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「不起訴で幕引き許されぬ」 桜費用補填問題で法律家980人が安倍前首相らを再度告発
https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/19567
2020年12月25日 長周新聞
安倍晋三前首相が「桜を見る会」前日に主催した夕食会(前夜祭)の費用補填問題について東京地検特捜部は24日、安倍前首相本人から事情聴取したうえで不起訴処分とし、配川博之公設第一秘書に罰金100万円の略式命令を出した。これに先立って21日、弁護士など980人で構成する法律家団体が、安倍前首相、後援会代表者の配川筆頭秘書、同会計責任者、資金管理団体「晋和会」会計責任者(政策秘書)の4人を、政治資金規制法違反および公選法違反による厳重な処罰を求めて東京地検に再度告発状を提出した。
公選法違反も問わぬ東京地検
告発状を提出したのは、全国の弁護士、法律家などでつくる「『桜を見る会』を追及する法律家の会」(事務局長・小野寺義象弁護士)で、5月の告発時には621人だった会員は現在までに980人に達している。
告発状では、2013年から7年7回にわたって安倍首相が主催した前夜祭のうち、2015〜19年まで5回分にかかる告発事実を以下のように挙げている。
会見する安倍前首相
宴会場となったホテルニューオータニ東京やANAインターコンチネンタルホテルとの契約主体はあくまで安倍晋三後援会であり、飲食費の1人あたり単価が1万1000円程度であるところ、会費5000円だけを徴収し、1人あたり約6000円分の費用差額を安倍氏の資金管理団体「晋和会」が補填(後援会業務を肩代わり)していたにもかかわらず、後援会の収支報告書には前夜祭にかかわる収支が一切記載されていない。
これまでの報道によると5年間の参加者数、宴会費総額、補填額(推計)の内訳は、
2015年 540名 宴会費427万円 補填額157万円
2016年 458名 宴会費407万円 補填額177万円
2017年 482名 宴会費427万円 補填額186万円
2018年 608名 宴会費448万円 補填額145万円
2019年 768名 宴会費634万円 補填額251万円
であり、収支報告書の不記載額は、後援会としては、収入である会費計1428万円、補填額計916万円、さらに支出である宴会費計2343万円の計4687万円。「晋和会」としては、補填した計916万円ならびに同額の原資収入であり、不記載総額は2団体で計5600万円にのぼる。安倍前首相に関連する2団体は、これらを記載せず5年間にわたって収支報告書を山口県選管を経由して総務大臣に提出した。しかも会計責任者は、補填金を議員事務所の金庫から現金で出金し、口座記録を残さないようあえて現金取引をおこない、ホテル側から「晋和会」宛てに発行された領収証も廃棄するなど、綿密な隠蔽工作を施していたことが明らかになっている。
告発状では、首相自身が必死で隠し、「ない」といい続けてきた、5年間で900万円以上もの補填分が実際に「あった」ことについて、「その原資がどこから得たのか、国民の関心は極めて高い」と指摘。政治資金規正法の立法趣旨は「政治資金の収支・流れを国民にガラス張りにすることによって、政治活動の公明、公正を確保」するものであり、「どこから流れてきたのかわからない金」が政治資金として使われることは「金で政治を買うことに繋がる」として、その原資の出所とともに真実を明らかにすることを求めている。
とくに2019(令和1)年分の収支報告書は、国会で前夜祭問題が議題にのぼり、安倍首相自身が「会費はホテル側が設定」「後援会に収入支出は一切ない」「ホテルから明細書も見積書もない」などの虚偽答弁をくり返した今年5月以降に作成されたもので、前首相がみずからの答弁に合わせて事実を隠蔽するため、不記載の犯罪性を明確に認識したうえでの「故意」による行為であることも強調した。
さらに告発状では、安倍前首相と同秘書らは共謀のうえ、法定上の除外事由がないのに、後援会を介し、選挙区内にある後援会員らに対して、一人あたり少なくとも6000円(5年間で計916万円)相当の酒食を無償で提供したことについても、公職選挙法で禁じた「寄附行為」として厳正な処罰を求めた。
寄附の罪の公訴時効は3年であるものの、未解明の差額は過去2回分だけで200万円以上にものぼる。後援会による補填か、あるいはホテル側が後援会側との交渉によって値引きしたのか定かではないが、ホテル側の値引きであったとしても「後援会による参加者への寄附に該当するというべき」とし、さらなる捜査と解明を要求した。
正式起訴求め要請書も
安倍前首相と配川筆頭秘書(右端)11月・下関市
告発に先立つ1日、「法律家の会」は東京地検特捜部に安倍前首相の正式起訴を求めて「要請書」も提出した。同時に発した事務局長声明では「前夜祭宴会費用の不足分は、安倍前首相の後援会ではなく、安倍前首相の資金管理団体である晋和会が補填しつつ、晋和会の収支報告にも補填の記載がなかった。このことは、安倍前首相に関連する二つの政治団体が、まさに“一体となって”、政治資金規正法違反をおこなっていたことを意味している。しかも、その補填金の出処が未解明であるということは、この問題のさらなる根深さを伺わせている」と指摘。
「国会での虚偽答弁にとどまらず、安倍前首相は自らの責任を免れるために、料金設定についてはホテル側に、『桜を見る会』の開門時刻で後援会員に便宜を図った問題については旅行会社に、契約主体が誰かという問題については後援会会員に、それぞれ責任を転嫁してきた。そして今回、安倍前首相は、検察捜査が進展するにつれて、秘書に責任を転嫁しようとしており、自らが真摯に反省する態度などは、まったくみせていない」と批判した。
検察に対して「安倍前首相らを不処分で終わらせたり、秘書をはじめ後援会や会計責任者など安倍前首相の部下だけを、略式起訴などの軽い処分で終わらせることは、絶対に許されない。徹底捜査のうえ、安倍前首相をはじめとする被告発人らを正式起訴するよう、強く求める」と要請した。
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