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大統領選不正デマを拡散した日本のトランプ応援団の妄言総まくり! 百田尚樹、橋下徹、平井文夫、木村太郎…
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2020.11.16 大統領選不正デマを拡散した日本のトランプ応援団の妄言総まくり! リテラ
百田尚樹Twitterより
アメリカ大統領選挙は14日にアメリカ全州の勝者が確定し、最終的に獲得された選挙人は、バイデン氏が306人、トランプ大統領が232人と大きな差がついた。手作業で再集計をしているジョージア州でも勝敗が変動することはないという。
トランプやその陣営が主張する「不正選挙」についても、司法や行政当局、メディアの調査により、ネット上で流通しているような不正ネタはほとんどがデマであることが明らかになっている。大量のトランプ票が燃やされていると主張した動画の投票用紙は本物ではなくサンプルだったことが州当局から指摘されたし、大量の死者名義による投票があったとか、集計マシンが読み取れないシャーピー(油性ペン)で書かされた投票用紙が数えられなかったとかも、デマであることがわかっている。
さらに、トランプの支配下にある政府内部でも不正投票を毅然と否定するようになった。12日には、米国土安全保障省サイバーセキュリティー・インフラストラクチャー・セキュリティー庁(CISA)が、今回の大統領選で票が失われた形跡はまったくないとの調査結果を公表した。
アメリカ国内でも、世界的にも、トランプの主張はもはや相手にされなくなりつつある。
しかし、呆れるのは、日本のネトウヨたちがこの間、ずっとトランプ勝利を盲信し、「投票は不正だ」と叫び、こうしたデマを拡散してきたことだ。いや、ネットだけではない。マスコミに出ている右派論客やコメンテーターも信じがたいトランプ応援のフェイク、デマ、スリカエを振りまいてきた。せっかくなのでその間抜けな発言をあらためて振り返っておこう。
トランプ応援団の間抜けぶりの代表といえば、もちろん、ジャーナリストの木村太郎氏。前回、大統領選挙でトランプ当選の予想を的中させたことから、今回も調子に乗って開票前からトランプの大勝利を予測、開票開始当日4日には『バイキングMORE』(フジテレビ)で「この番組でバンザイしたのがなつかしい、もう1回やれそうだな」とフライング万歳しそうになっていた。
しかし、ひどかったのは、予測ではなく、そのあとの露骨すぎるトランプ擁護だ。4日の『Live Newsイット!』(フジテレビ)では、トランプが4日の段階で一方的に勝利宣言をし、最高裁に訴えて投票の集計をやめさせると宣言したことについて、批判の声が上がるなか、その正当性を主張し続けたのだ。
「選挙後に、(バイデンに)いろんな訴訟を起こされて、裁判が長引くようなことになると困る。だから最高裁に訴えて、今日午前4時の段階で開票を全部凍結しようと言ってると僕は思った」
「(トランプが)混乱要素を止めるために最高裁に訴える、というのは、建前じゃなくて本音だと思う。なぜかというと、今の開票結果で文句言うのは、どちらかというとバイデンですよ。これからひっくり返すためにいろんなことをやるだろうから、それをやらせないために差し止めを、と」
「マスコミはまだ当確を出していないというだけで、ホワイトハウスはおそらく詳細な票を持っているはずです。それでこれは勝ったなという自信になるから、こう言っているんですよ」
木村氏は、6日の『バイキング』でも、他の出演者の「トランプは往生際が悪い」という批判に、敗北宣言という大統領選の120年以上にわたる伝統やそれに象徴されるアメリカ民主主義の精神を完全に無視して「最後まで死ぬまで戦うのが米国の美徳」と強弁していたが、もはやトランプをかばうためなら事実を真逆に解釈しても平気という境地に達しているらしい。
■橋下徹はずさんな郵便投票攻撃に加え、「パックンも分断原因」と話をすり替え
