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※2020年11月18日 日刊ゲンダイ8面 紙面クリック拡大
NHKに政府、政権からの独立を求めるのはムリな話なのか ファクトチェック・ニッポン!
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/281460
2020/11/18 日刊ゲンダイ
公共放送のNHK(C)日刊ゲンダイ
「まずは菅総理大臣とバイデン氏の個人的な信頼関係の構築を目指し、適切な時期に首脳会談を実現できるよう調整を進める方針です」
11月9日の朝、NHKは官邸の「方針」をこう伝えた。前夜にアメリカから帰国して最初に見た日本のニュースだっただけに、政府の稚拙な「方針」とそれを当然のように報じる公共放送に強い失望感を禁じえなかった。この「方針」の前提には、安倍前総理とトランプ大統領の「個人的な信頼関係」が日本にとって良い結果をもたらしたという前提がある。しかし、この前提は根拠が薄弱だ。主要国の首脳の中で安倍氏ほどトランプ大統領に尽くした首脳はいないが、その結果、日本がアメリカから何かを得たという事実を探すのは困難だ。むしろ逆だろう。トランプ大統領が売り先を探していたF35戦闘機を大量に買わされている。また、日本政府が期待した鉄鋼関税の対象から外されることもなかった。拉致問題が進展したという事実もない。
そもそも、対立する利害関係の調整というリアルな国際政治の現場で「個人的な信頼関係」で問題が解決できる余地は小さい。これは安倍前総理を実際以上に大きく見せるための、官邸の情報操作でしかない。それをうのみにして報じるNHKは、政府の広報機関でしかない。
では、官邸が進めるべき「方針」とは何か? それは、バイデン政権の関心をアジア太平洋地域に向けるための具体的な政策立案だ。バイデン政権はトランプ政権の時のような大統領個人の関心で政策をうつということはしない。政権発足100日をめどに国務省が対外関係に関する戦略をまとめることになる。その際に、日本の利益となる内容をどれだけ盛り込めるか。そこに尽力するのが日本の外交当局の役割だ。首脳がゴルフや寿司屋で仲良くなるという話ではない。
トランプ大統領が政権移行に消極的な中でも、既にバイデン氏は動き出している。政権の要の首席補佐官が既に任命されているが、今後各省庁、各国大使など4000人の幹部職員を任命することになる。トランプ政権は政権発足から半年たっても、国務省幹部の多くが決まらない異例の事態となった。それは勝手気ままに政策を打つトランプ大統領にとって大した話ではなかったのかもしれないが、バイデン氏は上院外交委員会での経験や副大統領としての経験から、緻密な外交を進めるはずだ。
外交の継続を重視する外務省としては歓迎する状況だが、心配なのは「個人的な信頼関係」などとのたまわっている官邸だ。以前、小欄で安倍外交は野球で例えれば7番か8番バッターが無理して4番を打ち続けたものと評したが、菅総理にいたるやレギュラーにもなれないレベルだ。それがしゃしゃり出てきて「テルテル」とか「個人的な信頼関係」などと言い出すと厄介だ。
それにしても、懸念されるのがNHKだ。公共放送は政府、特に政権から独立していなければならない。その原点を思い返して欲しい。否、それは無理な話なのかもしれない。
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tateiwa@infact.press
立岩陽一郎 ジャーナリスト
ジャーナリスト、1967年生まれ。91年、一橋大学卒業後、NHK入局。テヘラン特派員、社会部記者、国際放送局デスクなどを経て2016年12月に退職。現在は調査報道を専門とする認定NPO運営「INFACT」編集長。アメリカン大学(米ワシントンDC)フェロー。毎日放送「ちちんぷいぷい」レギュラー。
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