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東京五輪開催で「コロナに打ち勝つ」はつじつまが合わない 中村敦夫 末世を生きる辻説法
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/281884
2020/11/27 日刊ゲンダイ
「オリンピック・オーダー」授与式での安倍晋三前首相とトーマスバッハIOC会長(C)ロイター
呆れたとか、驚いたとかいうレベルを超え、今や恐怖さえ感じる。
選挙の敗北を認めぬトランプは、最重要課題であるコロナ対策を放置し、死者の数を増やし続けている。
それどころか、この時期に側近を集め、イランとの戦争の可能性を議論しているという。
その国のリーダーが理性と知性に欠け、精神が錯乱状態に陥ると、国家機能は麻痺する。つじつまの合わぬ言動がまかり通り、人々は反論も抵抗もできなくなる。
人種差別は、つじつまの合わぬ愚の骨頂だ。
トランプは多分、イスラム教徒や黒人は存在すべきではないと考えているに違いない。ユダヤ人ホロコーストを目指したヒトラーも同類だし、「神の国」を名乗り、他国を侵略した大日本帝国の軍事政権も同じだ。この3者に共通しているのは、いずれも主張に根拠がなく、「つじつまが合わない」という点である。
今、日本が直面している「つじつま」は、東京五輪の強行だ。五輪はどこでやろうと結構だが、そもそも東京でやらねばならぬ理由はまったくなかった。あるとすれば、安倍前首相の虚栄心とごまかしだけ。原発事故の後始末が遅々として進まず、成長戦略もことごとく失敗。国際的な経済力も上位から墜落という時代が続いた。
ここらで、目くらましの派手な花火を一発ぶち上げる必要があった。
とはいえ、これは税金の無駄遣いによる巨大イベント型公共事業だ。
五輪でいい目を見るのは、このイベントにたかる一部のオトモダチ企業だけである。大衆には切符を売りつけ、バカ騒ぎをさせておけばよいと考えた。
東京開催の権利獲得が問題だが、決定権はIOCにあった。この委員会には、絶えず黒い噂がつきまとう。安倍前首相もブエノスアイレスの総会に足を運び、「原発の汚染水は安全」と大嘘をついた。招致ロビーに大金をばらまき、噂通り「トーキョー」に決定。直後、IOC委員の買収容疑が発覚し、日本の五輪委員会会長が辞任。国内でも、利権をめぐりダーティーな不祥事が続いた。
コロナ患者は増える一方だが、菅は安倍の後を継ぎ、断固強行だ。何のため? 無観客の競技をだれが喜ぶのか? 選手は隔離し、観光も交流もさせない。「健康増進」と「国際友好」が目的なのに、まるでつじつまが合わない。「コロナに打ち勝つ」だと!
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