しかし、この木村氏に負けず劣らずひどかったのが、この間、ワイドショーや情報番組に出ずっぱりだった橋下徹・元大阪市長だ。当初から、トランプ支持を主張してはばからなかった橋下氏だが、トランプの劣勢が可視化されてきた5日あたりから、郵便投票についての批判が激しくなる。
しかも、その内容はかなりいい加減で、たとえば、5日の『グッとラック!』(TBS)では、「サインが正しいかどうか確認するのは不可能」などと主張、東大出身のクイズ王・伊沢拓司から「今回はサインだけで判断しないように記入項目がすごく多いので、サインのシステムはクリアしてます」とその場で突っ込まれる始末だった。
挙げ句、大勢が決まると、9日放送の『グッとラック』で、パックンことパトリック・ハーランが「トランプ大統領に7000万人以上支持者が集まったのががっかり」と発言したことにかみつき、「パックンはアメリカで分断を生んじゃいけない、トランプが原因だって言うんだけど、実はパックンも分断原因」「トランプ支持者7000万人いるのはがっかりでもなんでもない。認めないといけない」などと、めちゃくちゃなことを言い出した。
白人至上主義や移民排斥、ミソジニーによってアメリカという国家を分断させたトランプと、差別主義者への投票に落胆しただけのパックンの発言を同列に論じるって、スリカエにもほどがある。というか、自分が大阪で生活保護受給者や末端の公務員攻撃を繰り広げて分断をつくり出したことを棚に上げて何を言っているのか、という話だろう。
デマを振りまいて、テレビ局が訂正・撤回に追い込まれた御仁もいる。ほかでもない平井文夫・フジテレビ上席解説委員だ。平井氏は日本学術会議問題でもデマを拡散したが、今回も11日午後に配信されたフジのニュースサイト「FNNプライムオンライン」のコラム「平井文夫の言わねばならぬ!」で、〈昨夜面白いニュースが入ってきた〉〈世論調査サイトの『リアルクリアポリティクス』がペンシルベニア州でのバイデンの当確を取り消した結果、バイデンの獲得選挙人は259人となり、過半数の270人を下回ったというのだ〉などと、誤情報を書き立てたのだ。
しかも、その間違いっぷりがひどい。というのも、当確取り消しも何も、「リアルクリアポリティクス」はもともとこの時点ではペンシルバニアで当確を出していなかったからだ。しかも、このデマは、トランプ陣営の顧問弁護士であるジュリアーニNY市長が10日にツイートしたものだったが、「リアルクリアポリティクス」側が直後に「誤りだ」「当確を出しておらず変更していない」と否定していた。平井氏のフェイクコラムには当然、批判が殺到し、11日夕方に末尾に訂正を追記、12日未明には当該記事全体が削除された。
日本学術会議のときもそうだったが、これもちょっと調べればすぐ誤情報とわかるような話だ。わずか1カ月のあいだにこんなひどいフェイクを2度も発信する人間を、フジテレビはいつまで「上席解説委員」に据えておくつもりなのか。
■アメリカでフェイク認定されているトンデモ動画を拡散した門田隆将
もっとも、平井氏のデマに関してはフジテレビが明確に誤りであったことを一応認めた。しかし、そうした検証もなく、トランプ陣営が振りまくフェイクやデマをそのまま垂れ流している右派論客もいる。
映画『Fukushima50』の原作者であり、最近は「月刊Hanada」(飛鳥新社)など極右メディアの常連となったジャーナリストの門田隆将氏も、そのひとりだ。
門田氏は5日朝、バイデン票が急激に増えていることを示すグラフ画像を紹介したうえで、こうツイートした。
〈恐らく多くの日本人は民主主義の本家・米国で大掛かりな不正が行われるとは思っていなかっただろう。しかし、現実に大量のトランプ票が破棄されていた州でご覧のような不自然な動きで逆転現象が生じた。しかも、それが予めトランプ陣営が“予告していた通り”の出来事だった。〉
ところが、このツイートには、ツイッター社から〈このツイートで共有されているコンテンツの一部またはすべてに異議が唱えられており、選挙や他の市民行事への参加方法について誤解を招いている可能性があります〉と警告文が表示された。
