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※2020年12月15日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大
※2020年12月15日 日刊ゲンダイ2面
【何もかも場当たりのスッカラカン】
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) December 16, 2020
年末には検察案件ズラリ
GoTo悶絶退陣になる様相
日刊ゲンダイ pic.twitter.com/eHhq5XUUrO
※文字お越し
何もかもが場当たり対応の後手後手。スッカラカンだったことが改めてハッキリしただろう。14日、観光支援事業「Go To トラベル」の見直しを表明した菅首相のことだ。
菅は首相官邸で開かれた新型コロナウイルス感染症対策本部の会合で、東京都、名古屋市を目的地とする旅行への適用を27日まで停止し、両地域を出発地とする旅行は自粛を呼び掛けることを表明。さらに28日から来年1月11日まで全国一律に一時停止すると明らかにした。
政府分科会がこれまで再三、「Go To」の一時停止を求めていたのに対し、知らんぷりを続けていた菅。一転して除外地域の拡大や全国一律の一時停止を決めたのは、内閣支持率が大幅に下落したことと無関係じゃないだろう。
毎日新聞の世論調査で、菅内閣の不支持は49%となり、支持(40%)を大きく逆転。生出演したニコ生動画では、ニタニタと薄ら笑いを浮かべながら「ガースーです」などと切り出して国民を唖然呆然とさせた。
これ以上、分科会の提言や世論を無視して「Go To」を続けていれば支持率急落に歯止めがかからなくなると焦り、大幅見直しに踏み込まざるを得なくなったのは容易に想像がつく。
何も決めずに見切り発車で「Go To」強行
そもそも時間とカネに余裕のある一部の国民にしか恩恵がないのが「Go To キャンペーン」だ。そんなバカげた不公平な政策に多額の税金をつぎ込むこと自体が大間違いなのに、官房長官時代から「経済を回すには、Go To事業は欠かせない」と言い続けてきたのが菅だ。
臨時国会の初の所信表明演説で、新型コロナについて「爆発的な感染を絶対に防ぎ、国民の命と健康を守り抜く」などと声高に叫んでいたものの、具体的な対策を打つどころか、戦略もなし。その結果が、今の感染者、重症者の急増という惨憺たる状況を招いたのだから開いた口が塞がらない。
菅は「経済を回す」と繰り返すが、そうであれば万全な体制で「回す」ために取り組むべきことがあったはずだ。医療体制の充実、医療従事者の確保、新型コロナ陽性者と陰性者の隔離の徹底などで、その上で、「Go To」によって感染者や重症者が増えた場合、いつ、どういう基準に基づいて誰が中止を決断するのか。その際の国と都道府県の権限や役割をどう分担するのか。そういったことを事前に何も決めずに見切り発車でキャンペーンを始め、今になって国と都道府県で責任を押し付け合い、ダラダラと小田原評定を続けているのだから国民の間に怒りと不安が広がるのも当然だ。
国際政治学者で高千穂大教授の五野井郁夫氏がこう言う。
「菅政権は『我慢の3週間』とか言っていれば、春先のようにコロナは何とかなるとタカをくくっていたのでしょう。要するになめていたのです。しかし、不支持率と支持率が逆転したために慌てて『Go To』の見直しに動いた。いまだに政策の失敗を認めず、『欧州と比べれば感染対策はできている』とか言っていますが、東アジアでみれば日本は最低に近い。この期に及んでも、まだゴマカシ対応しているのだから呆れます」
コロナ対策と向き合わない政治家はドロップアウトが世界の潮流 |
自民党の総裁選演説でも所信表明演説でも、菅からは「日本をどういう国にしたい」という国家観がまるで感じられなかった。記者の質問をはぐらかしたり、官僚を恫喝したりすることは得意だが、しょせんは利権を握るのが目的の政治屋。日本学術会議会員の任命拒否問題で「総合的、俯瞰的」と言い訳していたが、「総合的、俯瞰的」な視点が最も欠落しているのが菅自身なのだ。
権力さえ握れば何でもできると勘違いしている典型的な「パワハラ・サディスト」だから、「Go To」見直しを渋っていたのも、おそらく「学者や国民の反発に耳を傾けていたらツケ上がるだけ」「俺が権力者なのだから黙って従えばいい」と思い上がっていたのだろう。大臣から官僚まで、ウソをつき放題だった安倍前政権も「最低」だったが、菅政権はそれ以上に「最悪」。そんな無為無策の悪辣政権が何ら政治責任も取らないまま、シレッと「Go To」見直します――と開き直っているのだから許せない。
支持と不支持が逆転したとはいえ、それでも一定の支持率を維持しているのは、携帯電話の値下げやハンコの廃止、不妊治療の無料化といった若者や女性受けする政策で国民をはぐらかしているからだろうが、それも長くは持たない。年末に向けて検察案件がズラリと出てくるからで、菅政権のメッキが剥げるのも時間の問題だ。
誤りを認めず、反省もしない菅政権
まずは「桜を見る会」の前夜祭問題で、政治資金規正法違反と公選法違反(買収)の疑いが指摘されている安倍前首相の事務所へのガサ入れの可能性だ。すべての悪事を秘書に押し付けて逃げ切りを図ろうとしている安倍は、記者の囲み取材でヘラヘラしていたが、地検特捜部がこのまま秘書の略式起訴、罰金で済ませたら、それこそ世論は黙っちゃいないだろう。
公判中の参院議員河井案里被告の公選法違反事件では、同法違反罪に問われた公設秘書の立道被告の懲役1年6月、執行猶予5年の刑が確定。検察は近く、立道が連座制の対象となる「組織的選挙運動管理者」に当たるとして、案里の当選無効を求める行政訴訟を広島高裁に起こす方針だ。案里と同じ公選法違反罪で起訴された夫の衆院議員克行元法相の公判も続いており、今後、どんな爆弾証言が法廷で飛び出すか分からない。仮に「受け取ったカネは官房機密費だ」なんて証言が出てきたら、官房長官だった菅の説明責任が求められるのは避けられない。
さらに自民党の吉川、西川という元農相2人をめぐる裏金スキャンダルもある。そろって大臣在任中、広島県の鶏卵生産大手「アキタフーズ」グループの元代表から現金数百万円を受け取っていた疑惑で、「久々のデカい贈収賄事件として特捜部はヤル気マンマン」(検察担当記者)とささやかれている。これらの事件が続けて立件されれば菅政権はたちまち立ち往生だ。
政治評論家の森田実氏がこう言う。
「トランプ大統領や(任期途中で総理を辞めた)安倍前首相はコロナ対策を軽んじて失墜した。菅首相もコロナについて専門家の意見に真摯に耳を傾けてこなかったため、今になって慌てている。コロナを甘く見ていたわけです。コロナ対策と向き合わない政治家はドロップアウトするのは世界の潮流です。加えて、菅政権というのは学術会議問題もそうですが、誤りを絶対に認めない。『Go To』もそうです。誤りを認めず、反省もないのだから国民が怒るのも当然です。検察もこうした世論に応じて桜疑惑や元農相裏金事件などをきちんと捜査して立件するべきでしょう」
菅政権の「Go To悶絶退陣」は時間の問題だ。
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