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二階幹事長が「鬼滅の刃マスク」を装着した驚きの理由
https://friday.kodansha.co.jp/article/145658
2020年11月17日 FRIDAYデジタル
「鬼退治が成功した」
まさかあの人までブーム乗っかるとは――。
公開から24日目で興行収入が200億円を突破した『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』。コラボ商品も好調で、日本中がいま「鬼滅ブーム」の真っ只中だ。
そんな折、同作の主人公・炭治郎の緑と黒の市松模様の羽織をイメージしたマスクを「あの重鎮がつけている」という情報が永田町を駆け巡った。
御年81歳。「影の支配者」と言われ、菅内閣にも絶大な影響力をもつ二階俊博幹事長その人だ。強面で冗談の通じなさそうな雰囲気をまとう二階氏が、まさか…その真相を探ると――。
11月10日の夜、日比谷公園内にある松本楼で、二階氏が自民党大阪府連所属の国会議員と会食する、との情報をキャッチした。現地を訪れてみると、確かに二階氏の姿が。大阪都構想の住民投票に反対を貫き、維新に勝利した大阪府連の関係者をねぎらう「勝利の宴」のようだ。
「よく頑張ってくれた。皆さんの頑張りは党として誇らしい」
二階氏のねぎらいの言葉に、会場が大いに沸いた。
振り返ってみると、自民党と維新の会および都構想との距離感はなんとも複雑だった。菅総理大臣が松井一郎・大阪市長をはじめとする維新の会のメンバーと懇意なのは周知のとおり。本心では菅総理も都構想実現を望んでいたのではないか…とも見られている。
しかし、大阪維新の会の「政敵」である自民党大阪府連は、言うまでもなく都構想に反対。菅総理が維新の会と自民党大阪府連の「板挟み」状態にあったなかで、府連を陰で支えたのが、二階氏だったと言われる。接戦を制した自民党府連。それを支援した二階氏が彼らのために「祝勝会」を開くのは当然だろう。
その祝勝会に参加した二階氏、たしかに「鬼滅マスク」を装着していたのだった…!
「側近の林幹雄先生とお揃いのマスク姿で会場に姿を現したときには、小さな驚きと笑い声がおきました」(参加者)
二階氏に「鬼滅マスク」を渡したのは、大阪選出の自民党衆議院議員である岡下昌平・内閣府大臣政務官。その意味について、こう語った。
「マスクはうちの政策秘書の手製です。鬼退治(都構想否決)を果たしたという記念に幹事長へ贈りました。大阪自民はこれから、コロナや経済対策に手を打たねばならない。心を燃やして府民のために『全集中』し、ひとつひとつの課題を解決していく。その意気込みを幹事長も感じてくれていると思います」
なんと「鬼滅のマスク」には「鬼退治」の意味が込められていたようだ。維新の関係者が知れば怒り心頭になること間違いないが、勝者たちの宴は進み、二階氏を中心とした撮影会が何度も開かれた。
大ヒット中の映画さながらの「大盛況」となったこの祝勝会。ここまで終始ご機嫌な二階氏を見るのは珍しいが、対照的に複雑な心境を抱えるのが菅総理である。大阪4区選出の中山泰秀・防衛副大臣がその心中を慮る。
「大阪はアメリカのように(維新と反維新に)分断されてしまった。大阪の公明党は、大阪維新の会と協力し、都構想を推進しました。そのため大阪では公明党と自民党の関係に亀裂が入っている。一方、中央政界では自民と公明が連立政権を組んでいる。この『ねじれ』を今後どう修復していくのか…」
全国紙政治部記者も、難しい舵取りを迫られる菅総理の立場について解説する。
「国政の『日本維新の会』は、野党でありながら安倍政権への内閣不信任決議にはすべて反対してきた。つまり、自民党の友好勢力でした。実際、安倍政権下ではいわゆる『共謀罪』をはじめとする、与野党が対立する法案で政権と連携していましたし、大阪万博誘致に関しては、官邸と維新の会は綿密な協力関係にありました」(政治部記者)
ところが都構想が否決されたことで、松井氏は23年の市長任期に合わせて引退すると明言。松井氏が不在となれば国政で維新の存在が小さくなることは必至で、それはすなわち菅政権の「補完勢力」の存在が小さくなってしまうことを意味する。
「自民党大阪府連は、都構想を阻止したことで勢いを増した。年明けにも『解散総選挙か』といわれる中、都構想賛成に回っていた維新の会や公明党との対決姿勢も強まるでしょう。つまり、官邸と自民党大阪府連の間で、維新や公明党との付き合い方の温度差が生まれている。
最終的には二階氏や総理が乗り出して和解となるのだろうが、都構想では、共産党、れいわ新撰組も都構想反対に回り、誰が敵で誰が味方なのか分からない状態。大阪府連の納得のいく『裁定』を下すのは、とても難しいのではないか。その調整の仕方を巡って、二階氏と総理が綱引きをすることもあるでしょう」(同記者)
中央政界と大阪の調整においても、これから存在感が増すことが確実な二階氏。調和的な色である「緑」と力を思わせる「黒」を交えた「鬼滅マスク」は、いまの二階氏の立場を表すのにふさわしいのかもしれない。二階氏に話を聞いた。
——マスクお似合いですね。
「あなたもいいマスクしているじゃない」
——そのマスクはなんのアニメのマスクかご存じですか。
「はい、はい」
——大阪は分断し、今後大変ですが。
「大阪府連は団結して頑張った。素晴らしい」
維新の会との関係や、自民党大阪府連の関係を巡って、総理と幹事長が『鬼滅の刃』さながらのバトルを繰り広げる…なんてこともあるのだろうか。
写真:鬼怒川毅
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