同じく5日のツイートはもっと決定的だった。バイデン氏が「アメリカ政治史上、最大規模の不正投票組織を用意した」と自ら告白するトンデモ動画をシェアしたうえで、こうツイートしたのだ。
〈「単に言い間違えたのだろう」と笑っていたバイデン発言がクローズアップ。例の「我々はかつてない最大規模の不正投票組織を設立した」とのご覧の発言だ。支持者は唖然として沈黙。だが言い間違いでなく「実際に何かある」とトランプ陣営は調査・警戒していた。法廷ではこの映像も話題を呼ぶだろう。〉
この動画はすでに世界中で有名になっているが、実際は不正防止について発言していたものを切り貼り編集した完全なフェイク動画。仮に切り貼り編集が見抜けなかったとしても、このバイデン氏の発言動画はネット配信番組でのもので、内輪のミーティングなどならともかくわざわざ番組で不正を公言するなど、ちょっと考えればありえないことくらいわかるだろう。
しかし、フェイクニュース認定にもめげず、門田氏はその後もせっせとトランプ陣営発のデタラメな主張や情報をツイートし続けている。
〈バイデンの中国醜聞を報じず不正投票黙殺のマスコミに「左翼メディアが総力を挙げトランプを潰す戦争だった。習近平の高笑いが聞こえる」と。仮に政権交代なら尖閣危うし。「他国の領土争いに介入しない」といつ言い出すか分らないからだ。台湾も危うくなる。〉(11月6日18時48分)
〈今回の事態を「何百万の投票用紙が外国やその他の勢力によって印刷される。それは私達の時代のスキャンダルになる」とトランプ氏自身が6月に警告していた。だがマスコミはこぞって中国に買収された事が明白なファミリーが米政権を担うのを歓迎。盤石の政権は本当にコロナと反政府運動で倒されるのか。〉(11月7日7時55分)
〈トランプ氏が「フィラデルフィアとピッツバーグで70万票がカウントされていませんでした。我々はペンシルベニア州で勝利しました!」とツイート。だがマスコミは依然、完全無視。それどころか“公式には異なった結果が出ています”との表示。世界の運命を決める大統領選は完全にコントロールされている。〉(11月14日10時44分)
■百田尚樹は「大統領選挙の不正うやむやで日本の左翼政党は「よっしゃー!」となる」と妄想
門田氏の目にはもはや現実とはまったく別の世界が見えているようだが、同じような暴論を展開しているのが、ほかでもない作家の百田尚樹氏だ。百田氏が最も失笑を買ったのは、まだバイデン当確の出ていなかった11月6日未明に、こんなツイートをしたことだった。
〈★★百田尚樹の大予言★★
アメリカ大統領選挙はいくつかの州で不正が見つかり、開票をやり直して、不正票が無効となり、その結果、トランプの再選が決まる。
今、正義は瀕死の状態だが、必ず蘇る。
もし正義が死ねば、4年後、アメリカはまったく違う国になっている。
日本、考えるのも怖いよ〉
トランプを真顔で「正義」だというツイートを読まされたこっちが怖くなるが、しかし、バイデン勝利が確定した後も百田氏の姿勢はまったく変わっていない。
10日には赤羽一嘉国交相がトランプ批判したのに対し、〈アメリカ大統領選挙史上、最も大規模な不正疑惑の事象が現れた選挙に対し、大統領が不正を訴えると、独裁者呼ばわりか…。もし、不正が明らかになったら、彼はどうするつもりだろう〉と噛みつき、その後も「不正ガー」「不正ガー」と叫び続けている。
〈神でない私には真実はわからない。しかし、人間としての私は、今回のアメリカ大統領選挙には大掛かりな不正があったと思っている。〉
〈私は、トランプ大統領はアメリカの歴史に残る大統領になると思っている。
その男がこんな形で大統領の座を追われるのはおかしい!〉
〈私は今回のアメリカ大統領選挙は大規模な不正があったと思っている。
それをモリカケ追及していた立憲の連中と同じだと言われたら、違う!とはっきり言う。なぜなら、もし司法の捜査と判断で、不正はないとわかったら、きちんと納得する。不正を疑う権利は誰にもあるはずだ。〉
“俺が不正を疑ってるんだから不正だ”とは無茶苦茶な論理だが、百田氏はさらに、日本のメディアや選挙に対しても陰謀・妄想をふくらませる。
