なくなり、不公平だ」「補助金を当て込んで農機具を買ったのに、詐欺じゃないか」などと批判が相次いだ。
農水省は一定の条件を設け、9月末までに申し込んだ農家に対しては補填するなどの対策に追われ、所管する生産局の水田正和局長が説明会を開き謝罪するところまで追い込まれた。農水省キャリアによると「これも江藤氏が『予算がなくなったら財務省には俺が話をつける』という強気発言で、生産局を黙らせた結果だ」という。
自民党農林族などからは「次の衆院選で農家の票が逃げるのを防ぐため、水田局長を更迭するしかない」との声も上がるが、元々は江藤氏のゴリ押しの結果であることを考えると「振り回された挙句、逆らえば更迭される、失敗したら切られるなんて酷すぎる」(前出キャリア)との同情が省内で集まるのも当然だ。
新旧大臣の抱える問題点
江藤氏が、2019年9月の就任時から「恫喝癖」で有名だったことは、2020年7月13日の筆者記事「農水省次官人事が示す『日本の農業改革の挫折』」でも指摘した通りだ。農水相としての実績を振り返っても、「畜産族のホープ」と呼ばれるだけに、畜産業界に補助金こそバラまいたものの、他はことごとく「失策」だったと言わざるを得ない。
列挙してみると、(1)コロナ対策の「和牛商品券」が大批判を浴びて撤回、(2)種苗法改正法案が、人気歌手の柴咲コウ氏ら著名人にツイッターなどで批判され提出を断念、(3)前述のGo Toイートによる「錬金術」、(4)同じく農家へのコロナ被害への補助金の失策――という具合で、惨憺たるものだ。
2020年9月の菅政権の発足により、農水相が交代することが決まった時、省内では「『とりあえず、これで怒鳴られずに済む』とため息が出た」(前出キャリア)というから「パワハラ大臣」と呼ばれた江藤氏の面目躍如だろう。大臣を退いた後も、自身の「負の遺産」について「俺も悪いかもしれないが、生産局など役所にも責任もある」と、反省の色は全くないという。
しかし、菅政権で後任となった野上浩太郎参議院議員も経験が全くなく、農水行政を主導できるとは思えない。人事が発表されるや、自民党農林族や農水省内は騒然となったほどだ。
そもそも野上氏は大臣就任以前、自民党の農林部会に出席したことすらなく、「菅氏が官房副長官として部下だった野上氏を気に入り、情実人事をしたのだ」、「武田良太総務相と同じパターンで、実務は菅氏がグリップし、若手に箔をつけさせたいだけ」と評判は芳しくなかった。
野上氏は大臣就任早々、江藤時代の「負の遺産」の対応に追われることになったが、そもそも知識が全くないので、記者会見でも国会答弁でも役人のペーパーを音読するしかできない「原稿読み上げマシーン」(全国紙記者)となっている有様だ。
官僚の弱体化を招いたのは菅総理
本来、政治家が不見識なゴリ押しをしてきた場合、防波堤となるのが官僚の役目のはずだ。江藤氏の恫喝もひどいが、そうした言い分をそのまま通してしまう農水官僚の胆力のなさ、知恵のなさも看過できない。ある農水省OBはこう嘆く。
「菅総理が官房長官時代、農水次官に『壊し屋』とあだ名された奥原正明氏を送り込み、敵対する幹部を根こそぎ排除した結果、まともな人材がいなくなった。残っているのは官邸と大臣の顔色ばかり見て、国民や業界のことなど顧みないヒラメ官僚だけだ。能力的にも、今では農林族議員への根回しなどをまともにやれるような事務官も払底していて、先は暗いと言わざるを得ない」
菅氏は総理となっても、自らの意向にそぐわない官僚を異動させると公言し、霞が関全体を恐怖で支配している。「官僚というのは給料が半分になっても昇進したい生き物」(全国紙政治部記者)なだけに、各省幹部級職員の「ヒラメ化」が急速に進んでしまうのはやむを得ない。
昭和の時代のように、官僚が圧倒的な権力を持つのもおかしいとはいえ、近代国家という枠組みが続く限り、官僚のレベルが社会の質に直結することも事実だ。
インターネット社会となり、官僚の非常識で過酷な働き方が志望者に知れ渡った結果、明治以来「官僚育成校」としての役割を担ってきた東京大学出身者でも官僚離れが進んでいる。2020年度の国家公務員採用総合職試験の合格者1717人のうち、東大出身者は249人(14.5%)で、いまやたったの6人に1人。10年前(2010年度)や20年前(2000年度)は約3割を東大出身者が占めていたことを考えると、人気が落ちているのは明らかだ。
30代の若手官僚はこう嘆く。
「入社から数年で年収2000万円を超える外資系金融などへのシフトが進んでいると言われますが、もしいま私が新卒学生で進路を選べるとしたら、おそらく官僚は選ばないでしょうね。
国の制度を作るという仕事自体にはプライドを持っていますが、高齢の議員にわけもわからず怒鳴られ、何度も何度も無駄に『対面』で説明を強制され、時間だけが奪われていく。商社に入った同世代が30歳で年収1000万円を超えているのを横目に、自分は時給換算すればマクドナルド以下の給料でひたすら働いている。そもそも今の役所の雇用制度自体が、官僚個人のモラルやプライドに過度に依存する仕組みになっているのです。
昔と違って、40年の奴隷生活を耐えたら天下りというご褒美が待っている時代でもないのに、これで優秀な人材をつなぎとめておくなんて不可能です」
現在の農水省の惨状は、他省庁にとっても人ごとではない。能力の乏しい政治家が「自分は国民の代表だ」と言って権力を振りかざし、専門家である官僚の意見を顧みない状況が続けば、10年後に待っているのは荒れ果てた欠陥まみれの社会だ。
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