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「Go To」で大失敗の菅首相、いよいよ政権運営が狂い出している ちぐはぐな安全保障政策からも一目瞭然
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/78737
2020.12.26 半田 滋 現代ビジネス
政権運営のふらつきぶりが露呈…
内閣支持率が急落し、慌てて「Go To」を一時停止した菅義偉首相。政権運営のふらつきぶりは安全保障面で如実に現れている。
後任の首相に対し、「イージス・アショア代替策」「敵基地攻撃能力の保有」の検討を言明した安倍談話について、菅氏は「安倍政権の継承」を明言しながら「この談話は閣議決定を得ていない。原則として効力が後の内閣に及ぶものではない」と述べて、手のひらを返したのは11月4日の衆院予算委員会だった。
ところが、12月18日にはイージス・システム搭載艦2隻の建造と敵基地攻撃に活用できるスタンド・オフ・ミサイルの開発を閣議決定した。つまり、自身の国会答弁とは裏腹に安倍談話は「効力が後の内閣に及ぶもの」だったことを証明してみせたのである。
ただし、この閣議決定には敵基地攻撃という言葉は出てこない。「抑止力の強化について、引き続き政府において検討を行う」との一言を入れて結論を先送りしている。
「結論の先送り」にしては、同月21日に閣議決定した2021年度防衛費の政府原案に敵基地攻撃に使える武器類をずらりと並べたのはどういうわけだろうか。
「能力」だけ高めてどうするのか
敵基地攻撃のための「能力」を高めながら、政策決定という「意思」の表明は見合わせるというちぐはぐぶり。安全保障政策にあまり関心がないといわれる菅首相の個性がにじみ出たといえばそれまでだが、「能力」だけ高めてどうするのか。
2021年度防衛費の政府原案の中から敵基地攻撃に活用できるメニューを見ていこう。
最初に目につくのは、「ミサイル防衛のための衛星コンステレーション活用の検討」だ。14億円を計上した。
衛星コンステレーションとは、宇宙の低軌道に数多くの監視衛星を打ち上げて、敵ミサイルを追尾する衛星群のこと。米国防総省が研究を進め、昨年3月には1200基の衛星群を構築する計画を発表した。日本政府に参加するよう求めている。
米国の呼び掛けもあり、わが国は今年6月に宇宙基本計画を改定、米国、中国、ロシアが進める「宇宙の戦場化」に同調する方針を打ち出した。
そのうえで「小型衛星コンステレーションについて米国との連携を踏まえながら検討を行い、必要な措置を講ずる」と明記した。
米国防総省は、中国やロシアや中国の新型ミサイルに対処するため、2013年に新構想「統合防空ミサイル防衛(IAMD)」を策定している。
IAMD構想は「敵のミサイル攻撃阻止のため、防衛的、攻撃的能力をすべて包括的に結集させる」としており、政府が検討中の敵基地攻撃と符号する。防衛省が衛星コンステレーションの検討を進めれば、いずれIAMD構想への参加を決断せざるを得ない。
米政府と連携すれば、米軍の情報をもとに自衛隊が敵基地攻撃に踏み切ったり、自衛隊の情報をもとに米軍がミサイルを発射したりする「武力行使の一体化」に踏み込むことになりかねない。
防衛費から見えてくること
2021年度防衛費の検証に戻ろう。
次は「スタンド・オフ電子戦機の開発(100億円)」だ。航空自衛隊のC2輸送機を改修して電子戦に活用する。
電子戦機は妨害電波を出して地上レーダーや迎撃機をかく乱させる敵基地攻撃には不可欠な航空機だ。自衛隊は専守防衛の看板を掲げながらも、敵基地攻撃に活用できる武器類を着実に揃え、欠落していたのはこの電子戦機だけだった。
かつては航続距離が長いと周辺国の脅威になるとの理由から、米国から導入したF4戦闘機から空中給油装置を取り外した。
だが、1980年代に調達したF15以降の戦闘機は空中給油装置を外すことなく、飛びながら燃料供給できる空中給油機も導入、航続距離の問題は解消した。