〈アメリカ大統領選挙の不正が明らかになることなく、このままうやむやになれば、日本の左翼政党と地上波テレビは「よっしゃー!我々もやるぞ」となりそう。〉(11月14日12時35分)
〈「戸籍制度をなくせ!」と言う元政治家がいたが、その裏にはもしかしたら、選挙のこともあったのかもしれない…〉(11月14日12時45分)
さらには不正主張を批判するツイートに対し、〈私はアメリカの警察官でも検察官でもないんや〉〈君に迷惑をかけたか?不正と言ってるのは私だけじゃないんだが、君、全員にリプ送ってるの?〉と逆ギレする始末だった。
■トランプ崇拝のあまり甘利明にかみついた有本香、竹内久美子はトランプに「兄貴」「親分」
百田氏の盟友・有本香氏もファナティックぶりは負けてはいない。自民党の甘利明税調会長がトランプ大統領に対して、敗北を認め最高の敗北演説をしてほしいとツイートすると、安倍晋三・前首相の側近である甘利氏にまでこう噛みついた。
〈重鎮をしてこのご認識だから、官邸に有益な情報がもたらされるはずかない。甘利氏は過日、女系容認発言でも炎上したが、自民党にはこの方のような「ノンポリ政治家」が多い。一方「保守」とする方々の中にも見識、胆力、人間性全てに秀でた方は僅かで、必ずしも地位を得ていない。何とかならんもんか。〉(11月15日17時10分)
大村秀章・愛知県知事リコール運動でトランプ同様の往生際の悪さを露呈している高須クリニック・高須克弥院長も、支離滅裂なツイートを繰り返している。
〈僕はずっと言っている。マスメディアに洗脳されてる人たちは目眩ましにあっている。
中国とロシアは情報網を持っているからバイデンをあわてて祝福しないんだ。
インテリジェンスの貧しい国はトランプに反対のメディアに騙されてバイデンを祝福してる。
僕はトランプの逆転はあり得ると思うよ。なう。〉(11月10日21時55分)
〈万が一、物言いがついて行司差し違えになったら立て行司は腹を切る覚悟で軍配を挙げると聞いた。
トランプを叩いているメディアには立て行司位の覚悟があるのだろう。
覚悟が無いから必死なんじゃないよね。〉(11月12日16時9分)
極右雑誌の常連で、「こう丸が小さい日本人男性は『日本型リベラル』になりやすい」なるトンデモ論で話題になった自称動物行動学研究家・竹内久美子氏にいたっては、トランプ支持者の「NEVER EVER GIVE UP」という動画を拡散しつつ〈トランプ兄貴、ジャックさん、承知しました!〉(11月8日)と投稿、またトランプが保守系メディアを立ち上げるというニュースについて〈それがいい!親分、保守系メディアを立ち上げるかも〉(11月14日14時46分)とツイートした。もはや、トランプは「兄貴」「親分」らしい。
■2017年のバノン来日の際、「ブライトバートのアジア支局を東京に開いて」と語りかけた木村太郎
それにしても、日本のネトウヨや右派論客たちはなぜかくもトランプが好きなのだろうか。差別主義者のトランプからすれば、非白人の日本人だって差別の対象だと思うのだが、ヒステリーを起こしデマを振りまいてまで、トランプを応援するというのは尋常ではない。先日、虚構新聞がパロディで「敗北トランプ氏、「日本初の外国人総理大臣」に意欲」という記事を出していたが、外国人排斥がモットーのネトウヨや右派論客がトランプについては首相就任を待望しかねないくらいの信奉ぶりなのだ。
上述の門田隆将氏、百田尚樹氏、有本香氏ら右派論客たちは、「バイデンは中国に甘い」「バイデンは中国と裏で繋がっている」などとしたり顔で主張していたが、これもまったく的外れで、トランプ肩入れの理由になっていない。
最近、当のバイデンが菅義偉首相との電話会談で尖閣諸島を日米安保条約の範囲内であると明言したという報道もあったが、そもそも対中政策については、かなり前からトランプもバイデンもほとんど変わらないというのが、多くのアメリカ政治の専門家の共通認識だった。それどころか、貿易問題だけで人権問題にまったく関心のないトランプよりもバイデンのほうが香港やウイグル、南シナ海問題により厳しくなるだろうという見方さえあった。
