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常識的な法解釈を…桜「前夜祭」が供応であることは明白だ ここがおかしい 小林節が斬る!
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/281999
2020/12/01 日刊ゲンダイ
昨年、大きな話題になりながらはっきりせずに終わっていた「桜を見る会」について、ついに疑惑の一部を立証する証拠が出てきたとのことである。
安倍事務所が後援会関係の招待者を集めて行った前夜祭の費用が、疑われていたように、1人5000円の会費では賄えず、(年度により1人当たり2300〜3800円の)差額を安倍事務所が補填していたとのことである。これは明らかに公選法に触れる「選挙区内の有権者に対する寄付」である。
ところが、報道によれば、安倍事務所側は「選挙のために差額を寄付した『意識』はなかった」し、招待客も「食事は物足りなくて、寄付を受けた『認識』はない」ので、結局、双方に寄付の授受の「故意」がなく、公選法違反としては立件されないとのことである。そして、政治資金収支報告書に記載しなかった形式犯として処理されるようである。
安倍事務所が一流のホテルの宴会場を借りて数百人のパーティーを主催し、会費5000円(実経費は7000〜8000円)でその場に招かれた者が「会費は安すぎるのでごちそうになっている」と感じない方が不自然であろう。また、事務所の側も、ホテルとの事前打ち合わせで1人5000円では足りないと知らされ5年間も補填し領収書を受けていた以上、「選挙でお世話になっている方々なのでごちそうしよう」と判断していなければ不自然である。
刑法の「故意」とは、当事者の「主観」ではあるが、それも「客観的」な事実関係の中で認定されるべきものである。でなければ、どんな犯罪も犯人が「そのつもりはなかった」と言えば無罪になってしまうだろう。
私は、学生時代、日本の大学と米国の大学院で、「法はその本質において常識的である。でなければ社会は治まらない」と教わったし、教授になってからはそのように教えてきた。
総理大臣が国の功労者を招くべき宴に自分の後援会員を何百人も招き国費で接待し、その前夜祭は政治資金で供応した。こんな疑いを持たれるだけで恥である。証拠が一部であれ出てきた以上、その法的処理は誰もが納得できるよう、常識的に進めるべきである。
小林節 慶応大名誉教授
1949年生まれ。都立新宿高を経て慶大法学部卒。法学博士、弁護士。米ハーバード大法科大学院のロ客員研究員などを経て慶大教授。現在は名誉教授。「朝まで生テレビ!」などに出演。憲法、英米法の論客として知られる。14年の安保関連法制の国会審議の際、衆院憲法調査査会で「集団的自衛権の行使は違憲」と発言し、その後の国民的な反対運動の象徴的存在となる。「白熱講義! 日本国憲法改正」など著書多数。新著は竹田恒泰氏との共著「憲法の真髄」(ベスト新著)
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