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※2020年11月24日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大
※2020年11月24日 日刊ゲンダイ2面
※2020年11月24日 日刊ゲンダイ3面
※文字お越し
犯罪を隠蔽し国会で大嘘 安倍前首相と共犯政権の今後<下>
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/281746
2020/11/24 日刊ゲンダイ
東京地検はこの疑惑を徹底追及できるのか、できなければ北朝鮮と同じ |
特捜部の重い腰を上げさせたのは、法曹界の動きだ。前夜祭をめぐって今年5月、弁護士や学者ら662人が公選法と政治資金規正法に違反した疑いで、安倍と後援会幹部の計3人に対する告発状を東京地検に提出した。
元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士はこう言う。
「告発状を受理したことで、捜査を始めた特捜部は年末までに方向性を決めるものとみられます。もっとも、安倍前首相らが処分される可能性は低いでしょう。森友学園をめぐる財務省の決裁文書改ざん問題で佐川宣寿元理財局長らが不起訴処分になったのが象徴的で、今の検察は政治に対して非常に弱い。ましてや、キングメーカーとして影響力を保持する安倍さんの影響力を重く見ているフシがあります。調べを尽くしているのは、不起訴処分決定後に検察審査会への申し立てをにらんでの動きでしょう。徹底的な捜査の結果と判断されれば、不起訴相当の決議を導き出せる。そのために、安倍さんの任意聴取、あるいは上申書の提出でケリをつけることも考えられます」
恥も外聞もない2度目の辞任から2カ月。最後の会見で安倍は「病気と治療を抱え、体力が万全でないという苦痛の中、大切な政治判断を誤ること、結果を出せないことがあってはなりません」と弱々しかったのに、今じゃ元気ハツラツ。連日のように会合に顔を出し、来日したモリソン豪首相と会談する出しゃばりだ。
「安倍さんが菅首相を後継にしたのはある意味、2人が一心同体だから。安倍さんが抱える数々の疑惑の捜査を阻止できるのは、官房長官として裏方を仕切ってきた菅首相しかいない。ですが、菅首相が期待通りの働きをしなければ事情は変わる。自らの疑惑を封印するには、自分が権力に返り咲くしかないと考えているようです」(与党関係者)
8月に就任した新河隆志特捜部長は「国民の目の届かないところで起きた犯罪事象を見つけ出し、事案の真相に見合った国民の良識にかなう相応の処分をしたい」と抱負を語っていたが、アベ疑惑を徹底追及するつもりはないのか。権力にあれば独裁を許されるのであれば、北朝鮮と同じである。
地検の動きを受けて、ようやく2番手扱いのニュースで報じたNHKや大手マスコミはまだ忖度 |
大メディアはやはり“政権ファースト”だ。桜疑惑の捜査を最初に報じた読売新聞は、23日の朝刊で記事を1面「左肩」に掲載。トップでなく、2番手扱いだった。NHKも23日、「Go To トラベル」関連をトップで報じ、桜疑惑は2番手だ。民放キー局も大きく報じなかった。
そもそも、桜を見る会で安倍のやりたい放題を野放しにしてきたのは大メディアだ。第2次安倍政権以降、参加者が右肩上がりで増え、予算も拡大。安倍自身や閣僚、自民党議員の後援者ばかりが参加しているのを取材で目の当たりにしていたはずなのに、“スルー”してきた。昨秋、「しんぶん赤旗」がスクープし、共産党議員が国会で追及したことでやっと後追いした。
問題がはじけて以降も一部の“忖度メディア”は「国会での桜追及は時間の無駄」「税金の浪費」などと批判を展開。今年になって新型コロナの感染が拡大すると「桜よりコロナを」との論調も目立つようになった。コロナ報道が重要なのは当然だが、大メディアは結果的に安倍の“犯罪”を見逃してきたわけだ。
「大手各社は、『前政権の話だから』とニュースバリューを低く評価しているのかもしれません。しかし、今回の一件は前政権トップの大嘘を証明するもので、非常に重要な事実ですから、大きく報じないのはおかしい。結局、安倍政権の7年8カ月、大手メディアの幹部は首相に近づき会食まで繰り返してきました。そうすることで情報を取ってきたのかもしれませんが、そんな取材手法が政権への忖度を生み、今も続いているのでしょう。今回の疑惑は現政権も無関係ではいられません。徹底的に追及すべきです」(法大名誉教授の須藤春夫氏=メディア論)
政権幹部と寿司やパンケーキをつついているようではダメだ。
嘘と隠蔽、前政権も現政権も疑惑まみれの犯罪集団 |
「モリカケ桜」と称された安倍を巡る疑惑。森友学園問題について先週動きがあった。
公文書改ざんを苦にして自殺した近畿財務局職員・赤木俊夫さんが、改ざんの過程を詳細に記したファイル(通称「赤木ファイル」)を残していたとされる問題で、財務省がその提出を国会から求められたのに拒否したのだ。
委員会審議に役立てる下調べにあたる「予備的調査」という制度を野党が要請、衆院調査局が報告書をまとめたのだが、財務省は「(赤木さんの妻が起こしている)訴訟に関わることであるため、回答を差し控える」として応じなかった。
これについて麻生財務相も18日、衆院財務金融委員会で問われると、「存否も含め、答えは控える」と答弁。存否すら明らかにしないのは、赤木ファイルが「ある」と疑われても仕方ないのに、それでも逃げる、隠すの一点張りなのである。菅政権になっても、財務省の隠蔽体質はまったく変わっていない。
森友問題に関わった財務官僚は全員不起訴のうえ、お手盛り処分で、いまはみな出世。麻生はいまだ財務相にとどまり、何の責任も取っていない。加計学園の獣医学部新設に安倍政権が便宜を図った疑惑もウヤムヤのままだ。
本当ならこうした疑惑を明らかにするのが新政権の責務なのに、アベ継承の菅は「終わったこと」と片付ける。それは、横浜の土地を巡ってタニマチがボロ儲けした疑惑が報じられるなど、菅自身もスネに傷があるからなのではないのか。
法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。
「安倍首相のこれまでの発言については、多くの国民が『嘘をついているのではないか』と疑問や疑惑を抱いてきた。今回、桜の捜査でその疑いに裏付けが出てきたわけです。嘘をつかれていたという点では国会も被害者。与野党問わず、国政調査という国会議員の責務を果たすべきです」
犯罪集団をのさばらせてはダメだ。
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