にもかかわらず、日本の右派が「バイデンが大統領になったら中国がやりたい放題になる」「バイデンは中国と裏で繋がっている」などと、素人みたいなことをわめいてきたのは、結局、彼らにとってそういったリアルポリティクスなんてなんの関係もないからだ。
日本の右派論客やネトウヨにとって重要なのは、民主主義や人権を否定し、差別や排外主義を全面肯定するイデオロギーだけ。トランプはその価値観を共有し、グロテスクな思想を体現してくれる存在なのだ。
実際、彼らがいかにトランプのヘイトとフェイクにまみれた価値観ややり方そのものに共鳴していたかは、2017年12月、スティーブ・バノン元米大統領首席戦略官が来日したときの反応を見れば、よくわかる。
バノン氏はトランプ大統領の元側近で、政敵を貶めるフェイクニュースを発信し、イスラムヘイトや女性・性的マイノリティに対する差別を扇動している悪質なニュースサイト「ブライトバート」の当時会長を務めていたが、この来日の際、右派系シンポジウムに参加した。
そして、このシンポジウムには日本側から出席していたのが、百田尚樹氏をはじめ、評論家の金美齢氏、石平氏、西村幸祐氏、田母神俊雄氏など、極右界隈でおなじみのメンバー。バノン氏とのスペシャルトークセッションに登壇したのが、木村太郎氏と自称文芸評論家・小川榮太郎氏の2人。トランプの最も醜悪な部分を支えてきたバノン氏と意気投合していた。
とくに、木村氏は「日本人はアメリカのフェイクニュースの犠牲者だと言っても過言ではないですよ。なぜなら日本のメディアはアメリカの主流メディアと関係しているわけで、私たちはそれとは違うオルタナティブなニュースを聞くことができないのです。バノンさんはブライトバートをおもちですね。私はこう提案したい。ブライトバートのアジア支局を開いてはどうでしょう、ここ東京に! ぜひ日本語でニュースを出してください」とまで言っていた(ちなみにバノン氏は、2019年に来日した際の自民党本部の講演でも、日本の極右勢力のヒーローである安倍首相のことを「世界中に広がるポピュリストやナショナリストの草の根運動にとって、安倍首相は偉大なヒーローだ」「トランプ氏がトランプ氏である前に安倍首相がトランプ氏であったとも言えるわけです」と絶賛していた)。
■ネトウヨによるマスコミへの抗議でトランプ批判にエクスキューズをつけはじめたマスコミ
トランプがアメリカでヘイト勢力や白人至上主義を助長させたのと同じように、安倍首相の存在によって大きな力をもつようになった極右論壇やネトウヨだが、彼らにとってトランプ大統領は安倍前首相と同じように自身の差別したい欲望を肯定し、差別にお墨付きを与え、後押ししてくれる存在だったということだろう。
しかし、そのトランプがもし大統領選に落選したら、民主主義的な価値観が復活して、そのヘイトとフェイクが世界中で再認識されてしまえば、それこそ自分たちの存在自体が否定されてしまいかねない──そんな恐怖が彼らを狼狽・錯乱させているのではないか。
しかし、こうした右派連中やネトウヨたちの狼狽と錯乱による妄言を、「負け犬の遠吠え」と笑い話にするだけで終わらせることはできない。
なぜなら、トランプ勝利と、陰謀論による不正選挙を叫ぶそのネトウヨ言論がマスコミにも影響を与えているからだ。実際、開票が進むにつれ、ワイドショーのMCやコメンテーターがやたら「バイデンを支持しているわけじゃない」などとエクスキューズをつけ始めたのだ。これは明らかに、ネトウヨからの攻撃に対する配慮だろう。
そこまで踏み込んだトランプ批判などテレビでほとんど見かけなかったが、連中にとっては少しでもトランプを批判しただけで、「バイデン贔屓」「偏向」ということになるのか。安倍政権を少しでも異を唱えようものなら「偏向」「反日」などと攻撃されていたのと同じような構図になっている。
トランプが大統領でなくなったとしても、これは非常に危険なことだ。トランプ批判が許されないということは、トランプが喧伝する差別肯定、人権無視、フェイクニュースが無批判に垂れ流されることになる。いったい日本の言論状況はどうなってしまうのだろうか。
(編集部)
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