戦闘機を指揮する管制機能を持つ空中警戒管制機(AWACS)については、1976年に函館空港へソ連の戦闘機が強行着陸した事件をきっかけに、まずE2C早期警戒機を買い入れた。次にE2Cでは能力不足だとして、高性能のAWACS導入を実現した。
敵基地攻撃は、戦闘機が空中給油を受けながら長距離を飛行し、AWACSの管制を受ける。敵基地が近づくと電子戦機が妨害電波を出すことになる。
最後は敵基地への爆弾投下である。航空自衛隊は2005年から日本の演習場ではできない実弾の投下訓練をグアムで開始した。当初は通常の爆弾だったが、2012年から衛星利用測位システム(GPS)衛星を利用した精密誘導装置付き爆弾(JDAM)に切り替え、精度を増した。
より正確な爆撃のため、2014年にはイラク戦争で米軍が使ったのと同じタイプのレーザー光線で誘導するレーザーJDAMを導入。この年の日米豪共同訓練で、F2戦闘機が投下し、目標に命中させている。
自衛隊が保有する航空機や爆弾を組み合わせれば、米軍に近い敵基地攻撃能力を持つことになる。
「敵基地攻撃能力の保有」が完成間近
自民党はより「能力」を高めようと、遠方から正確に攻撃できるミサイルの保有を求めていたが、2018年に改定された「防衛計画の大綱」「中期防衛力整備計画」でスタンド・オフ・ミサイルの導入が決まり、実現した。
2021年度防衛費には「スタンド・オフ・ミサイルの取得(149億円)」とあり、F35戦闘機に搭載するノルウェー製で射程500キロの長射程ミサイル「JSM」の取得費が計上された。
防衛省は米国製で射程900キロの「JASSM(ジャズム)」と「LRASM(ロラズム)」の導入も決めている。
これらのミサイルを搭載した戦闘機が日本海上空から発射すれば北朝鮮に届き、東シナ海から発射すれば中国まで届く。「敵基地攻撃能力の保有」は完成に近づいている。
12月18日に閣議決定されたスタンド・オフ・ミサイルの開発は、2021年度防衛費の中で「12式地対艦誘導弾能力向上型の開発(335億円)」として登場した。
陸上自衛隊が保有する12式地対艦誘導弾(ミサイル)を基にして5年間かけて開発し、長射程化する。現在は地上発射型のみだが、護衛艦や戦闘機からも発射できるようにしてファミリー化する。
レーダーに映りにくいステルス性も付加し、相手のミサイル対応を困難にすることで、自衛隊による攻撃の威力が上がるようにする。
予算を有効活用してはどうか
9月に発表した概算要求には「12式地対艦誘導弾(改)の開発(27億円)」とあったが、これを「12式地対艦誘導弾能力向上型の開発(335億円)」に差し替えて、新型ミサイルの開発であることを明確にした。
研究・開発案件では、「島嶼防衛用高速滑空弾の研究(150億円)」がある。
防衛省の説明では「敵に奪われた島嶼奪還のための地対地ミサイル」というが、長射程化を目指せば超音速滑空弾と呼ばれるロシアの「アバンガルド」、中国の「DF17」のように他国に脅威を与える兵器にもなる。
「『いずも』型護衛艦の改修(203億円)」も目に付く。本年度は「いずも」を改修しており、来年度は2番艦「かが」の出番というわけだ。空母化された2隻にはJSMを抱えたF35B戦闘機が搭載される。
もともと対潜水艦戦に特化して建造された「いずも」「かが」を攻撃に特化した空母に改修するのだから、これほど明確な敵基地攻撃能力の保有はない。
見てきた通り、2021年度防衛費には敵基地攻撃に使える武器類が勢ぞろいしている。もちろん防衛省は「専守防衛のため」と説明しているが、空母や長射程ミサイルは到底、その枠には収まらない。
高まる一方の敵基地攻撃の「能力」に対し、「意思」を示そうとしない菅首相。安全保障政策にさほど関心がないのなら、過去最高額となる5兆3422億円にのぼる2021年度防衛費をコロナ対策に回し、予算を有効活用する「意思」を示してはどうか。
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