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「甘利事件」の制裁なしが自民党議員の倫理観を弛緩させた 郷原信郎「これだけは言いたい!」
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/282640
2020/12/15 日刊ゲンダイ
2016年1月26日、金銭受領を認め、辞任会見をした甘利明経済再生相(当時)/(C)日刊ゲンダイ
鶏卵生産・販売大手「アキタフーズ」の元代表が自民党衆院議員の吉川貴盛元農林水産相に、大臣在任中の2018〜19年に3回にわたって現金計500万円を提供した疑いが報じられたのに続いて、西川公也元農水大臣も、数百万円を受領していた疑いが報じられている。鶏卵業界からの現金のばらまきで、自民党農水族が丸ごと汚染されている疑いすらある。
この「大臣室で現金授受」の話で思い出すのは、16年1月に、当時、経済再生担当大臣だった甘利明氏が、「都市再生機構(UR)」の土地売却をめぐって、大臣室で、業者から、URとの補償交渉についての相談や依頼を受けて対応し、その場で現金を受領したと報じられた問題だ。
甘利氏が自らと秘書の金銭受領を認め、その直後に、UR側が、甘利事務所との12回にわたる接触を認めたことで、この件が「あっせん利得処罰法」などの犯罪に該当するのではないかが問題となった。私は、甘利氏をめぐる問題を、「絵に描いたようなあっせん利得」と表現した。甘利氏は、1月28日に行った記者会見で、大臣室での50万円を含め合計100万円の自らの現金受領と、秘書が500万円を受領したことを認めた上、大臣を辞任した。
それ以降、甘利氏は、公の場には一切姿を見せず、国会も欠席し、国会に「睡眠障害で1カ月間の自宅療養が必要」との診断書を提出、通常国会閉会まで4カ月にわたって欠席し続けた。
告発を受けて、東京地検特捜部が、この事件の捜査を行ったものの、UR側への家宅捜索を形だけ行っただけで、肝心の甘利氏の事務所への強制捜査も、秘書の逮捕などの本格的な捜査も行われることなく、国会の会期終了前日の5月31日、甘利氏と元秘書2人を不起訴処分(嫌疑不十分)とした。
甘利氏は6月6日、政治活動再開を宣言し、神奈川県大和市の事務所の前で、記者の質問に答えた。そして、同年9月14日、自民党本部で、突然、記者会見し、事務所の口利きと現金授受問題について、弁護士による独自調査の結果、「捜査機関と異なる結論を導く事実は見当たらなかった」と説明した。
しかし、元秘書2人や事務所関係者から聴取したという、調査を担当した弁護士名は明らかにされず、調査報告書も公表されず、「検察の判断と同じ」という結果が示されただけで、わずか10分で終了した。
今回、大臣室で所管の業界の代表者から多額の現金を受領するという事実があったとすれば、自民党国会議員全体、とりわけ、現職閣僚や閣僚経験者のモラル低下の深刻さを表しているといえる。4年前の甘利氏の事件が、実質的に何の制裁も受けず、その後、同氏が、選対委員長・税調会長などの自民党の要職を務めていることが、議員・閣僚の倫理感を弛緩させることにつながっているというべきだろう。
郷原信郎 弁護士
元東京地検特捜部検事。1955年、島根県生まれ。東大理学部卒。83年検事任官。「告発の正義」(ちくま新書)、「虚構の法治国家」(講談社)など著書多数。
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